概要
改同型艦を含めると原潜史上、単一のクラスとして最大の配備数および最長の建造期間記録の62隻である。
優秀な性能と優れた量産性を両立させることで、1970年代以降のアメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦戦力の基幹を構成した。また、トマホーク武器システムおよびVLSの装備により、潜水艦に対地火力投射(シー・ストライク)という新しい任務を付与したことで、潜水艦戦略に新しい側面を切り開くことにもなった。
本級は、新世代のソ連原子力潜水艦(タイフーン級原子力潜水艦など)に対抗するため、従来のアメリカ海軍が整備してきた攻撃型原子力潜水艦に拘泥せず、意欲的な設計を採用している。適切なトレードオフにより、従来よりもはるかに優れた静粛性と速力を実現し、これに統合ソナー・システムとデジタル化された水中攻撃指揮装置、そして新型のMk 48魚雷およびサブ・ハープーン対艦ミサイルを組み合わせることにより、本級は、極めて卓越した戦闘能力を有するようになっている。その一方で、潜行可能深度は前任者の3/4程度となり、氷海での活動能力は大幅に制限され、居住性は低く、また、将来発展余裕も限定的となった。
本級は、その優れた性能を買われて当時進められていたソ連海軍潜水艦戦力の増強に対抗するため、1972年から1995年の23年間にわたって、実に62隻もの多数が建造された。このように、建造が長期にわたったことから、本級は、段階的な改良を施されつつ建造されている。公式には、SSN-688~718のフライトI、719~725、750のフライトII、751~773のフライトIII の3ブロックに分けられる。識別点としては、フライトIIについてはトマホーク巡航ミサイル用VLSの追加、フライトIIIについては潜舵の移設(セイル側面から艦首(引込み式))がある。なお、このように大きく艦容が変化したことから、フライトIII は改ロサンゼルス級と呼ばれる。
ほぼ四半世紀にわたり、米原潜の主力の座にあったが、さすがに旧式化が隠しえないため、前期建造艦を中心に退役が進められているものの、後継のバージニア級原子力潜水艦の配備が進む2015年頃までは、主力の座を保持する予定。