宇宙人の魔の手がのびている!
戦え!正義のシルバー仮面
概要
大ヒットを博した『柔道一直線』(69〜71年:東映)の後番組として映像会社の宣弘社が制作したスポ根野球ドラマ『ガッツジュン』の不振を受け、当時世間を席巻していた『ウルトラシリーズ』に対抗して制作した特撮ヒーロー番組。企画意図としては海外ドラマの『逃亡者』や『インベーダー』を参考にして、暗躍する宇宙人から、主人公ら5兄妹が逃亡するという内容が想定された。
特に序盤は、異様に凝った実験映画のような映像が多用されたりして、かなりの怪作である。
当初は等身大ヒーローだったが、視聴率面で苦戦した事から、大幅なリニューアルを強いられる事となった。
あらすじ
「光子ロケット」を設計・建造していたロケット工学者の春日博士は。ある夜、ロケットの設計図を狙う何者かにより殺害され、研究所は炎に包まれた。混乱の最中、博士の子供達である5人の兄妹(以下:春日兄妹)は、兄妹の身体のどこかに光子ロケットの秘密が隠されている事と、次男・光二に「シルバーの力」が授けられている事を知る。
春日兄妹は、ロケットの秘密を解く手がかりを求め、父と交流のあった科学者を探し、迫りくる宇宙人に対しては、父が遺した対宇宙人用の装備とシルバーの力で戦いながら、父の遺したロケットを完成させようとする。
登場人物
春日兄妹
- 春日光一 長男、26歳。「白光銃」という光線銃を持っている。父同様にロケット工学者で、父の遺志を継ぎ、光子ロケットを完成させようとする。
- 春日光二 次男、23歳。兄妹の中で1番体力があり、「シルバーの力」を使ってシルバー仮面に変身する。穏やかな性格で、スキーが趣味。
- 春日ひとみ 長女、21歳。赤光銃という光線銃を持っている。兄妹の中では母親的存在。大学医学部に籍を置く、女医の卵でもある。
- 春日光三 三男、20歳。「スペクトル・グラス」という、掛けると人間に化けた宇宙人を見破る事ができる眼鏡を持っている。空手と投げナイフが得意だが、喧嘩っ早く好戦的で無鉄砲な一面もあり、父を殺した宇宙人を憎んでいる。大学生である。なお、光三を演じた篠田三郎氏は、前番組に出演していた事から本作に出演することになったそう。
- 春日はるか 末娘、18歳。未成年のためか、兄妹で唯一対宇宙人用の装備が与えられていない。過酷な逃亡生活に疲れ果てたのか、途中から居なくなる。(一応、大阪東南大学の阿部博士の元に身を寄せている事になってはいる。) ちなみに血液型は兄妹で唯一のO型(他の4人はA型)。
その他の関係者
- 大原道男 兄弟の叔父。どうやら武器商人らしく、光子ロケット関係の金儲けを目論んで5兄弟に粘着してくるので、特に光三からは嫌われている。
- 春日勝一郎博士 兄妹達の父親で、本編には一切登場しない。 生前から宇宙人の脅威を訴えていたが、学会や世間からはまるで相手にされないどころか狂人扱いされていた。
キャラクターとしてのシルバー仮面
基本スペック
- 身長:1,8m
- 体重:75kg
春日兄妹の次男・光二が変身する銀の戦士。
身体能力については「オリンピック全種目で金メダルが取れるくらい」とされている。
ヒーローとしては些か控えめな印象を受けるが、落下中の車を受け止めるといった、重量挙げ選手でも無理そうなことをやっているので、少なくとも腕力についてはかなりのものである事が窺える。
主な必殺技
必殺技を使う際には、マスクの目の部分が光る。
- シルバーキック
命中箇所に爆発を引き起こす跳び蹴り。片足で放つ場合と、両足で二方向同時に蹴る場合がある。OPによると放つのは命懸け……らしい。
- 熱戦(正式名称不明)
敵に閃光を浴びせ、相手を(物理的に)焼く技。大体これ
- シルバー卒塔婆
傍らに刺さっていた卒塔婆を引き抜き、敵をブッ叩く。なんて罰当たりな攻撃法なんだ……。
なお絵面のインパクトに反して、肝心の敵にはあまりダメージを与えられない模様。
他にも、相手の爆弾を反射したり、崖からつき落としたりと、ヒーローらしからぬ倒し方も多く、光一&はるかの持つ光線銃で辛くも撃破した事もある。
デザイン
デザインは池谷仙克が担当。
イメージソースは「フランスの鉄仮面伝説」。
デザイン画の段階では後の姿の様に赤いラインが入っており、放映当時の一部商品でもその仕様だった。
宇宙人
本作の宇宙人の傾向として、「地球人の宇宙進出を阻む」事を目的に地球へ来訪している点が挙げられる。
何故、阻もうとするかと言えば、
「地球の歴史は、戦争と略奪の歴史 そんな連中が宇宙に進出すれば、他の星を侵略して廻るに違いない だからそれを未然に防ぐ」
というのが、宇宙人達の言い分である。
現代の地球人についても、金星にロケットを打ち込んだり、月の石を持ち帰ったりしたことについて、「無断で行った」として咎めている。
地球の歴史等は、あながち間違いではないのだが、では彼ら宇宙人が決まりやマナーを遵守しているかといえば、そんな事はない。
彼らが地球の定めた法に則って来訪しているかは謎、描写が無いから分からない。
しかし「光子ロケット開発を邪魔しに来た」なんて入国理由で税関を通れるわけないから、仮に手続きを踏んでいたとしても、どこかで違法な手段を取って入国しているわけだ。
また、入国した後も、春日博士や彼とゆかりのある科学者を平気で殺害している他、誘拐、脅迫、窃盗など犯罪には全くと言っていいほど見境がない。
揚句の果てには、春日兄弟を犯罪者に仕立て上げる為に、葬列参加者を皆殺しなんてことまでしている。
結局のところ彼らの言い分は、自分たちの宇宙開発を邪魔させないための口実ではないかともとれる。
『ジャイアント』編以降は、あからさまに宇宙は自分達のものだと主張する宇宙人もちらほら登場する。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 登場宇宙人 | 監督 | 脚本 | 放送日 |
---|---|---|---|---|---|
第一回 | ふるさとは地球 | チグリス星人 | 実相寺昭雄 | 佐々木守 | 1971年11月28日 |
第二回 | 地球人は宇宙の敵 | キルギス星人 | 実相寺昭雄 | 佐々木守 | 12月5日 |
第三回 | 父は炎の中に | シャイン星人 | 山際永三 | 上原正三 | 12月12日 |
第四回 | はてしなき旅 | ピューマ星人 | 山際永三 | 市川森一 | 12月19日 |
第五回 | 明日のひとみは・・・ | ジュリー星人 | 樋口弘美 | 市川森一 | 12月26日 |
第六回 | さすらいびとの荒野 | ゴルゴン星人 | 樋口弘美 | 上原正三 | 1972年1月2日 |
第七回 | 青春の輝き | キマイラ星人 | 大木淳 | 上原正三 | 1月9日 |
第八回 | 冷血星人の呼び声 | ソロモン星人 | 大木淳 | 石堂淑朗 | 1月16日 |
第九回 | 見知らぬ町に追われて | ドミノ星人 | 佐藤静夫 | 市川森一 | 1月23日 |
第十回 | 燃える地平線 | タイタン星人 | 佐藤静夫 | 上原正三 | 1月30日 |
『ジャイアント編』
話数(通算) | サブタイトル | 登場宇宙人・怪獣 | 監督 | 脚本 | 放送日 |
---|---|---|---|---|---|
第十一回 | ジャンボ星人対ジャイアント仮面 | サザン星人 | 田村正蔵 | 佐々木守 | 2月6日 |
第十二回 | 恐怖のサソリンガ | ローム星人、サソリンガ | 田村正蔵 | 上原正三 | 2月13日 |
第十三回 | サソリンガ東京猛襲 | ローム星人、サソリンガ | 田村正蔵 | 上原正三 | 2月20日 |
第十四回 | 白銀の恐怖 | ノーマン星人 | 山際永三 | 市川森一 | 2月27日 |
第十五回 | 怪奇宇宙菩薩 | ボルト星人 | 山際永三 | 市川森一 | 3月5日 |
第十六回 | 爆発!!シルバーライナー | モーク星人 | 外山徹 | 上原正三 | 3月12日 |
第十七回 | シルバーめくら手裏剣※ | モーク星人 | 外山徹 | 上原正三 | 3月19日 |
第十八回 | 一撃!シルバー・ハンマー | エマー星人、ヤマシロ | 山本正孝 | 市川森一 | 3月26日 |
第十九回 | 逆転 シルバー旋風斬り | キリー星人、ギラスモン | 大木淳 | 上原正三 | 4月2日 |
第二十回 | 必殺!!シルバーミサイル | インバス星人 | 大木淳 | 市川森一 | 4月9日 |
第二十一回 | シルバー アローがえし | ガイン星人 | 田村正蔵 | 上原正三 | 4月16日 |
第二十二回 | 弾丸!!ミサイルキック | ゾール星人 | 田村正蔵 | 上原正三 | 4月23日 |
第二十三回 | 東京を砂漠にしろ!! | フンドー星人 | 福原博 | 市川森一 | 4月30日 |
第二十四回 | 標的はあなた!! | バーナー星人 | 福原博 | 上原正三 | 5月7日 |
第二十五回 | 輝け!!シルバーレインボー | アクリオン星人 | 田村正蔵 | 井上愉味子 | 5月14日 |
最終回 | アンドロメダ2001 | ワイリー星人 | 田村正蔵 | 上原正三 | 5月21日 |
※再放送では「めくら」が放送禁止用語に当たる為、初期案のタイトルである「大阪SOS」に変更されている。ただしDVDでは通常のタイトルになっている。
関連タグ
ミラーマン(特撮)(裏番組)
シルバー假面 - 設定が大きく違うリメイク作
ブレイブストーム - 二度目のリメイク。レッドバロンとレッドバロン
鉄人タイガーセブン・無敵超人ザンボット3・無敵王トライゼノン・蒼穹のファフナー -全て本作から影響を受けた作品達。