概要
原子力潜水艦「ノーチラス号」とは、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦(艦番号:SSN-571)。後に「アメリカ原子力海軍の父」と称されることとなるハイマン・G・リッコーヴァー提督の指導のもと建造された、世界初の原子力潜水艦である。
通常、潜水艦はディーゼルなどを動力とするが、燃料効率の問題上、この様な通常動力型潜水艦では航続距離に限界があり、また潜行時には主に蓄電池の電力と酸素を消費するため連続潜航に限界があった。これに対し、ノーチラスは原子力機関を搭載することで燃料消費の効率化と電力及び酸素供給の問題を解決し、通常動力型潜水艦よりも長期間である最大30日(後に空調システムの換装により最大60日まで延長)の連続潜航と通常の艦艇とは比べ物にならない航続距離を実現した。これにより、『海底二万里』のノーチラス号のように、潜水したままの世界一周を実現したのである。
ノーチラスの成功は、それまで単に「潜ることができる艦(可潜艦)」に過ぎなかった潜水艦を、「潜ることが専門の艦」たる真の潜水艦へと進化させることとなった。
1954年1月21日に進水し、同年9月30日に就役。12月30日には原子炉が初めて臨界に達し、翌1955年1月3日に初の全力運転を行う。同年1月17日11時、史上初の原子力を使っての運転に成功。この際に発した「本艦、原子力にて航行中(Underway on nuclear power)」の信号は、1958年8月3日に世界で初めて潜行状態で北極点を通過するという快挙を達成した際に発した「ノーチラス、北90度」の信号と共に有名である。
1980年3月30日に退役し、現在はノーチラスを建造した造船所が位置するコネチカット州グロトンにおいて記念館としての余生を送っている。