概要
元々は北米で日産のフェアレディZに対抗するために開発されたFRクーペである。
日本では2代目までがセリカXXとしてトヨタカローラ店で販売。
3代目から北米と同じく「スープラ」となった。
2002年以降は長らく廃盤となっていたが、2019年にドイツのBMWとの共同開発車として復活。
背景に北米での根強い人気があったからとされる。
搭載するエンジンは初代から4代目までは直列6気筒のみで、5代目からは直4もラインナップされた
日本では4代目までは「スポーツカーというよりグランツーリスモ(GT)である」とする評価が多い。
初代 A40/50型 (1978年 - 1981年)
二代目 A60型 (1981年 - 1986年)
これら2世代についてはセリカXXの項目を参照
三代目(日本における初代スープラ) A70(JZA70)型 (1986年 - 1993年)
セリカから独立し、日本でも「スープラ」という車名を採用する。
発売当時のキャッチコピーは2000GTをイメージした「TOYOTA 3000GT」。
同年に発売された*z20系ソアラと共通のプラットフォームを使用、主なエンジンは2リッターの1G-EU、1G-GEU、1G-GTEU、3リッターの7M-GTEUであった。
1988年8月にマイナーチェンジを行い、フロントマスクとテールランプのデザインを変更。
1G-GTEU、7M-GTEUはハイオク仕様へ改良される。…その後他にもタイヤのインチアップなどが行われ、スポーツカーとしての性能が大幅に引き上がった。
1990年8月のマイナーチェンジでは、新開発の直6・2.5リッターDOHCツインターボの2JZ-GTE型を搭載。グレード名は「2.5GTツインターボ」に変わり、3.0Lターボ仕様の7M-GTE搭載車は廃止となった。
また、エンブレムがオリジナルのものから初代セルシオにも採用されているトヨタCIマークへと変更された。
ちなみにグループAのスープラはデビュー戦こそ勝利を飾ったものの、その後はフォードのシエラや日産のスカイラインに苦しめられ、R32型スカイラインGT-Rがデビューウィンを果たした1990年をもって撤退した。
またグループBからグループAに移行する間、TTEがWRCに参戦する車両としてこのスープラを採用し1度だけ3位表彰台に上った事がある。
四代目 A80(JZA80)型 (1993年 - 2002年)
「THE SPORTS OF TOYOTA」をキャッチコピーとして販売開始。
シャシーは基本的にZ30型ソアラと同じだが燃料タンクの位置が異なり、リアシート背後に設置されているソアラに対して、スープラは重量配分等の適正化からさらに後方のトランク下に設置されている。
エンジンは直列6気筒の3.0L 2JZ系に変更し、電子制御サブスロットルシステム「ETCS」が初搭載された。
NA(自然吸気)仕様は225馬力。
ターボ仕様はアリスト(JZS147型)に搭載されていたシーケンシャル方式ツインターボで、最高出力が280馬力、最大トルクは44kgf·m(1993年~1996年まで)を発生であった。
また当時の日本国内の乗用車としては初となる6速MT採用した。
その後何度もマイナーチェンジが行われエンジンや足回り系統が改良されたが、当時として厳格な平成12年度排出ガス規制に対応できず、ライバル車であるスカイラインGT-RやマツダのRX-7など同時期に生産を終了する。
…が、生産終了後もトヨタ社内ではマスタードライバーの訓練車に使われており、現社長の豊田章男も80スープラで訓練を積んだと語っている。中古市場で80スープラを買い集めていたのがトヨタ自身だったという嘘みたいな話もあったとかなかったとか。マスタードライバーの故・成瀬弘氏曰く、「スープラはスピード領域が高いところに行けば行くほど良さが出る」。
モータースポーツでは、エンジンを直4ターボやV8NAに換装してJGTC~SUPERGTのGT500クラスに参戦し、脇阪寿一や立川祐路をチャンピオンへと押し上げた。
またル・マン24時間のGT1規定でも直4ターボで参戦したが、こちらでは芳しい結果は残せなかった。
五代目 DB型 (2019年)
4代目の終了からしばらく音沙汰が無かったが、2014年にコンセプトカーの「FT-1」が登場するとスープラ復活の噂がにわかに立ち始めた。
そして2018年にスープラの新モデルがBMWと共同開発中である事が正式に発表。2019年1月に市販モデルが登場し、17年ぶりの復活を果たした。
直6・FRというスープラの伝統を維持するためにシャシー・エンジンは全てBMW製となり、工場もオーストリアのコーチビルダーであるマグナシュタイア社が担う。
言うなれば、BMWという素材を用いてトヨタの思想で設計されたスープラである。
それ故にBMWスープラと揶揄されることも…
LFA以上ともされるボディ剛性を持ち、ホイールベースは86よりも短く設計されている。
先代まであった後部座席も旋回性能を高めるために不採用となり、快適性より旋回性を優先した純2シーターのピュアスポーツ車となった。
直6以外にも、廉価グレードとして2.0L直列4気筒ターボが設定された。
トランスミッションは当初8速ATのみであったが、ユーザーの熱い要望から、2022年4月の改良でRZに限り6MTが設定されるようになった。
国土交通省への届出の車名とは別に、同社のモータースポーツ部門である『TOYOTA GAZOO Racing』の「GR」ブランドが付けられた「GRスープラ」という商品名が設定されている。
全ディーラーチャンネルで販売される他、GRブランドの取り扱い店舗である「GRガレージ」店でも取り扱う予定である。
なおBMW側も、共同開発でスープラと兄弟車となるオープンカーのZ4を先に市販化している。
トヨタブランドのフラッグシップスポーツとして、モータースポーツを最大目標として開発された事から、サーキットレースとドリフト競技を中心に、多数のカテゴリでトヨタのワークスマシンとして投入されている。
GT500ではLC500に代わるベース車両に切り替わっているほか、GT300ではaprのプリウスのコンポーネントを用いて複数のチームに供給されており、マザーシャシー勢に代わってGTA-GT300(旧JAF-GT)規定の最大勢力に成長した。
フィクション作品での登場
A60型
・漫画『よろしくメカドック』のキャノンボール・トライアル編で、主人公の風見潤が乗る。のちに同じ作者が描いた「特別交通機動隊 SUPER PATROL」ではメイン車両ではないがA70型が登場する。
・TVドラマ『太陽にほえろ!』では七曲署の捜査車両として登場。特に前期の2800GTは570話「遠い思い出」で渡辺徹演ずるラガー刑事による河川敷での派手なカーアクションで大破に近い状態となり、のちの数話に登場後クーペGT-TRにバトンタッチする。一時期(597~605話)後期の2000Gターボ(トヨタの広報車)も登場していたほか、海外ロケでも輸出仕様のセリカスープラが登場する。
A70型
・同じくTVドラマ『太陽にほえろ!』で七曲署の捜査車両として登場する。最初(695~701話)はワインレッドのMA70(3000GT)が登場したが、のち(702話~パート2最終話)に白のGA70(2000ツインターボ)にチェンジしている。
A80型
・ユニバーサル・ピクチャーズ制作の映画『ワイルド・スピード』で、初代の主人公ブライアンがスープラをチューニングしてメイン車として遣っていることもあり、北米ではカルト的な人気を誇る。
・漫画『湾岸ミッドナイト』ではケイこと相沢圭一郎が乗る車両として登場。亡き父親を知る者によるチューンドワークで一時期は800馬力を誇るモンスターチューンに仕上がるが、意図したボディの歪みによって再起不能寸前となるも、エンジンを400馬力に落として復活させた。ケイ自身も80の前には70に、父親の相沢洸一もA60系のXXに乗っていた。
・アニメ『超速変形ジャイロゼッター』では 敵対組織のゼノンに所属する女性ドライバーであるハルカが乗る。ロボット形態の外見はシャチ型をしている。
DB型(GRスープラ)
・頭文字Dのパラレルワールド的続編である『MFゴースト』で、諸星瀬名が乗る。
・アニメ『トミカ絆合体アースグランナー』にて、駆動マンリキがGRスープラの力を宿すミニカー型デバイス「コアグランナーイーグルスープラトミカ」を作成。主人公の一人であるグランナーKこと駆動クウガが使用し、タイプチェンジすることで愛機コアグランナーイーグルをGRスープラの形へ変化させスピードを中心とした能力を大きく上昇させる他、自身や相棒アースグランナーイーグルシャークをも強化できる。
・映画『ワイルド・スピード』9作目『ジェットブレイク』で、過去作(X3 TOKYO DRIFT)で事故死したかと思われたが実は生きていたハンの乗る車両として登場。車体色も『X3』でハンドルを握っていたFD3Sに近づけている。
・電撃マオウで連載されている漫画『GT-giRl』にてA80同様JGTC-W(女子自動車ジュニアレース)前年度優勝校「私立豊田女子学院」が使用する車両として登場しドライバー兼監督である兎川玲希が乗る。前年度はA80スープラを使用していた。
その他
A60/70型では10/20型ソアラのフロントマスクを移植する改造(通称ソープラ、逆仕様もあるが決して卑猥な意味はない)を施す者も少数ながら存在する。中には80スープラに30ソアラの顔面移植をして痛車化したものも過去に存在した。
湖池屋の公式twitterが自社のスナック菓子「SUPERスコーン」を宣伝するツイートを投稿。しかし、Superと表記すべきところをSupraと誤記しているのを見落とす事故を起こした。これがスープラのアルファベット表記との偶然の一致から、トヨタ自動車の公式も返信にて反応し、翌日にコラボ企画「トヨタGRスープラ × 湖池屋 スコーン 「Supraスコーン」って言っちゃったCP」が急遽開催された。SUPERスコーンのがっつきバーベキュー味のコラボ用パッケージが販売促進グッズとして使われる運びとなった。