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『特警ウインスペクター』は東映制作の特撮テレビドラマ。もしくは劇中に登場するヒーローたちのチーム名。
メタルヒーローシリーズ第9作にあたり、レスキューポリスシリーズの一作目。
1990年から翌年まで全49話が放送された。
※「イ」は大文字なのが正しく、「ウィンスペクター」は誤り。
概要
これまでのメタルヒーローは単体及び途中から仲間になって共闘することが多かったに対し、初めから3人構成として導入されているのが特徴。タイトルも主人公の名前ではなく、ヒーローたちが所属する部隊に用いられるのも本作の新しい要素となった。
また従来のヒーローは正体を隠しながら戦うのが基本であるが、今作は警察であるため、すでに世間から存在しているのも新しい方向性を取り組んだ。
悪の組織は存在せず、犯罪や災害から人の命を救うヒーローとしてクローズアップされており、戦闘シーンが少ない分、救助活動を重点に置かれている。
刑事ドラマとして犯人を逮捕するが、中には元々は善人だった人間が過去の出来事のきっかけで犯罪に走り、最終的には逮捕されずに無残な結末に終わってしまうエピソードも幾つかあり、この手法は最終回まで続くことになった。
これまでになかった要素は高く評価され普段特撮を見ない層にも刺さった為か、視聴率も好調であり平均視聴率12.8%、最高視聴率16.7%と朝枠移動してからの「メタルダー」~「ジバン」の頃から大幅に上がり平均最高視聴率共にメタルヒーローシリーズの中で歴代3位という好成績を収めた。
この数値は現ニチアサの朝枠特撮(ライダー戦隊含む)として見ても歴代1位の記録であり、この作品が存在しなければニチアサ朝特撮枠が今も続かなかったといっても過言ではない。
玩具売り上げもスーファミブームや当時の時世など特撮作品全体が向かい風で商品数も少ない中で、特警手帳やギガストリーマーの受けが良く同年放送の『地球戦隊ファイブマン』と同程度の売り上げなど好調だった。
こうした好成績の為か次作特救指令ソルブレインが製作、レスキューポリスとしてシリーズ化した。
あらすじ
西暦1999年、発達した科学技術は人々の生活を豊かにしたが、それが犯罪に悪用されたり、制御不能に陥って暴走した時に起こる被害も大きくなっていた。そんな事態に対処するために設立されたのが「警視庁特別救急警察隊=ウインスペクター」である。彼等の目的は犯罪捜査と容疑者逮捕のみならず、犯罪や災害に巻き込まれた人々の命を救うことなのだ。
登場人物
ウインスペクター
警視庁特別救急警察隊隊長。警視正の23歳。
スポーツ万能で、5ヶ国語を操れる秀才。性格は熱血漢で向こう見ずだが、正義を愛し人命を大切にする人間臭さも兼ね備えている。またゴキブリを見ると驚くなど、虫は苦手なようである。幼い頃に火災で両親を亡くしている。着化することによりファイヤーになる。
荒地や難所での作業を得意とするパワータイプのサポートドロイド(ロボット)。メインカラーは黄色。両肩を回しながら歩く(子供の蒸気機関車ごっこのような仕草)のが特徴。
組み立てた西田のおやじさんが喋る名古屋弁を聞きながら作られたため、名古屋弁で会話をする。性格は明朗で非常に人間臭く、また、胸部に備えられたタイヤで自走する事も可能だが、自力で方向転換出来ないため前方の障害物を回避出来ずにそのまま突っ込んでしまうという欠陥がある。
空中からの捜査、救助活動を主に担当するサポートドロイド(ロボット)。メインカラーは緑色。両腕を胸の前から外側へ大きく振り上げる独特の歩き方が特徴。
沈着冷静で理論的な性格の持ち主。バイクルと同様に第7世代のコンピューターが内蔵されている他、爆弾探査機能を持つ。
デミタス(声:二又一成)
ミニサポートドロイドで通常はシリンダーの形をしており、活動を始めるとロボットに変形する。
元々は野々山のチェスの相手として作成されたが、あまりに高性能だったためにウインスペクターのメンバー入りを果たす。主にバイクルやウォルターの故障時の応急処理、秘密の捜査活動を務める。体内にシークレットメダルを内蔵しており、これをバイクルが投擲して犯人を怯ませた事もある。口は悪いが憎めない性格である。
藤野純子(演:中西真美)
美人情報捜査官、警部補の20歳。
性格は男勝りだが、困った人を放っておけない一面もあり、正木本部長から「お人好し純子」と呼ばれたこともある。警視庁一の拳銃の名手(愛銃はオートマグ)。事件の際は、竜馬たちと共に駆けつける。愛車は2代目マツダ・サバンナRX-7(FC3S、車体色ブレイズレッド)。
小山久子(演:小栗さちこ)
秘密捜査官、警部補の22歳。
普段は、近所の喫茶店「チャコ」を経営している。亡き実父で刑事だった小山正信は正木の親友であり、彼の存在がウインスペクター設立の発端となった。
後半では登場が極端に少ない。
ウインスペクター本部長、警視監の41歳。
「特別救急警察隊」を創設した中心人物。仕事には厳しいが隊員想いな面もあり、ピンチの時には自ら駆けつけ現場指揮を執る他、時には自ら犯人制圧にもあたる。愛車は4代目マツダ・ルーチェ。
演じるのは宮内洋。現在でこそ『超力戦隊オーレンジャー』『仮面ライダーTHE FIRST』等で「ヒーローを支える立場の役」でもおなじみの宮内氏だが、当時は彼が「変身ヒーローが出てくるのに変身して戦う役ではない」事に業界内で驚かれたんだとか。
支援者
六角 虎五郎(演:佐藤信一)
警視庁捜査一課刑事で警部の27歳。
名前の通り強面の風貌で、ウインスペクターをライバル視しつつも協力する。物語のコメディリリーフ的存在。意外と昆虫採集が趣味。昭和48年6月5日生まれ。
香川優子(演:星川揺)
竜馬の妹で13歳。
工場廃液で汚染された花園を蘇らせようと奮闘する。
小山良太(演:山本亮)
久子の弟。
竜馬を兄のように慕う。素直な性格で竜馬の前で「竜馬さん程度の大人にならなれる」と言ったり、煙草を吸っていた高校生に「馬鹿だなぁ」と発言するなど強気な一面も。
その他
第1話と第49話(最終話)に登場する本作の最初の敵並びにラスボス。科学者。
高沢俊夫博士と共にNASAに勤務、その頭脳を使わねば世界の損失と考える自信家。高沢博士の才能と名声に嫉妬し、R24を使って高沢の孫を誘拐、孫もろともタンクローリーを高沢邸に突っ込ませようとするが、ウインスペクターの活躍により失敗に終わる。
その後は刑務所を脱獄、精神治療用の電磁波を悪用してウインスペクターへの復讐を目論んだ。
彼のその執念が、正木本部長に犯罪者の心も救う事を念頭に置いた新組織の結成を誓わせることになった。
メカニック
サポートドロイド
ウインスペクターで活躍するロボットたち。バイクル、ウォルター、デミタスが該当。第7世代コンピューター及びタンパク質を原料としたバイオチップを内蔵し、「あいまい」の概念を理解できるなどかなり人間らしい思考・人格を持たせることに成功している。
電子頭脳はセーフティシステムにより守られており、無理に解体しようとすると自爆するようになっている。
ウインスコード
竜馬が乗るスーパーパトカー。ベース車は3代目シボレー・カマロ。
後にSPカードと呼ばれる専用カードを装填することで通常のパトロールスコードから赤いファイヤースコードに約10秒で変形する機能が追加された。
ウィンチェイサー
現場への移動手段が不便なバイクルのために作られた専用のオフロードバイク(白バイ)。ベース車はスズキ・TS200。バイスピアをハンドルとして取り付けることで起動する。フロントカウル内には特殊弾を打ち出すランチャーを装備。
マドックス
ウインスペクター本部内のメインコンピューター。捜査関係の情報やクラステクターの状態を報告する。正木が着けた電波遮断装置が破壊された事や、正木の体調まで把握しているという謎スペックを持つ。
関連イラスト
関連タグ
鳥山明:漫画家。『ドラゴンボール』執筆当時に放送されていた本作を実子が視聴していたのをキッカケに自身も観てからは息子以上にハマるまでになり、同時期放送の同じく東映制作の特撮ドラマ『地球戦隊ファイブマン』と共に毎週の視聴を楽しみにしていると当時公言していた。また、そこから発想を得て誕生したのが「ギニュー特戦隊」と言われている。
機動刑事ジバン→特警ウインスペクター→特救指令ソルブレイン