概要
Dセグメントに該当するFFセダン。レクサスブランドから発売されているESのベース車両でもある。
1980年から製造・販売が行われているが、初代に関しては「セリカ・カムリ」を名乗っており、その名の通りセリカの派生車種であった。ゆえに駆動方式は初代のみFF(前輪駆動)ではなくFR(後輪駆動)だった。また国産車初のFFツインカム搭載車であり、初代の2000GT共々「羊の皮を着た狼」でも知られた。
海外ではプリウスを遥かに凌ぐ人気を誇る。特にアメリカにおいては乗用車販売台数ランキングで16年連続1位という金字塔を打ち立てており、まさにトヨタの"ドル箱"である。
アメリカの中流者層にとっては成功の象徴とでもいうべき存在であり、カムリが買えるようになれば安泰とも言われている。性能もトヨタゆえの信頼性の高さに加え、そこそこスポーティで後部座席に余裕があるというオールマイティさを持つため、横田基地などの在日米軍の警察車両にも採用されている。
しかし北米向けの大柄な作りになっていることや、同じ車格にクラウンが存在することから、日本での存在感は薄い。
なので日本では2011年9月発売の9代目以降ハイブリッド専用車設定となっていた。あれ?同じ車格・同じFFでハイブリッド専用車のSAIの立場どうなるんだ!?という感じになったが、ブランド力に劣るSAIの方が消滅というオチがついた。
10代目モデルは、エンジンを含めての初のフルTNGAプラットフォーム車として登場。さらに攻撃的でスポーティなフォルムと性能に磨きをかけ、2019年末に廃止されたFRセダンのマークXの後釜を担った。2020年度から警視庁の一部の交通機動隊で交通取締用の覆面パトカーとして導入されている他、法人タクシーのハイグレード車や個人タクシーの導入例も目立つ。
決して国内で多く売れているわけではないが、初のフルTNGA車という看板、SAIやマークXといった同社内ライバルの消滅、消費者の車幅に対する考え方の変化(車幅を気にしなくなってきた)などの後押しもあって、そこそこの売上をキープしてはいた。また日本の工場での生産も継続されている。
アメリカのレースのNASCARでは最高峰のカップ戦で見事チャンピオンになった、唯一のアジアンカーである。なお2016年までの10年近く、カップ戦に参戦するベース車でカムリは唯一アメリカ国内で生産されており(シボレー・SSは豪州、フォード・フュージョンはメキシコ、ダッジ・チャレンジャーはカナダ)、そういう意味でも事実上アメリカの国民車に限りなく近い存在となっている。
またホンダ・アコード(インスパイア)やヒュンダイ・ソナタと並んでサウジのドリ野郎に人気の車両でもある。FFなのに…。
昨今の日本市場におけるSUV志向・セダン衰退(なにしろかのクラウンですらセダン風SUVのクロスオーバーから発売しなければならなくなったほど)の風潮には抗しきれず、2023年12月の10代目モデルの販売終了をもって日本市場から撤退、海外専売車種に転換している。
関連車種
- ダイハツ・アルティスの名称で販売されている。ちなみにアルティスは、そのロゴも含め東南アジア向けカローラにも使われる名称である。
- ウィンダム(レクサス・ES) - 派生車種で、形式名もカムリと同じXVが使われる。ちなみに初代ESは日本で言うカムリ・プロミネント(V20系)であり、初代ウィンダムはESとしては2代目となる。またその経緯から、某ドイツ車に「ESなんてただのカムリだ」と言われたとか言われてないとか。
- トヨタ・セリカ - 上述
- アバロン-姉妹車の一つ。
- オーリオン-同上。
- トヨタ・ビスタ - かつての姉妹車種。
- シボレー・インパラ、シボレー・SS、フォード・フュージョン - NASCAR参戦車種