概要
ドライバーが変速比を自ら選択する自動車(四輪車・二輪車)の変速機(トランスミッション)。一般的にMTと略される。
オートマチックトランスミッションに対して、従来の方式を指す言葉として生まれたもの(レトロニム)である。
初心者にとってはクラッチ操作が鬼門になるが、クラッチ操作(特に坂道発進と車庫入れ時の断続クラッチ)さえ慣れればあとは大して難しいものではない。自転車に乗るのにいちいちバランスをとることを意識しないように、MT車に乗り慣れれば特段意識しなくてもクラッチを操作できるようになる。普段からMTの感覚に慣れきっている人間にとっては、ATのクリープ現象やキックダウンなどは逆に思うように動いている気がしないとして、時に恐怖ですらあるという。日本を代表する大衆車であるワゴンRやカローラアクシオの廉価モデルにMTがラインナップされているのはこういう層の顧客を逃さないためである。
趣味性が強い二輪車に関してはむしろMTの方が主流であり、「ATの二輪車=スクーター」というイメージがある(ツアラーなどでは非スクーターでATの二輪車もある)。出力重量比で言えば四輪車に比べると車重に対しトルクが十分あること、さらに車体制御の楽しみの1つにクラッチ操作があるためである。また、変速機の質量差はほぼ同一車格のオートバイ用サイズでMTに比べATが20kgほど増となり、これは普通二輪免許のバイクでも15%前後の変動となる。重くなる分車体傾斜のための体重移動はATのほうがシビアになる。
エンジンの出力が極めて大きく、自動車のような頻繁な変速の必要のない鉄道・船舶用の変速機は、現在ではすべてオートマチックだが、過去には手動変速の機械式変速機を採用した気動車があった(後述)。
メカニズム
マニュアルトランスミッションは、変速の際、人の手動(一般的な自動車の場合は足踏み式ペダル)クラッチによる動力断によって、歯車のスムースな噛み合わせを可能としたものである。
常時噛合式とシンクロナイザー
一般向けの自動車の図解では選択されたギアだけが噛み合っている(選択摺動式)構造図が多いが、実際にはいちいち歯車を噛み合せたり離したりするのは高度な技術を要する。相互に回転している歯車同士をスライドだけで噛み合わせるのが簡単でないことは想像がつくだろう(原始的な選択摺動式は下手に操作するとギアが衝撃音を立て、破損すらする事から「クラッシュボックス」とまで言われた)。
現在のマニュアルトランスミッションのほとんどは常時噛合式と呼ばれるもので、簡単に言うと、
- 各々の段のギアは常に噛み合って回転している。
- 軸はギアと直結しておらず、ベアリングを介して自在に回転している。
- シフトレバー操作は軸と一緒に回転している“スパイダー”という爪をスライドさせる。
- 選択されたギアにスパイダーが噛み合い、エンジンと駆動輪がつながる。
というようになっている。
が、これでもクラッチが惰性で回転しているためスパイダーとギアがうまく噛み合わないことも多かった。そこでクラッチとトランスミッションの入力側の軸を機械的なすべり継手のようにして摩擦力で解消するシンクロナイザーが開発された。これを組み込んだマニュアルトランスミッションをシンクロメッシュと呼ぶ。
常時噛合式は自動車普及の早い時期(1920年代)に採用されたが、シンクロメッシュは実用化こそ1928年と早かったものの、当初は高速段のギアだけに装備され、ローギアまでのフルシンクロ普及は1960年代に入ってから。耐久性の問題からトラックやバス、作業機械には長らく採用されなかったが、1980年代後半頃からこれらにも採用されるようになり、現在のマニュアルトランスミッションのほとんどは「常時噛合式・シンクロメッシュトランスミッション」である。
なお、シンクロナイザーの発明者アール・トンプソンは発明を持ち込んだGMにスカウトされて1929年型キャディラックに世界初のシンクロメッシュ変速機を搭載させたあと、今度は変速の全自動化に乗り出し、世界初のフルオートマチック変速機ハイドラマチックを1939年に市販化していて、MT、ATを股に掛けてクルマの変速を楽にした神様みたいな人である。
速度段の設定
旧くからのマニュアルトランスミッションでは、通常、入力側(エンジン側)の回転数より出力側の回転数が減り(変速比>1)、その分トルクが増すようにできている。そして、最上段は“直結段”とされ、どの歯車も介さず、入力軸と出力軸が直接繋がっている状態になる(変速比≒1)。1899年にルノー創業者のルイ・ルノーがこの直結式トップ(ダイレクトドライブ)の変速機を後輪のプロペラシャフト駆動とともに考案し、パワーロスが少なくて合理的なのであっという間に普及した。4速までのトランスミッションでは、だいたい世界的にこれで共通していた。
エンジンが高性能化し、その分、走行性能を上げる為、最終減速比(最終的にエンジンと駆動車軸の間でどれだけ回転数が減るかの値。日本では“ファイナル(ギア)”と呼ばれることが多い)を小さくし(より高い回転数で車軸を回す)、その分ギアの数を多くして、コントロール性を増すようにしてきた。
かつては、最上位シフトポジションが直結段であったことから、日本ではこの段を“トップ”と称してきた。だが、5速トランスミッションが登場した際は、日本では4速を直結段としたまま、5速では入力側より出力側の回転数が増える段(変速比<1)として設けられた。
この為、日本では5速は“オーバードライブ(OD)”、“オーバートップ”と称される。
日本では、と言うのは、5速MTが登場し始めた頃、まだ日本では高速道路網の整備が途上な上、一般道の高規格化もほとんど行われていなかった。このことから、ストップ&ゴーが繰り返され、巡航速度は40km/h~50km/hと考えられており、60km/h以上を想定した5速はあまり使われないと考えられていたのである。
世界的にはというと、大陸、特にアメリカでは既にフリーウェイが戦前より建設されていたため、これまで同様、最終減速比を小さくし、最上段の5速を直結段として、その下に変速段を追加することが多かった。
これは、大陸国家では長距離を高速で巡航することが多いことから、最上段を直結段にしておくと、その分トランスミッションの負担が減る(摺動部の摩耗が減る)からである。
…………なのだが、日本でも高速道路網が整備され、一般道の高規格化(新4号バイパスなど)が進められても、現在に至るまで直結段は4速、5速はオーバードライブ段とする慣例が続いている。これには2つ理由がある。
ひとつ目は、日本では一般的な住民の生活動線がおおよそ40km以内に収まっており、これに長距離旅客輸送としては世界的にも例がないほど充実した鉄道網が存在するという事情も加わって、特に乗用車や小型の貨物車では高速道路を日常的に使うライフスタイルの人間がほとんどいないことである。大半の乗用車は相変わらずストップ&ゴーの多い“街乗り”で使われるため、最終減速比は従来のままとし、エンジンの負担を下げるほうが実情に即していた。
ふたつめは、バブル絶頂期のこの頃、日本の機械工作技術が世界的にも頂点のレベルに達してしまい、高速巡航時に使う5速が変速段(OD)でも特別寿命が縮むことがないためだ。実際、高速道路網と高規格一般道の整備が進むに連れて、日本では4速のマニュアルトランスミッションは急速に姿を消していき、5速がデファクトスタンダードになった。長く“街乗り用”としていた軽自動車ですら、この時期に急速に5速MTが普及し、平成2年の規格改定(550cc→旧660cc)時に4速MTはほとんど姿を消した。また、逆に恒常的に高速道路を使う場合であっても、日本の高速道路は基本的に有料であるため、インターチェンジからの本線合流時に4速を加速に使う(つまりそれだけ高回転時中にトルクがかかる)ことから、4速が直結段の方がギアも傷まず都合が良かったのである。
上記2つ目の裏付けとして、日本の乗用車向け6速マニュアルトランスミッションのほとんどには直結段がない。
ドグミッション
主に競技用車両に使われているギアにはシンクロメッシュ機構がない常時噛合式のドグミッションと呼ばれるものがある。
回転を合わせるシンクロメッシュ機構がないのでギアチェンジの際にはドライバーが回転数を合わせて切り替える必要があるが、回転数を合わせる機構を持たないので部品点数が少なく大きなギアを用いた強度の高い構造とすることが出来る。
ドグと呼ばれる凹凸があり、これが噛み合うドグクラッチと呼ばれる機構で断続を行う。
回転数を合わせてギアチェンジを行うので、クラッチ操作をなしでのギアチェンジも可能となる。
2ペダルMT
変速の操作は手動で行うが、クラッチ操作は電子制御によって自動で行うMT。
足でのクラッチ操作が不要なため、クラッチペダルがない。
クラッチを持つが法律上はクラッチ操作の有無でATとMTを区分している為、ATの一種と定義されAT限定免許でも運転可能。
ちなみにMT愛好家にとっては「あれはAT」。
MTの特徴
従来、MTはトルクコンバータによる損失と重量増のあるATに比べて燃費が良いとされてきた。しかし2000年代の燃費競争により伝達効率に優れるCVT車が台頭。変速制御には燃費重視のセッティングが施され、トランスミッションそのものの伝達効率もめざましく向上したのに対し、成熟した技術であるMTは燃費を伸ばす余地が少なかった。日本の燃費基準であるJC08モードでは、同一車種でも軒並みMTの方が燃費が悪く出ていた。そのため、MTは燃費が悪いという従来とは全く逆のイメージが生まれている。
実際のところ、MTはギア比とアクセル開度の両方をドライバーが調整しなければならないために燃費は運転者の技量によるところが大きい。これに対し、AT車のドライバーが選べるのはアクセル開度のみなので、AT車の燃費はあらかじめプログラムされた変速パターンによるところが大きい。特にJC08モードでの変速パターンは著しくMT車に不利に設定されていて、MTならJC08モードのカタログ値を上回る燃費を簡単に出せるのに対し、ATでカタログ値並みの燃費を出すのは極めて難しかった。新しい国際的な燃費基準であるWLTCモードでは、この問題はほぼ是正されており、それでも同一車種の同等グレードで比べるとMTよりCVTの方が燃費に優れるモデルが多いものの、アルト(HA36型)ではMTとAGSがほぼ同等(いずれもCVTには劣るが)、スイフトスポーツ(4BA-ZC33S型)やジムニー/ジムニーシエラ(JB64/JB74型)ではATよりMTの方が良い値が出ている。
近年の日本ではMTは貨物車や大型車(重機やバス)かスポーツカーというイメージがあるが、変速する速度は機械の方が当然早いのだから、速さを求めるならATの方が有利である。フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーにはMT車がなくなり、ポルシェも911で一部の限定モデル等しか存在しなくなった。日本のホンダ NSXも、多段トランスミッション採用のためにATのみとなっている。
日本車におけるMT
今や、日本国内で販売されている乗用車と普通車以下の貨物車の98%以上がATであり「MTは絶滅危惧種」と言われるほど。それでも三菱以外の日本車メーカーはMTのモデルを残している。各メーカーの2022年夏時点の登録車のラインアップは次の通り(OEM除く)。
マツダは最もMTの設定に積極的で、CX-8以外の全ての自社生産車種に設定している。コンパクトカー(MAZDA2)やオープンスポーツ(ロードスター)をはじめ、ミドルセダン/ワゴン(MAZDA6)やクロスオーバーSUV(CX-3、CX-30、CX-5)でもMTが選べる。もちろんMAZDA3もMTを設定している。
トヨタはヤリス(GRヤリス含む)、86、カローラ(カローラスポーツ、ツーリング含む)、C-HR(1.2Lターボガソリンエンジン搭載の2WD車のみ)、スープラ(2022年から追加、秋ごろからデリバリー予定)の各車種に設定。スズキは少し前まで多くの軽自動車にMTを設定していたが登録車はスイフト(スイフトスポーツ含む)とジムニーシエラだけである。ホンダはシビック(ハッチバック、タイプR)、N-ONE(RSのみ)、N-VAN(NA車のみ)に6速MTを設定(なお、軽自動車での6速MTは唯一。また、フィットは先代モデルまで設定があったが新型では廃止されてしまった)。日産はフェアレディZ、マーチNISMO S、NV200バネットの各車種だが、スポーツ志向のモデルとライトバンだけで普通の乗用車のMTモデルが無い(ノートNISMO Sは先代モデルまで設定があったが新型では廃止されてしまった)。スバルはBRZのみに設定されている。ダイハツはグランマックスがMTを選べる(ただしインドネシア製の逆輸入車である)。
軽自動車では、MTを設定している乗用車はワゴンR、ジムニー、コペンの3車種。あとは軽トラックやN-VANなどの貨物車のみ。エブリイは5ナンバーのワゴンはATのみの設定だが、4ナンバーのバンはすべてのグレードにMTが設定されている。ハイゼットも同様にクルーズターボSA IIIは2WD/4WD共にMTが設定されている。
日本ではすっかりマイナーになってしまったMT車だが、信頼性や故障時のメンテナンス性を求める途上国では今なおMTの方が主流。日本車各メーカーも日本国外ではMTのモデルを多くラインアップしている。
先進国でも、ヨーロッパ(EU圏)では2010年代でもなお4割がMTであり、ATでもMTをベースにクラッチ操作を自動化したDCTやセミATの比率が高い。特にイタリアやフランスは2000年代までATの比率は10%未満と、MTが圧倒的多数だった(ただし、両国とも2010年代後半以降AT車のシェアが急増している)。
アメリカでは1960年代には既にATが主流になっていた(1965年時点で約9割)。ところが、その後も長らく、アメ車のMT設定率は意外と高かった(本国では)。というのも、消費者の権利意識が高いアメリカでは、消費者の選択肢が充分に用意されていない商品は“足元を見られる”からである。しかし、2017年にはAT車の比率が97%まで伸びており、今やMTモデルを設定しているアメ車は少なくなった。
今でこそAT主流の日本車だが、1970年代までは高級車を除きMT主流で、1980年代中盤でもほぼ五分五分であった。それがバブル期までに圧倒的多数がATに入れ替わったのである。
一般人だけでなく車好きもATを選んだ背景として考えられるのが、80年代の日本車の過剰な高出力競争である。当時の2000cc未満の日本車の多くは販売戦略としてカタログ値で排気量1L当たり100PSを凌駕する設計をしており、最大トルク域を4000rpm以上という四輪車用の実用域では殆ど使わない極端な高回転域に置くものが多かった。こうしたエンジンは発車時の低速回転(700~1200rpm程度)ではトルクが極めて細くなるためクラッチの扱いが難しく、簡単にエンストする運転のし辛い代物になってしまっていた。AT車のトルクコンバーターはこうした細いトルクでも、どうにか繋いで起動ができたのである。こうして当時のドライバーはMT車に必要以上に苦手意識を持つようになり、運転のしやすいAT車が好まれるようになった。1991年のAT限定免許の創設を経て、販売台数の98%がAT車という今日に至っている。
21世紀以降に登場した車種のエンジンの主流は、燃費重視で粘り強い特性を持つ低回転型になっているので、80年代のピーキーなMT車よりずっと運転が楽である。MT自体も改良されているため、昔のMT車にありがちだった「発進時のクラッチ操作がシビア」、「シフトフィールがグニャグニャでどこのギアに入っているのかわからない」、「街乗りでは小まめなシフト操作が欠かせない」といったものは、(スポーツ系車種を含めて)ほとんどないといっていい。坂道発進時の後退を防ぐ「ヒルスタートアシスト」の搭載も常識化しており、中にはブリッピングを自動的にやってくれるMT車すらある。
将来
耐久性の低さ、燃費の悪さ、変速ショック、レスポンスの悪さ……といった往年のATの弱点が潰されていったことにより、実用面ではMTの優位点は非常に少なくなった。乗用車はもとより、バスやトラックなどの大型商用車でもATのみとする車種が出現している。
さらにMT車は全車速追従アダプティブクルーズコントロール(ACC)のような自動運転技術や、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備との相性が悪いと言われ、MT車の生き残りは厳しさを増している(例えば、スバルは目玉技術であるEyeSightをMTに設定したことがない)。MT車はトップギアのまま速度を落とすとエンストしてしまうので全車速対応ACCは難しいと思われるが、衝突被害軽減ブレーキに関しては動作時にエンストしても構わないので、技術的困難はないはずである。実際にホンダやスズキやマツダはMTモデルにも衝突軽減ブレーキを搭載している。スバルがMTにEyeSightを設定したことがないのは、現行MT車がいずれもスポーツモデルのみだから(趣味性を重視する層には「余計なもの」と先進安全技術を嫌う人が多い)という可能性が高いが、日本では衝突被害軽減ブレーキの装着が義務化されるため、現行型ではEyeSightの設定のないWRX STiのMTモデルも次期型では採用されるだろう。
「自動車の電動化によりMTは絶滅する運命」とよく言われる。実際に電気モーターはすべての回転数で最大トルクを発生するので、電気自動車(EV)にトランスミッションは必須ではないが、高速域での効率改善には変速機の搭載が望ましいとされる(定置型機器によく使われる低回転型モーターは高速域が伸びず、EVでよく使われる高回転型モーターは低速域での効率が劣る)。
実際、中国BYDはバッテリーEVでありながらMT仕様のモデルを販売している(ただし教習車用)ほか、MT車のエンジンを低回転型モーターに載せ替えた車両を走らせた人は「モーターにMTを組み合わせて走らせることも面白い」とレポートしており、自動車がモーターで動く時代になってもMTが細々と命脈を繋いでいく可能性は否定できない。
鉄道の場合
鉄道車両では、気動車、ディーゼル機関車の変速方式の1つの機械式がマニュアルトランスミッションにあたる。日本で戦前以来使われていた変速機は概ね3速程度の必要最低限の仕様で、1・2速が1960年代以降の液体変速式の「変速段」に、3速が「直結段」にあたる。国鉄のレールバスキハ01にも採用されたが、鉄道車両の場合、総括制御ができない、および大出力エンジンへの対応が困難(日本の場合DMH17系エンジンで150〜180psが限度。キハ01の場合60~75ps)という欠点を抱えていた。連結すると運転はとても大変で、1両ごとに運転士を置いて合図で同時に変速するという超人的な操作を要求された。
そのために機械式は1950〜60年代には日本からほぼ絶滅し、現在の営業車はなく、動態保存車は南部縦貫鉄道の2両のみである。更には機械式だったキハ07でも、一部は長編成用に液体式に改造されていた。一方、ドイツでは機械式気動車用の総括制御装置を積んで1990年代まで現役であった例があった。ドイツでは1950年代の時点でクラッチ操作(特に半クラッチ)が自動化出来ていたため、機械式のまま総括制御出来たのである。
しかしその後、日本の液体式気動車の液体式変速機は、先述した自動車の2ペダルMTに近いものになっていく。というのも、日本は総括制御の液体式気動車による長距離特急運転なるものに手を出した結果、早い話がクルマの5速MTと同じでオーバードライブ段を設ける形で進化したためだ。1960年代に一度挫折しているが、1989年になって実用化。
この為、現在の日本の液体式気動車のほとんどは、事実上起動時のみトルク増幅効果のあるトルクコンバーター段を使う機械式という構造である。変速段切替の際は総括制御のために電磁クラッチを使っている。