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※アメリカ車に限らず自動車は非常に奥深いカテゴリーなので、詳細は専門誌や専門サイトを参照していただきたい。


メーカーと歴史編集

ゼネラルモーターズ(GM)、フォード・モータークライスラーの大手3社を総称してビッグスリーと呼び、これらがアメリカ自動車産業をリードしている。


かつては他にもハドソン・モーターパッカードスチュードベーカーカイザー・フレーザーアメリカン・モーターズデロリアンなどの多くのメーカーが存在した。

しかし徐々に淘汰や吸収合併を繰り返し、1980年代以降はビッグスリー体制が続いている。


第二次世界大戦前にフォードは安価な自動車の大量量産という画期的な事業により革新的なモータリゼーションを引き起こし、GMは各国に自動車生産拠点を置いてノックダウン生産を行った。また両社とも各地の自動車メーカーを積極的に買収した。

こうした素早い事業展開により、まだ「自動車は貴族の高価なおもちゃ」という固定観念の強かった欧州車メーカーを一瞬で置き去りにし、一時は日本を含む世界中の市場を掌握した。日本メーカーではマツダ富士重工業SUBARU)が一時アメ車メーカーの傘下に入った。

GMは2000年代にトヨタに抜かれるまで、長らく世界1位の自動車メーカーとして君臨していた。


しかし企業の巨大化に伴う組織の硬直化や、ピックアップトラックとそれをベースとする大型SUVに頼った収益構造の欠陥がリーマンショックで大爆発を起こし、GMとクライスラーは破綻という憂き目に遭い、フォードも子会社のほとんどを手放してしまった。

現在はそれぞれ再生し、古き良き大型アメ車を維持しつつ、エコカーの開発にも勤しんでいる。


2008年に現在電気自動車の開発で知られるテスラ・モーターズが初の量産車を投入し、米国自動車製造業界に参入。2020年には株の時価総額でトヨタ自動車を凌ぐほどに成長を見せている。


一般的な特徴とイメージ編集

一言で言うと、二輪も四輪も燃費よりデカさとパワーが重視された車づくりがされている。

それは以下の要因による。


  • 非常に広大な国土と人口密度の低さ(市街地や集落の広がりの小ささ)を誇る国であるため、集落・都市間の移動には多くの燃料と荷物を載せられる大きさが求められる。
  • 土地が広大なので道の大きさに余裕がある。
  • 土地が広大なので管理の行き届いていない未舗装路(砂漠や山脈など)が多く、走破性が求められる。
  • 土地が広大ゆえ農林業や鉱業とそれらの加工・運送業が盛んな事から、パワフルなトラック農機重機等の作業車が必要である。
  • 人間も広大、もとい大柄で恰幅がいいのでその分大柄な車が求められる。
  • 産油国なのでガソリン軽油価格が安く安定していた時期が歴史的に長い。

要は土地も資源も人もいっぱいでデカいからである。

北米で最も売れている自家用車がピックアップトラックであると聞けば、アメリカ国民の性向はなんとなくわかるだろう。


当然アメリカでは自動車は生活上なくてはならない必需品であり、満16歳の高校生以上から運転免許を取得できるほどの車社会である。

広大な土地と原油の安さから燃費の悪くて楽しいスポーツカーに乗りやすい環境ということもあって趣味としての車文化への造詣も深く、現在の日本メーカーのスポーツカーの多くはアメリカの要望により復活し、アメリカの要望に合わせて開発されているほどである(NSXGRスープラなど)。

もちろん旧車を長く大切に乗り続けるという文化もかなり発達しており、旧車の博物館や多くの旧車が集まる祭りが全米に多数存在する。


なおアメ車の大柄なボディや悪路対策の強力で堅いサスペンションは、国土的に山地や狭い市街地が多く路面整備が全体的に行き届いた日本や欧州市場での低評価につながっている。

ただしジープなどのオフロード用乗用車の評価は高く、日本でも山間部での作業用や市街地でも富裕層の趣味用としてたまに見かける存在である。


日本を始めとする他国が一目置いても良いのは「ハイテクV8エンジン」だろう。スロットル開放度と速度に応じて片バンク4気筒停止する(ピストンは動いているが燃料は噴射しない)などして燃費の低減と排ガスの浄化に努めている。一方でOHVを頑なに貫いているがこれも合理的理由があり、簡単に言うと「消耗品であり耐久性上も難のあるタイミングベルトがいらない」事が挙げられる。まぁ日本も日本で市販車ベースレースとは言えOHVで11,000rpmまできっちり回しちゃったこともあるんだが……


なお米国で一般的に使われる距離と速度の単位はヤード・ポンド法である「マイル」である。アメ車のスピードメーターにはマイルと世界で圧倒的に主流であるキロメートルが同時表記されているものが多い。なおそのきっかけである旧宗主国のイギリスも現在なおマイルが標準であるが、1970年のEC加盟に際してメートル法転換が始まっており、現在、速度計についてはマイル毎時とキロメートル毎時が併記されている。


小型のアメリカ車について編集

以上がアメ車の一般的なイメージ・特徴であるが、「メーカーと歴史」で述べたとおり、アメリカ車メーカーは必ずしも北米向けに車を作っているわけではなく、むしろ各国の自動車事情に合わせた車作りをして成長した面が大きい。


例えばフォードの製造する小型ハッチバックのフィエスタは、母国アメリカではなく欧州で製造も販売もされているモデルである。同じようにGMがシボレーブランドで製造する小型セダンのクルーズも韓国GMで製造され、新興国を中心に販売されているモデルである。

これらも定義上はアメリカ車だが、我々が「アメ車」と聞いて想像するものではないだろう。


また1970年代以降は燃費・耐久性に優れた日本車が北米市場で大きく成長したことから、母国市場向けにも市街地向け乗用車がしばし開発された。


ただしこれらの分野は品質・イメージともに日本・韓国・欧州車に対して苦戦しており、研究開発費の割には利益率もすこぶる悪い。

そのため近年のビッグスリーは日本・欧州の市場展開を縮小あるいは撤退したり、北米市場では小型乗用車(クーペSUVを除く)そのものから撤退したりと「選択と集中」が行われており、どちらかというと我々のイメージするアメ車の方へ近づいている。


とはいえそんな中でも、時代の要請に合わせて低燃費車両の開発は進められており、いわゆるダウンサイジングターボスーパーチャージャーハイブリッドカー電気自動車、全自動運転車などの研究開発は盛んである。これにより古き良きV8エンジンを売りにしていたスポーツカーに、直4ターボがラインナップされるというケースも珍しくなくなってきている。


左ハンドルと右ハンドルについて編集

世界的規格である「右通行基本左ハンドル」は、そもそも世界で初めてアメリカで自動車の一般人への販売が始まったことから。ほぼ同時期に自動車を実用化したドイツもこれに倣った。一方、少し出遅れた英国はアメリカやドイツ・フランスの輸出品から自国とその植民地の工業を守るため、非関税障壁として「左通行基本右ハンドル」を採用した。この為、右ハンドルはほぼイギリスの旧植民地(現在も英連邦に所属している国がほとんど)である。例外は近代化そのものが他の列強国より少し遅れた結果、そのイギリスから自動車技術を導入することになった日本と、今度はその日本から自動車技術を導入しようとしたインドネシアぐらいである。


主な四輪ブランド編集

ゼネラル・モーターズ系

※豪州のホールデンは2021年に消滅。欧州のオペルボクスホールはPSA(プジョー/シトロエン)への売却(2017年)を経てクライスラーが属するステランティス入りする結果となった。


フォード・モーター系


ステランティス系


その他


主な二輪ブランド編集

ハーレー・ダビッドソン

ビューエル

インディアン

ボスホス

タイタン


関連イラスト編集

SHERIFFコルベット スティングレー


関連項目編集

自動車 アメリカ外車

工業 経済 左ハンドル カーズ

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