人物
東京四谷で生まれ、中国青島で育ち、満州で終戦を迎え、引き揚げ後の1959年にテレビ業界へ入り、1966年から円谷プロを中心に活動。映画監督や脚本家、演出家として特撮を主に活躍し、独特の映像表現や撮影技法で注目を浴びた。
独特のセンスを持った人物であったため、彼の影響を受けた者も多く人気も高いが、一方で人付き合いが難しいと言われたり、センスが理解できないと評されたりする。
特にウルトラシリーズでは、考えさせられるような寓話めいた話が非常に多く、それに感銘を受ける視聴者が多い一方で、ヒーロー物としての爽快感には欠けると言う評価も。
ただ、本人も自覚的ではあったようで、「他の脚本家(具体的に金城哲夫の名前を挙げていたこともある)が王道を書いてくれるから自分はああいうのが作れた」と言う旨の発言をしている。
また、「さっきまで食堂で食べていたカレーのスプーンで変身しようとするハヤタ」「ちゃぶ台を挟んでダンとメトロン星人が会話するシーン」など、(当時の)日本の庶民の生活感を感じさせる風景を強く盛り込みたがるところがあり、そのことが無国籍な未来感を重視するウルトラシリーズにはそぐわないとベテランスタッフやプロデューサーをしばしば怒らせており、しばらくウルトラシリーズから追い出されていたという話もある。
特撮以外でも同様で、チャリティーショーの中継で美空ひばりの喉を超アップで映して抗議が殺到、ドラマ『でっかく生きろ!』は前衛的な演出が上層部の不興を買い途中で降板、放映原盤も消去されるなど枚挙にいとまがない。
そのわりには干されてもすぐに復帰していたのは、親交の深い俳優寺田農によると「演出助手の有能さに加えて上層部へのお世辞が上手かった」かららしい。
しばしば劇中に「ちな坊」と名付けたアライグマのぬいぐるみを登場させている。
祖父は海軍大将の長谷川清。『日本海大海戦』には小道具として勲章を提供したことで円谷英二を驚かせている。
長谷川は同作の公開翌年にあたる1970年に死去しているが、実相寺は「わたしが作った最初の長篇劇映画『無常』(R18指定)を見たあとだったから刺激が強すぎたのかもしれない」と語っている。
大の鉄道ファン、特に路面電車好きとしても知られコラムを執筆したこともある。著書「昭和電車少年」によると好きな車両は209系で特にスタンションポールを「乗客のマナーに期待していない」と気に入っていた。
主な作品
※1タイトルの後ろのカッコ内は登場するウルトラ怪獣
テレビ
『ウルトラQ』
未製作「キリがない」(ウェットン)
未製作「バクたる」(バクゴン)
「現代の主役 ウルトラQのおやじ」
『ウルトラマン』
『ウルトラセブン』
未製作「宇宙人15+怪獣35」(宇宙獣神ゴード)
『怪奇大作戦』
第4話「恐怖の電話」
第5話「死神の子守歌」
第23話「呪いの壺」
第25話「京都買います」
『シルバー仮面』
第1話「ふるさとは地球」(チグリス星人)
第2話「地球人は宇宙の敵」(キルギス星人)
『帰ってきたウルトラマン』
未制作「月のメルヘン」(ザブロス星人)※制作されたが未放送に終わったという説もある。
『ウルトラマンタロウ』
未制作「怪獣無常! 昇る朝日に跪く」(ウェルズの想像したような宇宙人【正式名称不明】)
『ウルトラマンティガ』
第37話「花」(マノン星人)
第40話「夢」の原案および監督(バクゴン)
『ウルトラマンダイナ』
『ウルトラマンマックス』
第24話「狙われない街」(メトロン星人(再登場))
『ウルトラQ dark fantasy』
第24話「ヒトガタ」(雛)
第25話「闇」(異なもの)
『世にも奇妙な物語』
第90話『切腹都市』
『怪奇大作戦セカンドファイル』
第2話「昭和幻燈小路」の脚本(監督も予定していたが実現せず)
映画
- 実相寺昭雄監督作品ウルトラマン(1979年)
- 帝都物語(1988年)
- ウルトラQザ・ムービー星の伝説(1990年) 登場怪獣、宇宙人(ワダツジン、薙羅)
- ミカドロイド(1991年)※
- 屋根裏の散歩者(1992年)
- D坂の殺人事件(1998年)
- 姑獲鳥の夏(2005年)
- シルバー假面(2006年)
- ユメ十夜(2007年)第ー夜
※監修/オリジナルビデオ作品
遺作
『ゴードの巻』 - お蔵入りされたウルトラセブンのシナリオ
「フィギュア王 No.118」誰も知らなかったウルトラセブン特集号にて収録(一周忌追悼企画)。前述の「宇宙人15+怪獣35」が原作。
漫画家一峰大二による描き下ろし作品。
これまでの怪獣・宇宙人たちが連合を組んで総攻撃を開始する。
さすがのウルトラセブン、ダンがやられてしまう。そんな中空から二つの光が舞い降りる。
一つはセブン上司、一つは光の怪獣ゴードであった…。
小説
- 『星の林に月の舟:怪獣に夢見た男たち』 - 『ウルトラマンをつくった男たち』としてドラマ化。
- 『ウルトラマンVol.1 ゴールドスラッシュ作戦』(ジグリス、ムンデラー、ジグリス・ムンデラー融合体(仮名))
- 『ウルトラセブンVol.1 狙われた星』(アルベリッヒ星人、ゴルトス、ネオ・ゴルトス)
他
『怪獣無常! 昇る朝日に跪く』-お蔵入りされたウルトラマンタロウのシナリオ。
『月刊マンガ少年別冊 すばらしき特撮映像の世界』(発行元:株式会社朝日ソノラマ)という雑誌内にて漫画家・板橋しゅうほう氏によって漫画作品として掲載されている。
関連タグ
『宇宙家族カールビンソン』の原住生物のジッソーくん
アコード(4代目):晩年の愛車。