概要
装甲を施した車両のうち、積極的に戦闘に参加せず、人員、物資の輸送に従事するものを指す。
軍用車両としては兵員輸送車や装甲トラックなどが該当し、強力な火力により戦闘を行う戦車や自走砲などは文脈的に含まれないことが多い。
充分な防御力があれば危険な環境の中で人員の死傷率を大幅に下げる効果が期待できるが、想定環境に対して防御力が中途半端だと退避を妨げるだけの拘束具と化し、密閉空間で榴弾や焼夷弾の威力を大幅に向上させる殺人装置と化してしまう場合もある。
また防御力が十分な場合でも、居住性や使い勝手とのトレードオフになりがちで、快適さのために窓を開けたりベルトを外していたため車体は無事なのに乗員が死傷してしまうという事例もある。
また警戒任務に於いては心理効果も無視しがたい。
見た目に明らかなほど強固な装甲車は威圧感があり、特に戦車に似たフォルムを持つ装軌装甲車は見る者に対して強い威圧感を与えるため、戦場では戦車と誤認・錯覚させることで敵の(特に歩兵の)士気を挫く効果もある。
対して軽装甲車両は示威降下は減るものの、地域住人たちに威圧的・敵対的な印象を抱かせて警戒させにくく、加えて市街地では高速で移動できるため渋滞の原因になりにくいため、無用な摩擦や武力衝突を回避しやすくなるというメリットが実証されている。
非軍用の装甲車
この記事では軍用車両について主に解説したが、民間の防弾車、現金輸送車なども装甲を施した車両ではある。民間防弾車の基準としては、欧州標準化協議会の制定したレベルが有名。最小レベルの拳銃弾がギリのB1から軍用のフルサイズ小銃弾まで耐えられるB7までの7段階となっている。