インヴィンシブル
いんゔぃんしぶる
- 無敵・不敗などを意味する英単語「invincible」のカナ表記。日本では不可視を意味するインビジブル(英:Invisible)と混同されることもあるが全く別の意味。
- 主に欧米で使われる艦名の一つ。本記事で詳述
- アメコミ作品、および主人公名。→インビンシブル
- スタニスワフ・レムの小説。及び同作を原作とするゲーム。
- 『アクセル・ワールド』に登場する能力。→スカーレット・レイン
インヴィンシブル(Invincible)とは無敵、不敗、不死身などを意味する単語。英語のイン~ブルという形容詞は、可能を表すブルと否定のインを組み合わせて「~不可能」という意味を持つが、インヴィンシブルの場合は「征服不可能」、ひいては「無敵」を表す。
「不可視」を意味する「インビジブル」とは語感が似ているので注意。
フランス、イギリス、アメリカなどで使われる艦名の一つ。イギリス海軍では7隻の軍艦に名付けられ、そのうち巡洋戦艦と軽空母(いずれも一番艦となった)などが有名。
巡洋戦艦インヴィンシブル(6代目)
メインイラストの軍艦。史上初の巡洋戦艦。1908年就役~1916年戦没。同型艦にインドミタブルとインフレキシブルがあり、語呂が揃えられている。
史上初のド級戦艦ドレッドノートが従来の戦艦を凌駕したのと同様、装甲巡洋艦を凌駕する艦としてイギリス海軍の名物男フィッシャー提督の肝煎りで建造された軍艦。フィッシャーの「速力は最大の防御」の信念を形にしたもので、ドレッドノートと同じ30.5㎝砲を装備し、25.5ノットの高速でありながら、同時期のドイツ装甲巡洋艦ブリュッヒャーより劣る装甲など巡洋戦艦の性格である大攻撃力・高速・薄い防御の典型であった。
第一次世界大戦では、高速を生かしてフォークランド諸島にダブトン・スターディー中将の旗艦として姉妹艦インフレキシブルと共に派遣され、コロネル沖海戦で意気上がる旗艦装甲巡洋艦シャルンホルスト、装甲巡洋艦グナイゼナウを主力とするドイツ東洋艦隊を捕捉。味方軽巡洋艦を逃す為に殿となったドイツ両装甲巡洋艦と交戦し、23発被弾しながらもこれを撃沈し、巡洋戦艦開発のコンセプトであった装甲巡洋艦を凌駕する艦である事を実証した。
そして第3巡洋戦艦戦隊司令官ホレース・フッド少将の旗艦として臨んだ史上有数の大海戦ユトランド沖海戦ではドイツ偵察部隊旗艦の巡洋戦艦リュッツォウの喫水線下に致命的となる命中弾を与えるも、8600mの近距離からリュッツォウ、巡洋戦艦デアフリンガーの砲撃を受け、そのうちの一弾にQ砲塔前盾を貫通されての弾薬庫爆発により命中から90秒以内に轟沈。インディファティガブルとクイーン・メリーに引き続き、この海戦で沈んだ4隻の巡洋戦艦の3隻目となった。
このように、インヴィンシブルは巡洋戦艦の誕生・栄光・悲劇の三つに関わった、巡洋戦艦の代名詞のような艦である。
軽空母インヴィンシブル(7代目)
史上初のVTOL空母。イギリス海軍自身の分類では「支援空母」。1980年就役~2005年退役。同型艦にアークロイヤルとイラストリアスがある。
本艦が最も活躍した舞台となったのは英国とアルゼンチンのフォークランド諸島を巡る戦いである(フォークランド紛争)で、奇しくも先代インヴィンシブルが最も活躍した海戦と同じ海域であった。
1982年2月25日にオーストラリアへオーストラリアの名称での売却が合意されていたが、4月2日のアルゼンチンのフォークランド侵攻により、フォークランド派遣艦隊旗艦である空母ハーミーズと共に艦隊の主力として搭載したVTOL戦闘機ハリアーを有効に活用し、軽空母でも制空権を握ることが可能なことを示した。戦争終結より1年後にオーストラリアへの売却はキャンセルされている。
その後もボスニア戦争、コソボ紛争、イラク飛行禁止空域の監視・管制などに従事している。