概要
初代の競合車種はキューブ、2代目の競合車種はフィット、3代目と4代目の競合車種はスイフトなどとなる。2代目及び4代目(現行モデル)は車両重量が全グレード1tを超えるため、維持費が若干高い。
また、2代目は3代目フォード・フィエスタと兄弟車であった。さらに初代に関しては、フォードでも「フェスティバ・ミニワゴン」という名前で発売された。
歴代デミオ
初代と2代目のメイン市場は日本であり、ファミリー向けに広々とした車室を重視し角ばったボディを持つミニバン寄りの設計であった。3代目と4代目は欧州をメイン市場に見据え、背の低いスタンダードなハッチバックになった。
初代 DW系(1996年 - 2002年)
初代が開発された頃、マツダの経営は相当傾いていた。そのため、すでにあったシャーシを流用し、当時のRVブームに乗って小ぶりのワゴン風に仕立てた、言ってみれば安直な企画である。車高を153cmに抑え立体駐車場に入ることができるようにし、ライバルの日産・キューブのようなトールワゴンとの差別化を図った。この車台と言うのが1986年デビューのフォード・フェスティバから引き継いだ古いものであったが素性は良く、敢えて機能的な道具感に徹した素っ気なさがバブル崩壊後の世相にマッチし、新鮮に受け止められた。
かくして誕生した初代は、期待を大きく越えた大ヒット、さらにはマツダ自体も本車の売り上げで経営立て直しに成功したことで、「マツダの救世主」と高く評価された。
また、オーストラリア市場にも「マツダ121」という名称で投入されている。
CMには、NBAシカゴ・ブルズで活躍した名選手スコッティ・ピッペンが起用されていたが、本人が飲酒運転で検挙されたため放送中止になってしまった。後にピッペンは、当時のマツダの親会社だったフォードを通じてマツダに謝罪している。
2代目 DY系(2002年 - 2007年)
2代目は日本国外での市場競争力を確保するため、エンジン・プラットフォームを一新した。日本国内では引き続き好評ではあったが、同コンセプトのホンダ・フィットという強力なライバルが現れ苦戦を強いられた。フィットは新技術の「i-DSI」エンジンを搭載し低燃費と低排出ガスを実現、「センタータンクレイアウト」の採用により革命的な広い室内空間と多彩なシートアレンジを実現していたのに対し、デミオは燃費とスペースユーティリティの両面で劣っていたのである。またこの代で初めてヨーロッパ市場に投入(ヨーロッパでの名称・マツダ2)されたが売上は芳しくなかった。ただし乗り心地の良さやボディ剛性というフィットにはない美点があり、この特徴はより上級志向のベリーサに引き継がれた。
3代目 DE系(2007年 - 2014年)
ファミリー向けだった2代目までとは異なりプライベート志向が強く、ハンドリングなどの走りを重視していた。2011年にはマツダの次世代技術SKYACTIV TECHNOLOGYを搭載したモデルが発売され、アイドリングストップ機能や電子制御式ブレーキアシストなども実装された。
また、東南アジア向けにはセダンも設定した。
4代目 DJ系(2014年 - )
『魂動』デザインにより内外装の質感が飛躍的に向上し、『プレミアムコンパクト』の呼び声が高い一台となった。先代よりさらに欧州志向を強め、エンジンにディーゼルエンジンが追加されただけでなくそれをメインにして売り込んでいる。
生産工場が3代目までの広島市宇品の工場から、海外向けメインの山口工場(防府市)に変更された。
インフォテイメントシステムとしてマツダコネクトを装備しており、カーナビの機能を追加することもできる。初期は地図の正確さや使いやすさの面で非常に評判が悪かったが、後のソフトウェア更新で現在は他社の純正ナビに遜色なくなっている。ただし、市販のナビを取り付けることは(ダッシュボード上に置くタイプを除いて)できなくなった。
2015年10月にはモータースポーツ用グレードの15MBが追加された。1500ccガソリンエンジンを搭載したものでハイオク指定。レギュラーガソリンも使えるが性能が落ちてしまう。なお、AM/FMラジオやエアコンは装着されているので普通にオーナーカーとして購入することも可能。
しかしエンジン以外は1,300cc向け部品を採用しているためか、実際にモータースポーツに使う人たちからは「ドライブシャフトがポキポキ折れる」という嘆きの声がちらほら聞かれた(乗用車として使う場合は問題がないようだ)。
東南アジアおよびアメリカ市場向けに4ドアセダンも存在するが、日本国内では生産されておらず、タイからの逆輸入車も教習車専用で個人ユーザーには売っていない。
小型車のほとんど売れないアメリカ市場では、トヨタ自動車のサイオンiA→ヤリスiA→ヤリスセダンとしてOEM販売されている。2019年秋からはハッチバックもヤリスとして販売している。これらはマツダのメキシコ工場の稼働率を下げないための措置でもある。ただしこれに伴いマツダ2のアメリカでの販売は打ち切られている。しかし、トヨタはヤリスの販売を2020年11月で終了、ヤリスそのものを北米市場から撤退させた。
2018年秋モデル(4代目改良型)から1300ccガソリンのグレードが無くなり、全て新型1500ccエンジンに統一された。
2019年9月から海外向けの名称である『MAZDA2』を日本国内向けにも採用している。これに伴い、20年以上にも渡る『デミオ』としての歴史はここに終わりを告げることとなった。
2024年9月半ば限りで日本市場向けのディーゼルエンジン車の製造を打ち切る事になった。販売に関しても在庫がなくなり次第終了する。
なお、2022年に欧州市場に投入される『MAZDA2ハイブリッド』はヤリスのOEM車となっていて、製造はトヨタのフランスにある工場で行われる。