概要
1982年から1998年まで東映で制作された特撮ヒーローの作品群。公式によれば『宇宙刑事ギャバン』から『テツワン探偵ロボタック』までのテレビシリーズ17作品と、それらに連動した映画等が該当する。放送局はテレビ朝日。広告代理店はアサツーディ・ケイ。
主人公が変身した際、光り輝くメタリックな外装に身を包んでいるのがほぼ共通しており、それが「メタルヒーロー」と呼ばれる所以である。
ほとんどの作品が硬派なヒーローものだが、『ビーロボカブタック』と『テツワン探偵ロボタック』の2作は東映不思議コメディーシリーズの流れを汲むファンシーなコメディでもある。作風が違い過ぎる為か、公式はこの2作も含めるが、ファンによっては含めない人も少なくない。
『時空戦士スピルバン』のダイアナレディやヘレンレディ、『特救指令ソルブレイン』のソルジャンヌ、『重甲ビーファイター』のレッドル、『ビーファイターカブト』のビーファイターテントウやビーファイターアゲハの女性の変身者も居り、彼女達を「メタルヒロイン」と称するファンもいるが、定着した呼び方ではない。
他のシリーズとの関係
平成ライダーが始まるまでの間、10年以上に渡って放送されてきた。2010年代に宇宙刑事シリーズの映画やVシネマ、スーパー戦隊シリーズとのコラボ形式で今でも目にしやすい。仮面ライダー、スーパー戦隊、ウルトラマンとも違うデザインやヒーロー像から根強い人気があり、TVシリーズの再開を願うファンも少なくない。
制作側である東映の認識としては「『スーパー戦隊シリーズ』や『仮面ライダーシリーズ』とは異なる、新しいイメージのヒーローを作り出すための枠」であったようだ。
このような実験的要素の強い背景がある都合上、メタルヒーローは毎年大きくテーマも作風も異なり、その時代の空気感を反映する「現代的」な作品が多く作り出されてきた。
それ故にシリーズ全体をまとめて語れる共通点に乏しく、シリーズ内のクロスオーバー要素も薄い。
強いて挙げれば公務員ヒーローとお色気要素が戦隊より多く、『ジライヤ』以外はSF要素が強い(この為『ジライヤ』は『ビーロボカブタック』と『テツワン探偵ロボタック』同様に「メタルヒーローなのか?」論争になりがち)。
本シリーズの放映期間、仮面ライダーのTVシリーズで時期が重なるのは『BLACK』と『RX』のみである。またこちらは円谷プロの製作だが、ウルトラシリーズのTVシリーズで時期が重なるのも『ウルトラマンティガ』(1996)開始以降のわずかな期間である。その意味で、この時期にスーパー戦隊シリーズや東映不思議コメディーシリーズと並んで、TV特撮の灯を守り続けた功績は非常に大きい。
また、平成ライダーの源流と見る向きもあり、スーツのメタリックな質感は昭和ライダーよりメタルヒーローに近い(『仮面ライダーアギト』のV1システム等は、メタルヒーローのスーツの再利用である)。放送枠も『燃えろ!!ロボコン』を間に挟みつつも継承している。
ただし、メタルヒーローの日大閥系監督陣の大半は、メタルヒーロー終了前後にほとんど引退しており、平成ライダーは戦隊系スタッフの方が多い。
特にメタルヒーローに近いライダーとして『仮面ライダーBLACK』・『仮面ライダーBLACKRX』があり、これはメタルヒーローのスタッフ陣が多く、内容もメタルヒーローに近いシーンがしばしば見られる。「宇宙刑事みたいなライダー」と評されたりも。
テレビシリーズは完全に終了してしまっている本シリーズだが、『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン』にてスーパー戦隊シリーズと世界観が繋がるようになってからは、次代の戦士の活躍を描く『宇宙刑事ギャバンTHEMOVIE』や『宇宙刑事Next_Generation』『スペース・スクワッド』が発表される等もあって、シリーズは今も生き続けている。
ちなみに、他の東映ヒーローとは異なり、後年の作品では変身者が代替わりしている事例が往々にしてあったりする。
希に、小説家になろうやカクヨム等で、未だシリーズ再起を望んでいるファンによって影響を受けたオリジナル作品の執筆・投稿もあるようだ。
テレビシリーズ一覧
- 宇宙刑事三部作
- 巨獣特捜ジャスピオン(’85)
- 時空戦士スピルバン(’86)
- 超人機メタルダー(’87)
- 世界忍者戦ジライヤ(’88)
- 機動刑事ジバン(’89)
- レスキューポリス三部作
- 特警ウインスペクター(’90)
- 特救指令ソルブレイン(’91)
- 特捜エクシードラフト(’92)
- 特捜ロボジャンパーソン(’93)
- ブルースワット(’94)
- ビーファイター二部作
- 重甲ビーファイター(’95)
- ビーファイターカブト(’96)
- ビーロボカブタック(’97)
- テツワン探偵ロボタック(’98)
外伝作品
- 海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン('2012)
- 新世代宇宙刑事シリーズ
- 宇宙刑事ギャバンTHEMOVIE('2012)
- スーパーヒーロー大戦Z('2013)
- 宇宙刑事Next_Generation('2014)
- スペース・スクワッドシリーズ
- 海外リメイク
- バーチャル戦士トゥルーパーズ('1994)
- ビッグ・バッド・ビートルボーグ('1996)
- ビートルボーグ・メタリックス('1998)
- ブラジル版巨獣特捜ジャスピオン(公開日未定)
- 東映公認作品
- ZAID:PULIS_PANGKALAWAKAN('2007)
設定の繋がり
基本的に各作品でバラバラで、一部を除いて世界観も独立している。
- 宇宙刑事三部作(宇宙刑事ギャバン→宇宙刑事シャリバン→宇宙刑事シャイダー)(→巨獣特捜ジャスピオン)
宇宙刑事の三作品は、世界観の繋がりを意識してストーリーが展開され、レギュラー・準レギュラーも共通している。更に、続く『巨獣特捜ジャスピオン』でも銀河連邦という用語は登場している。
『ジライヤ』の登場人物が『ジバン』に客演するエピソードがあった。ただし、1話限りのゲスト出演の為、そのエピソード以外は世界観のつながりは描かれていない。
- レスキューポリス(特警ウインスペクター→特救指令ソルブレイン(→特捜エクシードラフト))
レスキューポリスの初期二作品は、世界観の繋がりを意識してストーリーが展開され、レギュラー・準レギュラーも共通している。更に『特捜エクシードラフト』へ続くと解説される扱いが多いものの、実質後付け設定である点には注意すべし。
- (特捜ロボジャンパーソン→ブルースワット→)ビーファイター(重甲ビーファイター→ビーファイターカブト)
ビーファイターの二作品は、世界観の繋がりを意識してストーリーが展開され、レギュラー・準レギュラーも共通している。また、『重甲ビーファイター』の終盤にて前2作(『特捜ロボジャンパーソン』『ブルースワット』)の先輩ヒーローが客演するなど共演の機会はいくらかあった。
パラレルワールド的な作品で共演。
と、基本的な設定から世界観を統一している作品は、宇宙刑事・レスキューポリス・ビーファイターの3組のみだが、ゲスト出演を含めると、『時空戦士スピルバン』『超人機メタルダー』以外には客演が存在している。ちなみに、シリーズ終了後のスペース・スクワッドシリーズでは、『スピルバン』『メタルダー』の怪人も登場している(後者は名前のみ)。
関連タグ
スーパー戦隊レジェンドウォーズ:スペース・スクワッドとしてギャバンtypeG、ジライヤ、シャイダーが参戦。
アイアンマン:アメコミ版メタルヒーローと呼べる作品。
外部リンク
東映特撮 YouTube Official (歴代のメタルヒーローシリーズ作品が見られる)