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兵員輸送車

へいいんゆそうしゃ

軍用車両である装甲車のなかでも兵員輸送、人員輸送をする用途の車両。

概要

正式には装甲兵員輸送車(英名Armoured Personnel Carrier,APC)。
または文民を載せることもあることから装甲人員輸送車及び人員輸送車とも。
警察の人員輸送車や護送車も、ある意味ではこれの一種といえる。

軍事用の装甲兵員輸送車(以下APC)の場合、戦場において兵士を目的地まで安全に輸送するのを主目的とした車両で、わかりやすく言えば「戦場用のバス(あるいはタクシー)」である。
また、APCは前線へと赴く兵士たちの移送のほか、撤退時の歩兵の引き上げ支援や負傷兵ならびに遺体の回収、状況次第では指揮官らが搭乗しての指揮車両として使用されることもある。

なお、歩兵部隊と共に積極的な戦闘や火力支援を行うのが目的の歩兵戦闘車IFV)とは異なり、APCは「兵員輸送車」の名の通り輸送重視の車両である。
IFVもある程度の兵員輸送用のスペースは確保されているが、機関砲対戦車ミサイルといった強力な武器を装備し、また最前線での直接戦闘に耐えられるだけの重装甲を有している分、輸送能力を重視しているAPCに比べるとペイロード(荷物や乗員・乗客の輸送量)はどうしても劣り、また製造コストも高くなる。

多数の砲弾が行き交う戦場において、ただの歩兵はスピードが遅く目的地に到達するまでに時間がかかり、なおかつ脆弱なため移動の間に被弾して死傷してしまう可能性も高かった。
しかし、同時に歩兵はあらゆる戦場において必要不可欠な軍事の要であり(陸の王者たる戦車でさえ、市街戦などの不利な状況下では随伴歩兵がいなければただの的である)、移動中のいたずらな消耗は極力避けたいのもまた事実であった。
この問題を「装甲で保護された車両に兵士をまとめて乗せて移動する」ことで解決したのがAPCである。

第二次世界大戦前まではトラックに兵士を乗せて輸送していたのだが、いかんせんただのトラックでは耐久性も兵員の安全性も低く、悪路の走破性にも問題を抱えていた。
そのため、車体に対弾性能のある装甲を施し、悪路対策に無限軌道を採用するなど、装軌装甲車ハーフトラックの性質を持ったAPCが登場し、第二次世界大戦を中心に各勢力で多数の車両が開発・投入されていった。

APCは、車体をある程度の装甲で守られているため歩兵用の小銃弾や小口径の砲弾の破片程度ならば防御可能で、歩兵に比べてスピードも速いので目的地までの速達性も高く、ペイロードも多いため各員の装備も一緒に搭載して移動でき、歩いて移動するより楽だし比較的安全なので兵員の体力温存や士気の維持にも役立つ…と、前線で戦う歩兵たちにとって頼もしい存在であった。

反面、輸送能力に重きを置いているぶん大した武装は搭載できず、自衛用に機関銃をいくつか据え付けたり、搭乗している兵員が車体に設けられた射撃用の穴(銃眼)やハッチから歩兵用の銃器で応戦する程度であった。
また、正面きって敵と渡り合うのが主目的の戦車に比べると装甲も薄く、敵戦車ならびに対戦車砲の砲弾の直撃や、強力な対戦車兵器相手にはほとんど無力であった。
そのため、第二次世界大戦後は兵員の輸送に加え、重武装・重装甲を施して直接戦闘への対応をも両立させたIFVが登場することとなる。

現在では、大規模な戦闘が減少したため、脅威が大きく危険な地域では攻防共に優れたIFVが、後方や治安維持目的ではコストや積載量に優れたAPCが住み分けされる形で運用されており、また装軌式に比べて整備しやすくスピードも速い装輪式のAPCも多く投入されている。

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装甲車…大まかにいえば、兵員輸送車もこれの一種である。

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