概要
財務省対戦車中隊とは、日本国財務省の戦闘部隊。いざというときに財務省職員が自ら前線へと赴き、自衛隊に代わって『ジャベリン』などの対戦車ミサイルを担いで敵戦車へと突撃する部隊である。
財務省が防衛省に対し、防衛予算決定の最終決定権を持つ自分たちの決意と覚悟を示すことを目的に結成された。いざとなれば、本省職員約2,000人に加え、国税庁や税関、財務局職員など合計70,000人超の財務省関連職員が対戦車戦闘要員として活動する。
もちろんネタである。現実にはそんな部隊存在しない。
主として旧Twitter(現𝕏️)を中心として、局所的にそのネタが囁かれているワードである(下の外部リンク参照)。
表記ゆれ
- 財務省対戦車部隊
- 財務省対戦車連隊
- 財務省特別対戦車連隊
- 財務省特別挺身対戦車師団
- 財務省臨時対戦車連隊
- 財務省対戦車ミサイル部
- 財務省特別対戦車ミサイル大隊
- 財務省対戦車挺身隊
- (他多数etc.)
本記事では、ネタとして一番浸透していると思しき「対戦車中隊」と表記したが、部隊規模は連隊から師団まで振れ幅が大きく、特に決まっていない。
ネタが広まった経緯
発端となった財務省資料
発端は2022年4⽉20⽇に財務省が公開した防衛関係資料(PDF)。その資料ではウクライナ侵攻緒戦でウクライナ軍が『ジャベリン』などを使⽤し、ロシア軍の戦車や装甲車を多数破壊することに成功した事例を上げ、戦車よりジャベリン1発や1セットの調達価格の方が圧倒的に安いと比較し、自衛隊に高価な戦車を配備するより安いジャベリンで十分でしょ(意訳)という趣旨の主張がされているようにも読み取れた。
ジャベリンは確かに安いが、資料公開後、ネット上のミリオタ界隈の一部がすぐ反応した。この資料ではジャベリンで十分と言い切れない以下のような問題があったからである。
- ジャベリン一発を敵戦車に撃ち込むのに何人の兵士が犠牲になるかが言及されていない。
- 当のウクライナ軍が戦車の提供を各国に要求していることが無視されている。
- そもそもジャベリン1発で確実に戦車1台仕留められると言い切れない。戦車1台とジャベリン1発または1セットの比較は、そもそも比較になってない。
- チャレンジャー2など14発の対戦車ロケット弾と、ミラン対戦車ミサイルが直撃してなお撃破されなかった事例もある。
ネット上では「財務省が防衛予算を削減したいあまり、現場の自衛官に無駄な出血を強いようとしている」という風にも読み取れなくもないことへの批判も込め、局所的に「この資料はいざとなれば財務省がジャベリンを職員に担がせ、敵戦車に突撃させるという決意の表れ」と冗談交じりで囁かれるようになる。
そこから派生し、財務省が有事にジャベリンを職員に担がせた部隊を編成するという冗談が生まれ、その部隊の名前として誕生したのが『財務省対戦車中隊』なるパワーワードだった。この時点だと単なる身内ネタに過ぎなかったが……
まさかの財務省への直接質問
このしばし後、浜田聡議員が国会にて上の財務省資料に関する質問書を送付(該当質問書)。その中には上記の財務省資料でのジャベリンと戦車の比較を挙げ、次の質問をしていた。
「ジャベリンと戦車を比較する記述は、いざとなれば、財務省職員自ら前線に赴き敵の戦車にジャベリンを打ち込むという決意の表れ若しくはジャベリンの使用訓練や前線に赴く義務の法制化に向けた立法府へのメッセージと解釈してよいか」
見ての通り、上記のネット上での冗談を財務省に直接ぶつけたのである。そんなこともあって上の資料、ひいては「財務省対戦車中隊」の冗談はさらに認知されるようになってしまった。ちなみに上記の浜田議員の質問に対する回答は、
「御指摘の資料は、御指摘のような決意等を念頭に置いて作成したものではない」
と、しごく当然のものとなっている(該当答弁書)。
余談
この話はいわゆる「戦車不要論」に通じるものがあるが、そちらの議論は「戦車」の記事なども参照のこと。不要論を推す人の中には、財務省的には自衛隊の戦車運用の予算には割と本気で頭を抱えているんじゃないか、とする声もある。
またこれとは別に、件の財務省資料は少なくとも「戦車を無くしてジャベリンで自衛官突っ込ませろ」とは一切書いておらず、「自衛隊が戦車を買う理由を何もわからん国民に説明しろ」という趣旨の内容である(=自衛隊の戦車保有は否定していない)との指摘もある。実際、財務省資料にて戦車とジャベリンの比較が行われた項目の名称も『防衛装備の必要性に関する説明責任』となっている。
なお、自衛隊はジャベリンを保有していないが、性能が類似する国産品の01式軽対戦車誘導弾をはじめ、多数の各種対戦車誘導弾を広く配備している。
外部リンク
- 𝕏️での『"財務省対戦車中隊"』検索結果(非ログイン状態の場合閲覧不可)
- togetter
関連タグ
巡視船やまと:ほぼ同類(?)のネタ