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ドレッドノートdreadnought)とは、「恐れ知らず」を意味する英単語。

概要

イギリス海軍では伝統ある艦名の一つ。特に「ド級戦艦」・「超弩級」と言った言葉のもととなった戦艦ドレッドノートが有名。また、イギリス初の原子力潜水艦にもこの名前が与えられている。

ドレッドノートを冠したもろもろのもの



戦艦ドレッドノート

1906年竣工。
当時のイギリス第一海軍卿ジョン・アーバスノット・フィッシャー提督が、軍艦設計委員会を指導して建造させた超兵器の一つ。

19世紀の大英帝国は、最強の海軍力をもって世界の海を支配していた。
しかしドイツの台頭に加え、フランスロシアなどの強国がのし上がり、次第にその地位を危うくしていた。
そこでイギリス軍の技術の粋を尽くし、「最強の攻撃力」と「最速の機動力」を併せ持つ、いわば「ぼくのかんがえたさいきょうのせんかん」を建造することでこれら有象無象どもに圧倒的な格差を見せつけようとしたのである。
こうして完成したのがドレッドノート級戦艦である。

この艦の最大の特色は、主砲による打撃力を徹底的に強化したことにある。主砲口径こそ30.5cmとこれまでの戦艦と同じだが、従来の戦艦に搭載されていた中間砲を全廃して一躍2倍を超える連装5基10門の主砲を配置し(前級ロード・ネルソン級は2基4門)、両舷に振り向けられるよう艦の中心線へ配置する主砲塔を増やし、艦橋から統一して照準することで命中率を飛躍的に向上させた。
速力も前級のレシプロ蒸気機関による18ノットに対し、小型軽量大出力な蒸気タービン採用により21ノットと優速である。
これらにより「1隻で従来の戦艦2隻分の砲門数」「全ての従来型戦艦に対して優位を取れる速力」を持つ事になり、従来の戦艦相手なら「常に相手の倍の攻撃力」で「攻めるも逃げるも完全にコントロール可能」な能力を持つ戦艦となった。
全ての戦艦を「ドレッドノート以前」とドレッドノート以後に分けてしまった程の画期的存在であった。

従来、斬新な新技術の導入は輸出艦で実験を行い、成功を見た後それを踏襲するのがイギリス海軍のやり方であったが、このドレッドノートに関してはドイツ海軍を突き放すため、自国艦を優先したのである。
当然だが、これほどの戦艦の建造には莫大な予算が必要であった。当時の様子をチャーチルはこう書き記している。
「海軍は【6隻】欲しいと言った。政府は【4隻】までだと言った。仕方がないので、その間をとって【8隻】建造することに決定した」

イギリス海軍の凄いところは、これをわずか1年の超特急で完成してしまったことにある。ドレッドノート級につながる概念はすでに提示されていたので、たとえイギリス海軍がやらなくともド級時代が来るのは時間の問題であったろう。現にアメリカ合衆国ではサウスカロライナ級の建造が同時並行で進んでいた。こちらは1910年竣工と完成が遅れたが、口径を統一した主砲を背負い式(2つの砲塔を前後に高さを変えて配置する、いわゆる「ミシガン式配置」)で艦首と艦尾に配置するという点でドレッドノートに勝っており、ドレッドノート以降の各国の戦艦建造ではこちらが採用された。

その後


ドレッドノートの出現によって、これまでの戦艦はすべて過去のものとなった。
だが、イギリスの思惑は半分当たり、半分外れた。「全ての戦艦を過去のものにする」ことには成功したものの、建造中だったものまで含めて自国の戦艦すら旧式化させてしまったことで全世界に対して圧倒的だったイギリスの海軍力を一旦リセット、新たな挑戦者を後押しする結果となり、ドレッドノートの建造に伴って世界的な建艦競争はむしろ激化してしまった。

さらにドレッドノートを上回る巨砲を持つ超弩級戦艦の出現で、全ての戦艦を過去のものにしたドレッドノートは、一瞬にして最強の座を追われた。大艦巨砲主義の幕開けである。
そして高性能化していく戦艦・巡洋戦艦の建造及び運用コストの増大はとどまることを知らず、各国の国家財政を圧迫する深刻な軍拡競争の発端となった。
これが後のワシントン海軍軍縮条約締結に至る原因となり、ドレッドノート自身の寿命も縮める結果となる。

建造後10年も経たない第一次世界大戦では既に旧式扱いされ、史上最大の戦艦決戦の一つであるユトランド沖海戦にも参加せず、終戦1年後の1919年に退役した。戦果はUボート一隻撃沈のみという寂しい結果に終わった。
※ちなみにこれは戦艦が潜水艦を沈没させた(というかぶつかって沈めてしまった)空前絶後の例である。

こうして彼女は自らが起こした大艦巨砲主義によって歴史から退場した。


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