概要
6列のシリンダーバンクをV型に2セット配置した形態のレシプロエンジン。直列6気筒が斜めに2つ付いていると思えばいい。過去にはマーリンエンジンやDB600など航空エンジンで広く採用された。
通常、V型エンジンは気筒数や点火順序加えてバンク角も振動や出力などの特性を決める重要な要素になるが、V12エンジンは片方のバンクだけで振動を相殺できるため、どのバンク角でも(理論上)振動を生じないとされる。
自動車用V12エンジン
ごく一部の少量生産のハイパーカーのような例外を除けば、市販の量産自動車に載せられる最大の気筒数であると考えて良い。当然重さ・価格・燃費・メンテナンス費どれをとっても高額であるが、その味は格別である。
日本の乗用車では唯一、トヨタ・センチュリーで静粛性の高さを追求するために使われていたが、2018年のフルモデルチェンジをもって消滅している。一方海外ではランボルギーニやフェラーリ、BMW、メルセデス・ベンツ、アストンマーチンなど高級車で多数の採用例が見られる。
競技用としては、1960~1990年代のF1や1980年代のグループC規定においてV12がしばし用いられた。ホンダが日本のF1コンストラクターとして初勝利を挙げたのと、アイルトン・セナとともに黄金期を築いたのもV12エンジンであった。
鉄道用V12エンジン
キハ65、キハ66系、キハ181系、キハ183系のDML30H系や、DD51、DE10などに使われているDML61系、DF200 DD200のエンジンもV12エンジンである。海外でもイギリス国鉄クラス800のエンジンがV12である。