ピクシブ百科事典

原子力潜水艦

げんしりょくせんすいかん

原子力潜水艦とは、名前の通り原子炉を動力源とする潜水艦のことである。原潜と略称される。
目次[非表示]

概要

原子力潜水艦は潜水艦の動力源に原子炉を用いた物を指す。
対となるのがディーゼル機関による通常動力潜水艦であり、両者とも外見的には同様だが、中身が大きく異なっている。
当然、原子力を扱う故に原子力技術を持つ国のみしか保有しておらず2013年現在、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インドの6ヶ国のみが保有している。
また、インド以外の5カ国は戦略ミサイル原子力潜水艦も保有している。
その動力源が原子炉である為、酸素を使わずに莫大なエネルギーを長期に渡って得ることが可能であり、その分通常動力型よりも速いスピードを出すことが可能になっている。燃料補給は数年~数十年に一度で済む上、点検も通常動力型より少なく済む。また、酸素を海水の電気分解から得ることが可能であり、通常動力潜水艦では成し得ない長期間の連続潜水が可能になっている。(しかし、中の人間、食料などはそうはいかないので最長でも約2ヶ月が目安になっているという)
大きく分けて

  • 水蒸気により蒸気タービンを作動させ、それによりスクリューを回転させるタイプ
  • 水蒸気により駆動したタービンで発電し、その電力を電動機に供給してスクリューを回転させるタイプ
と2タイプ存在するが、後者のタイプは今はあまり多くみられないタイプになっている。

主な弱点としては騒音が通常動力潜水艦よりも大きく、潜水艦の命ともいえる隠密性が大きく削がれてしまうこと、メルトダウンや放射能漏れの危険が存在する事などが挙げられる。

歴史

1940年代にはすでにナチス・ドイツや大日本帝国海軍などでも次世代エネルギーとして原子力が注目され、それを搭載した潜水艦についての構想が考えられていたという。
その後、アメリカ海軍内で研究が推し進められ、1954年に世界初の原子力潜水艦「ノーチラス」が完成した。このノーチラス号は世界で初めて北極の下を潜航して横断したことで有名である。
その後、戦略ミサイル原潜も開発され、冷戦時代から現代に至るまで世界中の各海域に潜航し報復用ミサイルが世界中、どこへでも発射出来る体制になっているという。

有名な原潜

アメリカ

攻撃型原子力潜水艦。動力源として3万5000馬力の『S6G型原子炉』を1基搭載。最大潜航深度は457メートル。原子力潜水艦の中で運用・配備数・建造艦数ともに最多・最長。 改同型艦を含めると62隻である。現在では順次退役しているが、実質的な後継艦であるバージニア級原子力潜水艦の配備が進む2015年までは主力艦として保持される予定。
アメリカ海軍・ロサンゼルス級原子力潜水艦『USSトピカ(SSN-754)』(1989年10月21日就役)

アメリカ海軍・ロサンゼルス級原子力潜水艦『USSコロンビア(SSN-771)』(1995年10月9日就役)


  • オハイオ級原子力潜水艦
戦略ミサイル原潜。その巨体は現存する潜水艦のシリーズでは最大クラスであり、搭載可能ミサイル数も世界最多。動力源として6万馬力の『S8G型原子炉』を1基搭載。最大潜航深度は300メートル。
アメリカ海軍・オハイオ級原子力潜水艦『USSペンシルベニア(SSBN-735)』(1989年9月9日就役)

アメリカ海軍・オハイオ級原子力潜水艦『USSワイオミング(SSBN-742)』(1996年7月13日就役)


  • シーウルフ級原子力潜水艦
ロサンゼルス級の後継艦として開発された世界最強の攻撃型原潜。動力源として5万2000馬力の『S6W型原子炉』を1基搭載。最大潜航深度は610メートル。実際、世界最強クラスのスペックを得たがアメリカ海軍が泣きつくほどのコストと冷戦の終結によって活躍が薄れてしまったため、最初の1隻とつなぎの2隻、計3隻のみ建造、運用された。
アメリカ海軍・シーウルフ級原子力潜水艦(紹介映像)


ロシア(ソ連)

  • デルタ級原子力潜水艦


ソ連の戦略ミサイル原潜。魚雷発射管4門およびミサイル発射管16門を備え、動力源として5万9900馬力の『VM-4SG型原子炉(2基一組構成)』を搭載。最大潜航深度は450メートル。なお、デルタ級原子力潜水艦「スヴャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセツ」は2021年末までに解体予定。
ロシア海軍・デルタ級原子力潜水艦『スヴャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセツ(K-433)』(1980年12月15日就役)


  • タイフーン級原子力潜水艦

出航~ラミウス達の旅立ち~


デルタ級の後継艦として開発された世界最大の戦略ミサイル原潜。動力源として4万9600馬力の『OK-650VV型原子炉』を2基搭載、最大出力は9万9200馬力に達する。最大潜航深度は400メートル。ミサイル発射管を20門も備える桁外れの潜水艦だが、維持費の方も桁違いであり、タイフーン級で唯一就役中の「ドミートリー・ドンスコイ」も2020年度をもって運用終了予定である。
ロシア海軍・タイフーン級原子力潜水艦『ドミートリー・ドンスコイ(TK-208)』(1981年12月29日就役)

ロシア海軍・タイフーン級原子力潜水艦『ドミートリー・ドンスコイ(TK-208)』(紹介映像)

  • ボレイ級原子力潜水艦
タイフーン級の後継艦として開発された戦略ミサイル原潜だが、実質的にはデルタ級の後継艦である。魚雷発射管6門およびミサイル発射管16門を備え、動力源として4万9600馬力の『OK-650V型原子炉』を1基搭載。最大潜航深度は450メートル。
ロシア海軍・ボレイ級原子力潜水艦『ウラジーミル・モノマーフ(K-551)』(2014年12月19日就役)


  • ヤーセン級原子力潜水艦

ロシアの多目的撃原潜。魚雷発射管10門およびミサイル発射管8門を備え、動力源として4万3000馬力の『KPM型原子炉』を1基搭載。通常潜航深度は520メートル、最大潜航深度は600メートル。
ロシア海軍・ヤーセン級原子力潜水艦『カザン(K-561)』(2017年3月31日進水)

イギリス

  • チャーチル級原子力潜水艦コンカラー
HMS S48 コンカラー


フォークランド紛争において戦闘艦と交戦して魚雷で撃沈するという戦果を上げた。

日本の原潜保有

現在、日本は原子力潜水艦を保有しておらず、また保有する計画もない。

維持コストがかかりすぎることも一因であるが、原子力潜水艦が海上自衛隊のドクトリンに適合しない(要は現在の日本では原潜の使い道が無い)からである。本来、原潜が得意とするのは(長大な航続距離と深々度潜航、潜航時間を活かした)敵艦攻撃や巡航ミサイル発射といった、外洋における攻撃的な任務であり、沿岸哨戒には通常動力型の方が向いている。

関連動画

原子力潜水艦(解説動画)

アメリカ海軍・バージニア級原子力潜水艦『USSテキサス(SSN-775)』(2006年9月9日就役)
アメリカ海軍・バージニア級原子力潜水艦『USSコロラド(SSN-788)』(2018年3月17日就役)
イギリス海軍・アスチュート級原子力潜水艦『HMCSアスチュート(S119)』(2010年8月27日就役)


関連タグ

潜水艦 海軍 沈黙の艦隊 冷戦
MUTO…映画『GODZILLA-ゴジラ-』に登場した怪獣。劇中ロシアのアクラ級原子力潜水艦を襲撃し、放射性物質を捕食していた。

関連記事

親記事

潜水艦 せんすいかん

子記事

兄弟記事

pixivに投稿された作品 pixivで「原子力潜水艦」のイラストを見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 36047

コメント