スズキ・アルトの8代目モデル。乗用グレードがHA36S型、バンがHA36V型。マツダへのOEM版はHB36S型キャロルである。
概要
2014年12月、スズキの新世代のプラットフォーム(後に「HEARTECT」の名がついた)の第一弾として登場した。グレードは当初バンモデルの「VP」、そして乗用の「F」、「L」、「S」、「X」の各グレードが用意され、翌2015年3月にスポーティーモデルの「ターボRS」、同年12月にアルトワークスが追加された。
2018年4月にバン「VP」にESPと4輪ABSが標準装備。2018年12月には、「ターボRS」が廃止され、乗用モデルの衝突被害軽減ブレーキがデュアルセンサーブレーキサポートにアップデートされた。
このモデルは2019年から660ccエンジンのままパキスタンで生産されており、海外生産される初の軽自動車になった(ただし、これまでも歴代のアルトをはじめ、多くの軽自動車ベースの車種がエンジンだけ拡大して海外生産されている)。2021年8月にバン「VP」の販売が終了した。そして残りのグレードも同年12月をもって製造・販売を終了している。これに伴いアルトワークスもスズキのラインアップから姿を消した。
特徴
ヘッドランプを囲む通称「めがねガーニッシュ」、一部グレードでオプション設定された2トーンバックドア(マイナーチェンジで廃止)、軽自動車で初採用の可変ギアレシオステアリング、MTをベースにシフト操作を自動で行うAGSの設定(CVTモデルもあり)などなど、デザイン・メカニズムとも特色が多い。
ホイールベースはスズキの軽最長の2.46mに対し最小回転半径は国産乗用車最小の4.2mを誇り、直進性・旋回性ともにハンドリングは優秀。わずか650kg(グレードにより異なる)の軽量ボディと低重心により走りはいたって軽快で、歴代のアルトと同じくMTモデルも用意されている。本体の廉価さとアフターパーツの豊富さにより、カスタムベースとしても人気が高い。
全高は1475mm(2WD)と、スポーツカーを除く軽乗用車では最低だが、シートは乗降性のよさを重視して軽トールワゴン並みの高さになっている(前席の座面高は先代から2cm高)。着座位置の高さに加え、軽自動車としては異例の大振りの前席シートを採用したため、(昨今の軽自動車の割には)室内はタイトな印象を受ける。平均的な身長の男性であれば問題がないが、長身の人は頭が窮屈な場合があるので注意。
バン「VP」の定価72万3600円(2018年4月までは69万6600円)は、日本で販売されている4人乗り自動車の定価として最安値であり(これより安い四輪車は軽トラしかない)、またCVT車は軽自動車の燃費で4年連続でトップに立っていた。JC08モード燃費27.2km/LのMT車でも郊外走行中心であれば実燃費は30km/Lを上回る。