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OHV

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おーばーへっどばるぶ

レシプロエンジンにおいて、カムシャフトがシリンダーの横に配置され長いロッドを介してバルブを開閉させる形式。

概要

レシプロエンジンの吸排気弁機構の形式の一つ。Over Head Valve(オーバー・ヘッド・バルブ)の略。日本語では頭上弁式と表記される。

OHVが一般的になる前はサイドバルブ式が主流だった。

これは、燃焼室に対し吸気・排気ポートが横向きに備わり、ここにつながる形でシリンダブロック側部に上向きに開くバルブを備えたもので、ロッカーアームが無く、シリンダヘッドへ至るオイルラインも無いため故障の確率は低かったものの、圧縮比を上げることができず、燃焼室の表面積が広大となるため効率が悪く出力が低かった。

ガソリンエンジンの場合、理想的な燃焼室形状は半球型と言われているが、これを実現させたのがOHVで、出力や効率を大きく引き上げることに成功した。しかし、更なる高回転化が技術的に困難で、性能の引き上げに限界があるため、時代が下ると日欧では乗用車を中心にOHCなどに取って代わられた。

構造

カムシャフトがシリンダーの横に位置し、プッシュロッドとよばれる長い棒を介してロッカーアームを押し上げバルブを開閉させる。「プッシュロッドエンジン」と呼ばれる事もある。回転数が高くなってくるとプッシュロットがカムに追随できず破損を誘発しやすくなるため高回転を多用するレース用には不向き(一部の例外はある)であり、車両用としてはハーレーダビッドソンや一部のアメ車など趣味性を求めるモデル以外に採用されることは減っている。

OHV方式の採用例

四輪車

日本車では、1950年代から1970年代に製造された乗用車によく採用された。

同一車種に複数のグレードを設定する場合、上位グレードにはDOHC/SOHCエンジンを、下位グレードにOHVエンジンを採用し差別化を計ることが多かった。

1990年代以降は一部の例外を除いてLPGエンジン車にしか見られなくなり、日本車で最後までOHV/ガスミキサータイプのLPGエンジンを搭載していたクラウンセダン/クラウンコンフォート/コンフォート2008年にDOHCでガス直接噴射のエンジンに置き換えられ、現在ではジャパンタクシーへの置き換えが進んでいる。

一方で、アメリカでは随分事情が異なり、GMクライスラーはそれぞれシボレーLSエンジン、クライスラーHEMI®エンジンを以てして依然としてOHVエンジンを製造し続けている。これには、アメリカでV8+OHVという組み合わせが半ば神格化されていたり、整備性の良さに目をつけられて…という背景がある。それでもOHVでありながら機種によっては可変バルタイ機構を搭載していたりと、独自にOHVが進化している。また、米国を代表するモータースポーツであるNASCARでは、マシンに搭載される5.9LのOHVが10000回転近く回るよう設計されており、如何にOHVの技術力が向上しているかがよく分かる。

二輪車

ハーレーダビッドソン社が1936年以来、伝統的にOHV形式の空冷V型2気筒エンジンを搭載し続けている。他社のクルーザー型オートバイでもヤマハ発動機カワサキBMW)も、エンジン高(幅)を抑えるためにOHVを採用している。

ホンダスーパーカブは発売開始時にはOHVであったが、1964年のモデルチェンジでSOHCに変更されている。

また、SUZUKIの「チョイノリ」も汎用機用OHVエンジンを搭載していた。

航空エンジン

航空機用レシプロエンジンは、より小型軽量で高出力であることが求められたため、当初から積極的に導入されたが、その反面で自動車のようにOHCやDOHCが代わって主流となることはなかった。

プロペラは先端が音速に達すると衝撃波により効率が低下するため、ある程度以上は回転数を上げる必要がなくOHVの欠点である高回転域に関する問題が現れないためである。

また、星型エンジンの場合、仮にOHCを導入すると1気筒に1つカムシャフトを駆動させる機構を備える必要があるので、現実的ではなかった。

汎用エンジン

OHVは、同じ排気量のOHCエンジンと比べて構造が単純なため整備しやすく(とはいえSVほどではないが)、軽量・コンパクトという利点があり、自家発電機、ポンプ、耕耘機等の汎用エンジンでは主役である。が、この分野でも2003年にOHCエンジンを得意とする本田技研工業がSOHCの汎用エンジンを出し、OHVを置き換えた。ヤンマー川崎重工業、井関農機は環境対応の改設計を施した上でOHVエンジンを存続させている。

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