概要
クラス395が好評だったことから、イギリスの都市間高速鉄道計画「IEP」の一環として日立製作所が製造した高速鉄道。外見はクラス395に似ているが、クラス395は通勤用のための車両でどちらかというと快速的な扱いで、客席はきっちりした普通席のみであることに対し、こちらは長距離走行を目的とした特急でゆったりとした客席になっているのが特徴。
800形の最大の特徴は、交流25,000Vの電化区間では架線より集電し、電化区間以外では床下に設置された着脱式のディーゼル発電機から電力を得るデュアルモード式EDC(Electric Diesel Car)方式を採用しているという点にある。ディーゼル発電機は車内の静粛性と寸法の小型化に細心の注意が払われ、静粛性と車内の居住性を両立したものとなっており、それ以外は同じく製造、日本からイギリスに輸送された801形電車(クラス801)と共通仕様。 この発電機により停電時にもある程度走行できるつくりになっている。
現に、グレート・ウェスタン鉄道ではそれまで進めていた架線敷設工事が滞ったため、800形での運用が続いてた。
しかし800形は加速に重きを置いたギア比設定でかつ、ディーゼル区間の制限は160km/hだったのでディーゼルモードでの設計速度は185km/hになっていた。
幸いにも高加速なお陰でHSTと同じダイヤで走れていたモノの、当初の予定であった増発・速達化は見込めなくなってしまった。
そこで800形に使われてたディーゼルエンジンをチューニングして燃料タンクを大型のモノにし、ディーゼルモード時の設計速度を225km/hに引き上げた、パワー厨も大満足な802系が派生型として登場。
既に入ってた800形や導入予定だった801形も 魔改z…ゲフンゲフン 改修し802形として運航している。
(実は800形はモジュール設計の為、ある程度大幅な仕様変更でも自作PC感覚でパーツを取り替えるだけで出来る優等生である。)
グレート・ウェスタン鉄道仕様の800形はそのモジュール設計を生かし、新たにリチウムイオン電池を投入し、トリプルモード式ハイブリッドEDC(Electric Diesel Car)と云う
見事なまでに抹茶と紅茶の香りが漂うハイテクな車両も試験導入されている。
ヴァージン・あずま
当車両はヴァージン・トレインズ・イースト・コースト社(VTEC)が運営するイースト・コースト本線(東海岸本線)とグレート・ウェスタン鉄道が運営するグレート・ウェスタン本線を走行し、このうち、イースト・コースト社用の列車が2016年3月18日に公開され、イーストコーストを表す日本語の「東」の和名にちなんで「ヴァージン・あずま」と命名されている。
元の白地に赤い模様があしらわれ、ひらがなで「あずま」という文字と「HITACHI」の社名がでかでかと掲げられているのが特徴。
2018年に業績の悪化により国営であるロンドン・ノース・イースタン鉄道(LNER)に運営権が移り、VTECの運営予定だった車両はいくつか模様が違うが、LNERはいずれも直線になった。
女王陛下の800…になるはずが…
グレート・ウェスタン線の車両はラッピングにより他の車両同様のダークグリーンのカラーリングになっている。イギリスの鉄道は国鉄から各鉄道会社に期間ごとに貸し与えられているそうで、貸出期間終了後にいつでも元のカラーリングに戻せる使用になっている模様。後述の追加車両はラッピンクが一度はがれた後の対処の問題から製造時に最初からこのカラーリングになっている。
2017年10月16日からの運行開始に先立ち、6月13日に女王エリザベス2世が本線にて試運転列車に約20分間乗車し、女王陛下からは「次も日本製で♪」と好評だった模様。これを記念して同編成に「Queen Elizabeth II」と女王の名が愛称としてつけられた。
その後10月16日に予定通りグレート・ウェスタン本線で運転を開始した。…が、初号列車で空調装置の故障が出発直前に発生、室内に水が漏れ出したため応急処置を行った(なお、当日の現地は雨天だった)。このため、編成はそのままロンドンの車両基地へ回送され修理され、パディントンへは41分間遅着し乗客から苦情が寄せられた…。
ちょうど同車両がデータ改ざん問題が発覚した神戸製鋼製のアルミ材を使用していたこともあって、それが原因だという見方もされてしまった。この件はイギリスではマスコミにそれ見たかと言わんばかりに「日本製もあてにはならない」と叩かれたが、二つの件は無関係である。
そもそもクラス395製造後に労働組合が「イギリスの鉄道なのに国外で作られたらイギリスの雇用にならない、イギリスで作らせろ!」「日本にできるんだからイギリスにできないはずがない!!」といってイギリスで当車両を作らせた結果でもある。そのためイギリスでは「やっぱ日本に全部やってもらった方がよかったじゃん!」と擁護の声もあったという。それはそれで後学にならないけどね…。
加えてグレート・ウェスタン本線は非電化区間が多く、当車両を走らせる際、電化区間を増やす予定だったが、変電所の設置や線路上の橋をかけ替える必要が出て、その費用と時間がかかることから本来の運行開始期間より大幅に遅れが出てしまい、未だ非電化区間が多いまま、801形電車も本領発揮できずに802形への変更を余儀なくされたなど、問題が山積みではあった。
とはいえ、くさっても日本の鉄道の師であるイギリス。工事を進めてなんとか運営区間を増やしていき、HSTと交替する形でクラス801やクラス802と共に走行車両を増やしていった。車両編成違いも含めて急に受注が増えた為、いくつかは日立が買収したイタリアの高速鉄道フレッチャロッサの製造元アンサルド・ブレダ社の工場で生産することになった。
関連項目
Class800…表記ゆれ