曖昧さ回避
1
公共交通機関の一つ。
乗用車で料金を払った客を目的地まで送り届ける旅客サービスで、それに供されるクルマについても指す。
公共交通の中ではもっとも個人利用性の高い形態である。
2
タクシー運転手を主題にしたフランスまたはアメリカのカーアクション映画。
→TAXi
本項では1について詳しく解説する。
日本のタクシー 🚕🚖
事業者
日本では事業に必要な免許と許可がなければタクシー事業を営むことができない。
事業者は法人であるタクシー会社と、より厳しい条件をクリアして免許・許可を得た個人タクシーにの2つがある。
ちなみに現在茨城県、山梨県、鳥取県、島根県には個人タクシー業者が存在していないようである。
また地域ごとに台数が決められており、既に営業権を取得している台数が上限ギリギリの地域では新規開業や既存事業者が増車することは不可能に等しい。
このため台数を増やしたい既存事業者は
- 他社を買収して関連会社としたり自社の新しい営業所とする
- 買収した他社が持っていた台数を自社の持つ営業所に振り分ける
- 業務提携を結んで自社グループに組み込む
などの対処法をとる。
新規開業も同じようなもので、廃業予定の事業者を買収するか営業権の譲渡を受けるしかない。
乗務員資格
旅客運送を業務として行うので、運転手は「第二種免許」が必要である。タクシーの車格は大体普通自動車免許で乗れる車種であるので「普通自動車免許」以上の第二種免許が要るが、普通自動車の第一種免許では不要な「深視力」が「普通自動車免許」から課せられるなど、身体要件も厳しくなっている。ただし車両自体は基本的に既にAT車ばかりになってきているため、AT限定の二種免許でも乗務に問題はなく、新規に運転手になった人の元々の当該車種一種免許がMT免許でも、二種についてAT限定というケースはある。
運賃について
基本運賃
距離制運賃 | |
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初乗運賃 | 乗車してから一定の距離までの運賃。例えば東京23区と武蔵野市・三鷹市であれば1km52mまで420円 |
距離加算 | 一定距離を走行するごとに一定の運賃が加算される。例えば東京23区と武蔵野市・三鷹市であれば233m進むごとに80円加算。 |
時間距離併用制運賃 | タクシーのスピードが一定値以下で走行していたり、停止していたりする間は、経過時間をある計算法を元に距離に換算して運賃を加算する。23区・武蔵野市・三鷹市であれば85秒毎に80円加算。高速道路・自動車専用道上では時間加算を行わず、純粋な距離加算となる。 |
定額制運賃 | 空港タクシーでよくある例。指定した発着地間で事前に予約してあれば距離・ルートに関係なく定額。 |
事前確定運賃 | 指定の配車アプリで配車注文をする際に目的地と走行ルートまで指定するとそのルートに応じた運賃が乗車前に確定するもの。 |
時間運賃 | 30分或いは1時間○○円という基準で、前もって何時から何時までと乗車契約をした時間だけで決まる運賃。単に貸切運賃と呼ばれることもある |
貸切運賃 | 時間・距離に関係なく、例えば「乗務員の一日の売上で見込まれるであろう最低の金額」を乗客が運賃という形で補償することで乗務員と車を1日借り上げるもの。 |
運賃以外の料金
迎車料金 | 電話やアプリなどでタクシーを呼んだ場合にかかる料金。迎車料金は1両単位で請求される。タクシー会社が運用している乗り場に車が居らず、配車センターに配車を希望した場合は無料になる。 |
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待機料金 | 配車後、客都合でタクシーを待たせる時にかかる料金。大体10分を超えると加算される。 |
車種指定料金 | ワゴン車や高級車など特定の車種を指定した場合にかかる料金。バリアフリー対応の福祉車両には指定料金はかからない事が多い。 |
通行料金 | 乗客の希望で有料道路を通行した場合、有料道路の通行料は乗客が負担する。運転手に負担を求めると道路運送法により運転手は乗車を拒否出来る。(※) |
※:道路運送法第13条に定められた一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款の第4条運送の引受け及び継続の拒絶に
運送に関し、申込者(旅客)から特別な負担を求められたとき
と規定されている。
割増・割引
深夜割増 | 22時もしくは23時から翌朝5時までの間、2~3割加算される。と言っても初乗り・加算額共に昼間と同額なので、メーターの回るスピードが早くなる(運賃が上がる距離が短くなる) |
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冬季割増 | 冬の間道路事情が劣悪になる地域に限り、厳冬期に終日2割加算。こちらもメーターの回るスピードが早くなる。 |
障害者割引 | 障害者手帳を提示することで1割引。 |
遠距離割引 | 一定運賃以上利用した場合、一定額を割引。一般的なものは9,000円を超えた分を1割引だが、関西圏を中心に5,000円を超えた分を5割引とする事業者も多い。 |
小型料金と中型料金
以前は多くの地域で運賃が小型料金・中型料金と分けられていた。
タクシーの小型車は乗客の定員が4人、中型車は5人となっており、中型セダンは後席の足元がやや広く、前席がベンチシートとなっており運転手と並んで3人座ることが出来た。
しかしメーカーのモデルチェンジで6人乗りセダンが無くなり、近年では小型・中型の区分けを廃止して普通車料金とする地域が増えている。
小型・中型の区別がある地域は以下の通り
- 北海道C地区(小樽市・千歳市・恵庭市・北見市の旧北見市域と旧端野町地区)
- 秋田B地区(秋田市以外の秋田県全域)
- 山形県全域
- 福島県全域
- 新潟県A地区(新潟市の旧新潟市域と旧豊栄市域、旧中蒲原郡亀田町域、北蒲原郡聖籠町域)
- 石川県全域
- 東京島しょ部
- 兵庫県姫路・東西播(姫路市・相生市・加古川市・たつの市・赤穂市・西脇市・三木市・高砂市・小野市・三田市・加西市・加東市・宍粟市・多可郡・加古郡・神崎郡・揖保郡・赤穂郡・佐用郡・魚住町瀬戸川以西の明石市)
- 兵庫県北部(豊岡市・篠山市・養父市・朝来市・丹波市・美方郡)
- 淡路島
- 奈良県全域
- 和歌山市域(和歌山市・海南市)
- 鳥取県全域
- 愛媛県全域
- 香川県全域
- 徳島県全域
- 福岡B地区(大牟田市・久留米市・直方市・飯塚市・田川市・柳川市・八女市・筑後市・大川市・行橋市・豊前市・宗像市・福津市・うきは市・宮若市・嘉麻市・朝倉市・みやま市・朝倉郡・鞍手郡・嘉穂郡・三井郡・三瀦郡・八女郡・田川郡・京都郡・築上郡)
- 宮崎県全域
- 鹿児島県九州奄美地区(奄美市・奄美大島本島・大島郡)
装備品
メーター | 料金を計算・表示する。毎年検査を受ける。 |
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実空車表示機 | 別名スーパーサイン。助手席側ダッシュボード上に付いており、その車両が現在お客を乗せているか否か、回送中か営業中かなどが分かる。最近ではタクシー強盗発生時などにSOSや助けてなどと表示することも出来る。 |
カードリーダー | クレジットカード・デビットカードの支払に使用する。電子マネーでの支払に対応する機械もある。 |
行灯 | 正式名称社名表示灯。点灯させる基準は会社や地域によって異なる。 |
自動ドア | 後部座席左側のドアは運転席からの操作で自動で開閉できる。セダンの場合はテコ式とバキューム式、ワゴン車やミニバンの場合電動スライド式。 |
カーナビ | 付けていない会社もある |
無線 | 配車センターから乗務員へ利用者の配車希望場所を伝達することなどに使用する |
乗務員証・運転者証 | 乗務員証は会社独自のもの。運転者証はタクシーセンターやタクシー協会が発行する。顔写真や名前が書かれている方が裏側。表側は車外を向いている。 |
ドライブレコーダー・防犯カメラ | 事故やタクシー強盗発生時などの証拠映像記録用 |
ETC車載器 | 大都市圏の事業者を中心に装備。ETC割引の恩恵を受けられる |
よく使われる車種
燃費の良さ、耐久性、整備費、そして一定以上の走行性能と乗り心地が重視される事が多く、燃料は経済性に優れるLPG(液化プロパンガス)仕様が主流である。自家用車だとLPG車はガスボンベと車体そのものの検査周期がズレてしまうことも出力や充填所に加わる難点として挙げられるが、事業用車であるタクシーは毎年車検なのでボンベの検査周期とのズレが問題にならない。
日本ではバブル崩壊後は懐が厳しく、世界中にタクシー車両を送り出している一方で国内では令和初頭現在でもクラウンコンフォートのような旧式車がまだまだ主力である。
日本のタクシーでよく使われる車種
【現在メーカーによるタクシー仕様が生産販売されている車種】
【生産終了したが、現在も街中で見かける専用車種】
- トヨタ
- 日産
【生産終了後15年以上が経過し、現在は街中で見かける事が少なくなった専用車種】
- 日産・クルー
【個人事業も含めてタクシーへの改造車として比較的多く見かける車種】
トヨタ
日産
主なタクシー会社・組合
- 日本交通(全く同名の事業者が東京、京都、大阪、鳥取、島根、愛知に存在する)
- 国際自動車
- 信和事業協同組合(大和自動車交通)
- 帝都自動車交通
- 東京無線協同組合
- チェッカーキャブ無線
- 共同無線
- 京王自動車
- 小田急交通
- グリーンキャブ
- 日立自動車交通
- 神奈川都市交通
- ラジオタクシー
- 名鉄交通
- 彌榮自動車
- 第一交通産業
- つばめタクシー(愛知・三重・岐阜を中心とする「つばめタクシーグループ」をはじめ、青森「つばめ交通」、長野「つばめ長電タクシー」、福島「ツバメタクシー」を含め、同名の会社が北海道、秋田、群馬、埼玉、長野、鳥取、愛媛、福岡、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄に存在する)
外部リンク(日本国内関係)
海外のタクシー
イエローキャブ
アメリカ合衆国のイエローキャブは、遡る事1915年にジョン・ハーツ氏が始めたタクシー会社が【遠くから目立つ色は何か?】とお客が遠くからでもわかる色を研究して辿りついたものが黄色であったことから始まる。
ニューヨークの【タクシー&リムジン委員会】には、現在13000台のイエローキャブが登録・稼働していてタクシーとそれを保有するタクシー会社は、委員会が発行するライセンスがなければ営業することができない。(ライセンスを所持している会社orライセンスの元に運行している車両は「Medallion(メダリオン)」と呼ばれている)
上記のイラストにもあるように、1990年代末期から2010年代中ごろまではクラウンビクトリア(CROWN VICTORIA)というフォード製の『これぞ1990年代後半から2000年代前半にかけての古典的なアメ車のフルサイズセダン』の車が主に使われていたが、2011年に生産中止となり老朽化の進んだ車両が多くなった事や価値観の変化や環境保護意識の高まりに伴い、2024年現在は少なくともアメリカ国内の大都市エリアではほぼ見られない。ネット上の情報を見る限り、クラウンビクトリアのイエローキャブが名物の一つだったニューヨークエリアに至ってはクラウンビクトリアタクシーは2024年の段階で完全に姿を消したそうである。
ロンドンタクシー
1901年、辻馬車から自動車によるタクシー営業に切り替わったのが起源。当時は辻馬車を示す「Hackney Carriage(ハックニーキャリッジ)」がそのまま使用されていた。
ここから運転席と客席が分断された構造と小回りが利く設計がロンドンタクシー専用車両伝統である。黒く塗装されたものは「Black cab」と呼ばれているが、時代が流れると色んな塗装が施されたりラッピング広告が施されたタイプも存在するようになった。
だが、このロンドンタクシーのタクシードライバーとして活躍するためには【ノリッジ試験】と呼ばれる試験に合格しなければならない。運転技術はもちろんなのだが、【ロンドンの街並みが入り組んでいるため道路や施設、地理などを全て記憶しないといけない事】と【出発地点から目的地までの最短ルートをすぐに割り出さないといけない事】があるため活躍するには約3年~4年の歳月が必要とされている。
よく使われる車種
燃費がよく信頼性が高い日本車も多く見かける。
日産
NV200 LIVINA(ノートの派生車種)
トヨタ
カムリ プリウス カローラ ウィッシュ
コンフォート(ジャパンタクシーの海外名)
カーボディーズFX4(ロンドンタクシーの代表車)