概要
1962年生まれ。富山県出身。
横浜放送映画専門学院(現:日本映画大学)を卒業後、東映テレビプロダクションの現場に参加し、『宇宙刑事ギャバン』の最終章に助監督として参加。
メタルヒーローシリーズに助監督として携わり続けた後、『特救指令ソルブレイン』にて28歳で監督デビュー(当時の東映特撮史上最年少だった)。『ビーファイターカブト』でローテーション入りを果たす。
2000年、『仮面ライダークウガ』で初のメイン監督を担当。
長らく平成ライダーに参加し続けたが、『仮面ライダードライブ』を最後にテレビシリーズから一度離れ、『仮面ライダーアマゾンズ』などのWeb上作品や劇場作品をメインに活動していた。
2019年6月以降は活動拠点を大分県に移す。同年年末『仮面ライダーゼロワン』で仮面ライダーシリーズ復帰を果たし、次回作の『仮面ライダーセイバー』でも全49話中(特別編含む)13話を担当しているが、大分への移転は映像業界から退くつもりだった事を明かしており、現在は撮影の依頼が来た際に大分と東京を行き来しているセミリタイヤ状態であると語っている。現状、『仮面ライダーリバイス』を最後に途絶えている。
平成ライダー演出陣では珍しく、スーパー戦隊シリーズでの演出経験は無い。
『テツワン探偵ロボタック』『燃えろ!!ロボコン』では、「ヒデ・I」名義を使用している。
人物・作風
非常に独創的な演出を用いる事で知られ、『アギト』『555』に出演していた山崎潤からは「監督陣の中で最も特出したスタイルを持っていた方」「スタッフ・キャストへの要求は高いが自身もチャレンジする」と評されている。
ロングショットや長回しのワンカットの多用、SEやBGMを突然消す、同じシーン内でもカット毎に極端なテンションの高低差を付ける、出演者を偏ったフレームで撮る、フィルターを掛けて画面の色を変える、強烈な照明などの手法が特徴。
キャラ崩壊寸前のギャグ描写、ミュージックビデオ調だったりミュージカル然とした演出を度々挿入している。『仮面ライダーリバイス』におけるラブコフの河内弁も石田監督の発案であり、視聴者にはかなりウケが良かった。
また『アギト』の26・27話や『剣』劇場版『MISSING ACE』の冒頭やクライマックスなど、激しい雨降らしのシーンにも定評がある。
平成ライダーで何度もタッグを組んでいる井上敏樹はその作風について、「二人とも情感を大事にするが、長石監督とはタイプがまるで逆で表現の仕方が全く違う」「画面を引く事によって情感を強調する」と語っている。
井上は石田が『クウガ』で確立したモダンな画作りを高く評価しており、髙寺成紀プロデューサーの思いを受けて東映特撮の現場を改革したとまで言わしめている。
黒いレイバンのサングラスがトレードマークだが、『555』で主演を務めた半田健人曰く「この人は極度のシャイなんだ。だからグラサンなんだ」との事。
『行列のできる法律相談所』で竹内涼真とのエピソードについてインタビューを求められた際も、寄りでの撮影を一切許さなかった。
当時石田組の助監督だった柴崎貴行監督によるとパイロット監督を務めた『仮面ライダー剣』』の劇場版『MISSING ACE』の冒頭シーンの空撮の為ヘリコプターに乗って空から森を撮影をしていた際、撮影中にもかかわらずヘリの乗り心地に気持ち良くなったのか『ヘリの中で爆睡してしまったため撮影が止まり現場は騒然とした』というエピソードを『仮面ライダーアウトサイダーズ』のイベントで語っている。
役者との関わり
具体的な要求なくテストを繰り返すなど演技指導が非常に厳しいことで知られ、出演者・現場スタッフからは尊敬の対象であると同時に恐れられている。(『ディケイド』に出演した井上正大と戸谷公人はYoutubeでの対談で「当時の現場で誰が一番怖かったか」という話題になった時、両者とも同時に石田の名を挙げていたほど。)
しかし、その指導方針は確かであり要潤、綾野剛、水嶋ヒロ、竹内涼真ら新人時代平成ライダーに出演した錚々たる面々から慕われている。
『アギト』の18・19話の台本に北條透が涙を流すシーンがあったが、北条を演じる山崎に石田は「絶対泣くなよ」と命じる。しかし該当シーンの撮影中、山崎は感極まって思わず涙を流してしまうが、石田から文句無しのOKとなったという。
後になって山崎は何故泣くなと指示したのか尋ねると、「お前みたいなヘタクソな俳優は泣こうとして泣くだろ」と答えたのだとか。
またこの撮影の際、電車の音が入ってしまい音声から撮り直しを求められるが、どうしてもこのテイクを使いたかった石田は、その音を誤魔化す為に電車のシーンのインサートを指示し、この日の撮影を切り上げた。
また、同じく『アギト』で氷川誠を演じた要潤は自身のYoutubeチャンネルで、出演シーンのリハーサルを重ねたが石田の納得のいく芝居にならず、石田が欠番にしてしまったことにショックを受けて落ち込んだが、それ以降は台本を読み込んで自分なりにプランを考えて芝居をするようになったと語っている。
ちなみにその後、要は石田組の撮影中にあるシーンで一応OKとなったものの、自分で芝居に納得がいかず撮り直しを志願。撮り直した芝居に石田は会心のOKを出し、撮影後に要の肩を叩いて無言で頷いて去って行ったという。
『555』が役者としての本格デビューだった綾野剛は、それまで演技の仕事をナメているところがあったが初シーンで石田による洗礼を受け、23テイクにわたる撮り直しを食らっていた。後年綾野はこのことを振り返って「撮影初期の頃は殺意に近い気持ちを抱いていたこともあったが、人生でほぼ初めて大人として自身に真剣に向き合ってくれた人」と石田を評しており、石田との出会いで役者として生きていくと決心したという。
その後もインタビューなどで恩人として石田の名を挙げており、石田もNHKの『あさイチ』で綾野がゲスト出演した際にVTRでメッセージを寄せている。
仮面ライダーWで仮面ライダーアクセルの初登場回を演出した際にそのアフレコ現場にて仮面ライダーアクセル/照井竜役の木ノ本嶺浩氏は、アクセルのバイクフォームになるカットを見た際に最初『よっ!』と少し軽い感じで言ったが石田から『お前これからバイクになるんだろうがぁぁぁ!!』と激怒されたことを風都探偵のインタビューで語っており、最初の変身を溜めて言うのも石田からの提案だったと話している。
スーツアクターの高岩成二は、顔出しで出演した『ビーファイターカブト』では石田の厳しい指導で心を折られたが、厳しいけれど面白くやりがいがあると語っている。平成仮面ライダーシリーズに入ってからも無理な要求は多いが、それを昇華しOKをもらうことで高岩自身の引き出しにもなっているという。
スーツアクターの押川善文も、良いものが撮れたときの石田の笑顔がやみつきになり、またその笑顔を引き出そうと励んだことを証言している。
『鎧武』に出演した白又敦は石田の指導スタイルについて、基本的に俳優自身に考えさせるがダメ出しの中にヒントを入れていたとの事で、青木玄徳も石田の指導について「厳しさの中に愛情を感じる」と語っている。
『鎧武』に出演した波岡一喜から「一般のドラマは撮らないのか」と問われた際、仮面ライダーシリーズで若い俳優たちを撮ることへのこだわりを語ったという。
また、『極楽とんぼのとび蹴りゴッデス』にて山本圭壱がクウガに出演決定した事を受けてライダーメンなるパロディキャラの姿で撮影現場に来た際には(クウガがリアリティを重視した真面目な作品であった事もあり)、おやっさん役のきたろう氏共々激怒していた(バラエティ番組である以上、ある程度は『クウガ』側にも話が通っていたものと思われるが、それにしては怒気が凄まじい)。
主な監督作品
太字はパイロット監督を担当
メタルヒーローシリーズ
仮面ライダーシリーズ
その他
関連イラスト
関連項目
ディレクター 映画監督 演出家 特技監督 東映 特撮 東映特撮 平成ライダー 平成一期
田口清隆長回しのワンカットを多用してる監督。