レッド・オクトーバーを追え!
れっどおくとーばーをおえ
原作は1984年にトム・クランシーにより発表された長編小説で、CIAアナリストのジャック・ライアンが活躍するシリーズの記念すべき第一作。
ソビエト連邦の最新鋭弾道ミサイル原子力潜水艦「レッド・オクトーバー」は、処女航海の時を迎えていた。しかしその初代艦長にして、世界の軍関係者から一目置かれるほどの優れた潜水艦乗りであるマルコ・ラミウス大佐は、長年に渡ってソ連の体制に不満を抱いていた。
そして妻が病気を患った際に、手術の担当医が無能だった上に酔っぱらっていたせいで手術に失敗して亡くなったことで遂に忍耐を使い果たしたラミウスは亡命を決意。子飼いの士官達の同意を得ると、お目付け役の政治将校を事故に見せかけ殺害し、本来の命令書を焼却すると、艦の乗員たちに「ミサイル演習を行いながらキューバへ向かう」と偽の任務を告げ、レッド・オクトーバーを手土産に士官たちとアメリカ合衆国への亡命を試みる。
レッド・オクトーバーを追撃するべく演習を装って展開したソ連軍とそれを牽制する米軍が一触即発の緊張状態に陥る中、一人ラミウス艦長の意図を悟ったライアンの奮闘が描かれる。
レッド・オクトーバーは当時ソ連海軍の最新鋭戦略原潜であるタイフーン級原子力潜水艦の改良型で、架空の超静音推進システム「キャタピラー・ドライブ」を搭載した最新鋭の潜水艦として設定されている。なお、「キャタピラー・ドライブ」の設定は原作と後述する映画版でそれぞれ異なり、
- 原作:艦両舷に装備したフロートンネル内に設けられた機械的な羽根車
- 映画版:磁器流体力学を利用した、いわゆる電磁推進システム(作中では「水中のジェットエンジン」と説明)
と設定されている。ただし、いずれもソナーに容易に探知されない程の超静音推進を実現していることは共通している。これにより、レッド・オクトーバーは厳重な対潜警戒網を突破してアメリカ近海まで進出し、搭載しているSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)による核攻撃を行うことを可能としているが、その性能故に世界情勢を不安定化させるリスクも孕んだ危険な艦でもあった。
ちなみに艦名は、ソビエト連邦成立のきっかけとなった1917年の十月革命に由来するとされている。
冷戦終結後の1990年にパラマウント映画を配給元として映画化されており、本作のために作曲された劇中歌「Hymn to Red October」でも有名である。
- 映画冒頭シーン
- Hymn to Red October