ウルトラマンティガ
うるとらまんてぃが
ウルトラシリーズ生誕30周年記念作品。1996年9月7日から毎日放送発・TBS系で放映された。全52話。
『ウルトラマン80』以来、およそ16年ぶりに製作された完全新作のテレビシリーズということで、当時は非常に大きな話題になった。
なお、TBS系列だが、制作局は上記の通り毎日放送。
「かつての視聴者が親世代になり、子どもにシリーズを教えてブームの下地を作る」
という長寿シリーズの流れを意識・踏襲して作られた。
『ザ☆ウルトラマン』に次ぐ、M78星雲やウルトラ兄弟といった既存の設定や要素を一部の例外を除いて使用しておらず、昭和シリーズの続編ではない2つ目の作品であり、特撮作品では初となる。
昭和シリーズを意識しない世界観とされた理由は、チャイヨー・プロダクションとの紛争を回避し海外展開に支障を来さないようにしたためという証言もある(当時チャイヨーは『Q』~『タロウ』の日本国外での権利を主張していた。昭和シリーズのキャラクターを本作に出演させると、チャイヨーがそこにも権利を主張してくる恐れがあった(安藤健二(2008)『封印作品の憂鬱』洋泉社)。ただし上記の例外と一つとして初代ウルトラマンが登場するエピソードは存在する。
何の因果か、ナレーションを務めたのはチャイヨーとの合作に出演していた二又一成氏である。
いわゆる「平成ウルトラマン」のTVシリーズとしての第1作であり、後続の『ウルトラマンダイナ』が世界観を共有している。その後の作品にも影響を与えることとなり、『ダイナ』終了後の『ガイア』から『ネクサス』までは過去作要素を使わず、過去作要素を復活させた『マックス』以降も、『X』から『Z』と、『ブレーザー』はいずれもそれ以前の作品とは異なる世界観が舞台となっているが、これはティガの影響も大きいだろう。
バラエティに富んだ様々な独立した短編に張られた伏線が、最終的に一つの大きな結末に収束していくという構成が取られており、この作風は大なり小なり後のウルトラシリーズや平成仮面ライダーシリーズ等にも影響を与えている。また、各所に『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』へのオマージュが見られ、スタッフから昭和のウルトラマンシリーズ、及びそのスタッフへのリスペクトがうかがえる作品となっている。
また、「ウルトラマンはなぜ戦う?」、「怪獣はなぜ現れるのか?」というシリーズ永遠のテーマにも切り込んだ点も特筆すべき点であり、怪獣やウルトラマンと関わっていく人間達のドラマも本作の根幹を成す重要な要素の一つである(特に第5話は一般人やマスコミの視点が中心となっている)。
本作から「光と闇の戦い」という平成〜令和ウルトラシリーズのフォーマットを作った作品であるが、『ティガ』と続編の『ダイナ』に登場する『闇』は世界を覆い尽くそうとする悪意、人間の心の闇、文明によって奪われた闇とそこに居場所を求めた者たち、文明が生み出した負の側面など広く捉えられているのが特徴であり、この傾向は『オーブ』で変わるまで続くこととなる。
また、新世代ヒーローズで多く見られる「ウルトラマンの力は使い方次第」というテーマもまた本作時点で確立されており、「人間はみんな自分自身の力で、光になれるんだ!」という主人公のセリフにも現れている。
撮影は従来通りフィルム撮影だが、ビデオ編集によりビデオ撮影の映像のような滑らかな映像になっており、同時期の特撮番組に比べ、高画質なのも特徴。この方式は『コスモス』まで続いた。更に台詞の収録もアフレコから同時録音方式に移行している。
なお、本作はクトゥルフ神話の世界観を取り入れた事でも知られるが、こうした要素はあくまでも後付けであり、現在では没になった設定や当初の予定から変更された設定も多数あると見られる(タイプチェンジの起源、超古代怪獣の出自など)。
なお本作の前番組は『ママはぽよぽよザウルスがお好き』(日本アニメーション制作)である。いわゆるアニメ枠だった番組枠が特撮枠に切り替えられた経緯がある。
海外でも放送され、特に東南アジアでは新たに主題歌として「目覚めよウルトラマンティガ」が製作され、現地の公認ヒーローウルトラマンリブットともヒーローショーで共演しているほどの人気を誇る。ただし、アメリカでは吹き替え版がギャグ調にしてしまった影響からか視聴率が振るわず、打ち切りになってしまった。展開に当たって『パワーレンジャー』シリーズの生みの親たるハイム・サバン氏に連絡を取ったものの、パワーレンジャー方式での放送を円谷側が嫌がったことも関係している。
しかしながら、ウルトラギャラクシーファイトシリーズはそうした欧米圏に積極的にアピールした結果、一定の評価を得ている為、今後のウルトラシリーズの動向次第では欧米圏でティガも人気を博す日が来るのかもしれない。
お隣、中国ではウルトラマンゼロと並んで大人気キャラクターであり、のちの『ウルトラマントリガー』製作へとつながった。
そしてリアタイ世代が親世代となった今も人気は高く、『全ウルトラマン大投票』では第1位に輝いている。
ちなみに平成三部作のウルトラマンの中では唯一TOP10にランクインしたウルトラマンでもある(ダイナは第17位、ガイアは第12位である)。また、ティガと同じMBSの土曜夕方6時に放送されたウルトラマンの中でトップ10にランクインしたのは、ティガとコスモスのみである。
そんな人気もあってか、2022年にはパチンコメーカー大手のKYORAKUから『ぱちんこ ウルトラマンティガ』がリリースされた。
また、楽曲は版権の都合からか「Final Wars!」、「ULTRA BURN」が使用されている。
GUTSメンバー
本作の主人公。23歳。
かつてはTPC輸送部に所属していたが、3年前にデシモ星系人の仲間と思われる異星人の母船に拉致されそうになったサワイ総監を救出したことから、その勇敢さと判断力を買われてGUTSに配属された。
超古代人の遺伝子を受け継いだ「光であり、人である」存在だったことから、ゴルザとメルバが巨人像破壊のためにティガのピラミッドを襲った際、巨人像のひとつと融合してティガに変身する能力を得る。
当初は光になることに戸惑う局面もあったが、戦いの日々の中で「自分にできること」として意味を見出してゆく。
本作のヒロイン。隊員養成所出身であり、エースパイロットとして活躍する22歳。
ダイゴへの恋愛感情を深めていくなかで、彼がティガであることにも早い時期から勘付いていたようである。イルカの「恋人」ミューはあくまで別格の存在である。
地球で生きる全ての生物は共存共栄すべきだと考えており、非常時であることを理由に武装を強化し、人類の脅威となる存在を一方的になくそうとするTPCやGUTSの姿勢に疑問を持つ。
GUTS隊長。36歳。責任感が強く、隊員達を常に信頼している。優れた観察眼と洞察力を持ち、緊急時でも冷静に状況を判断して隊員達に的確な指示を与える。
詳細はリンク先参照。
33歳。判断力・行動力に優れており、前線で現場指揮を執る頼れる「リーダー」。表には出さないものの、本人も部下の隊員を家族同様に見なしている。かつて防衛軍に所属していた時に自分の命を救ったイルマに恩義以上のものを感じており、全幅の信頼を寄せている。
隊員養成所のエースで射撃の名手。沖縄出身の26歳で、元アストロノーツ。
自らをイケメンと意識し、熱血漢だがお化けとデスクワークは苦手。子どものころは泳げなかったらしい。妹のマユミもTPCに勤務しており、両親とは死別している。ロムルス号のイヌイ、キノサキ両飛行士は養成所時代の同期(後述)。
ダイゴとガッツウイング等に同乗すると大抵墜落するというジンクスがある(通称:墜落コンビ)。
28歳。典型的な関西人のノリでシンジョウと軽妙なボケ・突っ込みを繰り広げ、GUTSの装備を多数開発した。
クリッターとのファースト・コンタクトを試みたミズノ博士の薫陶を受け、任務でも科学者としての立場にこだわる一面もある。後にエザキ・ミチルと結婚した。
18歳。エリア桜ヶ丘出身。コンピューター操作やプログラミングの天才であり、情報検索エンジン「アカシックレコード」の開発を手掛けている。
主に基地でのバックアップを担当するが、本人は前線に出られないことを不服に思っていた。
登場登場怪獣・宇宙人についてはティガ怪獣を参照。
- TAKE ME HIGHER(オープニングテーマ)
作詞・作曲:Jennifer Batten、Alberto Emilio Contini、Giancarlo Pasquini/日本語詞:鈴木計見/編曲:星野靖彦/ストリングス・アレンジ:萩田光雄/コーラス・アレンジ:鈴木弘明/歌:V6
「COLUMBIA Cover Version」では前田達也、石原慎一、風雅なおとがボーカルを担当した。
第15話より映像が変更され、ライドメカが全面に出されるようになったほか、歌詞のテロップが表示されるようになった。
- Brave Love, TIGA(エンディングテーマ)
作詞:サンプラザ中野/作曲:バーベQ和佐田/編曲:福田裕彦/歌:地球防衛団
「COLUMBIA Cover Version」では水木一郎、宮内タカユキがボーカルを担当している。
- 目覚めよウルトラマンティガ(海外版OP)
作詞:原彰孝/作曲・編曲:原文雄/歌:ボイジャー
- 青い夜の記憶(挿入歌)
作詞・作曲:G.BROOKER.K.RED/歌:須藤ひとみ
ダイゴ役にV6の長野博が選ばれたのはダイゴの設定がきっかけになっている。
元々ティガの企画書のダイゴの設定で「ジャニーズ系の美青年」となっており、それを見た毎日放送側のプロデューサーの丸谷嘉彦氏が、ジャニーズ事務所との交渉を提案、ジャニーズ側のコネを持っていなかった円谷サイドの代わりに彼の知人を通じてタレント出演を打診した所ダイゴのイメージに合う長野氏が選ばれる事になった。
こうしてV6の長野博はジャニーズ初の特撮変身ヒーローとなったのである。
因みに20話まではクレジットに「V6」表記はなかった。
長野はアイドルとして多忙な活動の最中にあったため、作中での出番が他のシリーズ主演俳優に比べて短く「ウルトラマン史上最も活躍しないヒーロー」と揶揄されることもあった。しかし平成初の”テレビで見られるウルトラマン”として、かなりのインパクトを与えてくれたことは間違いない。
長野自身ティガへの思い入れは深く、放送終了後も自らネタにすることもしばしば。また、V6の仲間からも「長野マン」としていじられるほか、年の離れたジャニーズの後輩たちから「ティガ見てました」と言われてしまうなど何かと話題は尽きない。
そしてこれは全くの余談だが、ティガのDNAを引き継いだ作品には何かしらのアイドル経験者が出演している。下記はその例。
・ウルトラマンダイナ:言わずもがな本作の続編。長野氏本人が終盤に登場。
・ウルトラマンサーガ:『ダイナ』の後日談が少し描かれ、ティガの光を受け継いだダイナが異世界で共闘したのは、当時のAKBメンバーが演じたチームU。
・ウルトラマントリガー:本作のオマージュ作品。主演が祭nine.の寺坂頼我氏である。
・ウルトラマンデッカー:トリガーの続編。寺坂氏が客演しただけでなく、レギュラー出演に上記『サーガ』でチームUの一員を演じた元AKBの宮澤佐江氏が当時とは別人役で出演。
円谷プロ恒例の四月馬鹿では、そんな長野博のキャラを反映して、ティガが多趣味でリア充な面を見せてくれる。また『ウルトラマンA』の発言に食いつき、尊敬している描写があるが、これも中の人の趣味基準。強い愛着があるのだそうだ。ちなみに『A』第27話が放送された3日後の1972年10月9日に長野が産まれた。
平成1号というだけあり、メディアでは頻繁にティガが登場するが、出演者に現役ジャニーズ、元ジャニーズがいるというだけあってジャニーズ事務所の版権の事情から『ウルトラマンティガ』本編がネットで全く配信されなかった(円谷プロ公式サブスクTSUBURAYA IMAGINATIONにもなかった)という憂き目に遭った。それだけでなく、長野が出演している『ウルトラマンダイナ』(最終章でのゲスト出演)、『THE_FINAL_ODYSSEY』、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』にもこの版権問題が波及している(ただしギガキマイラに攻撃をするシーンの中に一瞬だけ長野の声になっているシーンがある)。『ウルトラマンクロニクルZヒーローズオデッセイ』といったネットでの見逃し配信を前提とした再編集番組で該当作品が使用される場合は彼らの出番がカットされるといった徹底具合である。
映像ソフト(LD、VHS、DVD、Blu-rayBOX)、TBSチャンネル(CS放送)での再放送ぐらいしか正規の視聴方法はなく、近年の作品やジャニーズ繋がりで『ティガ』に興味を持ったファンにとっては中々に厳しい視聴条件となっていた。
配信解禁
誕生から25年。
遂にあの超古代の光の巨人が、TSUBURAYA IMAGINATIONに蘇る。
その、巨人の名は……
“ウルトラマンティガ”
2021年、『ティガ』25周年を記念して『ウルトラマントリガー』という『ティガ』のリブート作品が制作が決定しても尚、この版権問題は解決されないものと失望されていたが、25周年の2021年9月7日の放送開始時間と同じ18時からTSUBURAYA IMAGINATIONで配信開始が決定し、ファンを沸かせた。なお、全話一挙に配信するのではなく、プランに応じて1ヶ月ごとに数話かけて配信して行く模様。
そして『ダイナ』や『超8』も2022年4月1日から(『超8』についてはプレミアム会員は2022年3月1日から)配信開始が決定した。
1.平成ウルトラマン第1作目として名高いティガだが、それだけではなく平成シリーズ(新世代ヒーローズまで)の基礎フォーマットを形作った作品でもある。
例として、
- タイプチェンジ
- ウルトラマンの中の空間にいる変身者
- 闇や悪に堕ちた形態がある
- 主人公と対峙する悪のウルトラマン
- 後日談の劇場版にて登場する限定形態
- 通常状態から更に巨大化する
- 昭和ウルトラマンの客演
- 平成ウルトラマンのスペシウム光線の使用
と、この様に今ではお馴染みとなった要素はティガの段階ですでに詰め込まれており、平成ウルトラマンの元祖は伊達ではないとも言える。
2.M78星雲の宇宙人ではなく世界観を変えた最初の作品と言われることが多いが、これは誤りである。前者に関しては、製作スタッフやティガのデザイン面で本作にも少ないながら確かな影響を与えた『ウルトラマンレオ』が初の非M78星雲出身者が主人公の作品であり、後者に関しても上記にある通り、『ザ☆ウルトラマン』が世界観を変えた最初の作品であり、本作はそういう意味ではいずれの意味でも2番目の作品である。
3.最近のシリーズが過去作要素を含む展開が多いためか、「過去作要素の皆無な作品」と言われることが多いが、第49話で初代ウルトラマンが客演しており、またそれを抜きにしても上記の通りスペシウム光線が登場しているなど、実際には過去作のエッセンスが取り込まれて,いる。また、ティガにはストーリーやキャラクターなどにおいて、過去作へのオマージュが随所に見られる。
次作『ダイナ』は本作の続編であるため、ウルトラシリーズにおける過去作要素皆無の作品は、オマージュ等を除いても正確には『ガイア』である。
4.長野がレギュラー出演していたV6の人気番組『学校へ行こう!』のコーナー「未成年の主張」でとある女子中学生が、当時子役だった弟が、本作のオーディションに合格したものの、腹痛を起こして出演出来なくなったと語り「弟の夢を叶えてあげて」と主張し、長野と共演した。ちなみにその弟は、元SMAPの木村拓哉ともドラマで共演した事があるとか。
5.『ウルトラマンレオ』から受けた影響
『ウルトラマンレオ』を含む昭和2期シリーズは、昭和1期やTDG三部作などを熱心に愛するファンから見下されることも少なくないが、本作には実は『レオ』で培われたものが主人公のティガに反映されており、決してバカにしていいものではない。
というのも、ティガのアクションではレオのスーツアクターであった二家本辰己がレオで培ったノウハウが大きく反映され、その戦闘スタイルに大きく影響を与えており、ゼペリオン光線の発射までのポーズも二家本氏の考案によるものである。ティガのデザイン面でも、紫の部分はウルトラマンキングからの影響であるとデザイナーが公言している。
過去作とのつながりをほとんど無くした『ティガ』だが、劇中での昭和オマージュ等を含み、昭和2期を含んだ過去作の積み重ねがあったからこそできた作品であるというのも、忘れてはならない。
ウルトラマンコスモス:21世紀最初のテレビシリーズ1作目。
ウルトラマンR/B:平成ウルトラマンシリーズ最後の作品。
ウルトラマンクロニクルZヒーローズオデッセイ:2021年放送開始の再編集番組。『ティガ』と『ウルトラマンZ』にスポットを当てた作品。
平成ガメラ・小さき勇者たち・デジモンテイマーズ:共に『小中ガメラ』と呼ばれたプロットから枝分かれした事実上の兄弟作品であり、平成ガメラは平成以降のウルトラマンと仮面ライダーに多大な影響を与えたとされている。
大魔神:上記の通り、大映特撮の一角であり(ガメラの敵としてデザインされた)、ティガ同様の石像たちが破壊されている。
こちらも平成最初のTVシリーズ作品であり、
・超古代から蘇ったヒーロー
・複数の色の姿にチェンジする
・シリーズの従来の作品から世界観が異なる
などと共通点が多く、またティガの放送が一定の成功を収めた事により仮面ライダーシリーズ復活の機運に一役買ったとされている。
土6で放送された21世紀最初のTVシリーズ作品であり、
・続編や後日談としての劇場版が制作された
・女性の指揮官
・ラ行の名前を持つメインヒロイン
などと共通点が多く、またティガにも負けじと劣らない人気を誇っている。
ゴジラ FINAL WARS:長野と同じくジャニーズ所属の俳優が主演を務めた特撮作品。上記の記述とは異なり、公式配信されている。
ウルトラマントリガー:本作と関係性のある令和ウルトラマン。
ウルトラマン80(海外作品を含めればウルトラマンパワード) → 本作 → ウルトラマンダイナ
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