概要
編成 | 6両(DPT1+M1+M2+M3+M4+DPT2) |
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最高速度 | 225km/h(高速新線)、160km/h(在来線) |
起動加速度 | 2.52km/h/s |
減速度(常用) | 3.24km/h/s |
減速度(非常) | 4.32km/h/s |
編成出力 | 3360kW(210kW×16台) |
主変換装置 | IGBTコンバータ・インバータ+ブレーキチョッパ |
補助電源装置 | 110kVA(3相交流400V+直流110V) |
台車 | ボルスタレス台車 |
【※参考:日立評論2010年2月号「英国HighSpeed1向け高速車両Class395の開発とメンテナンスサービス」】
日立製作所笠戸事業所が2007年8月~2009年に製造した英国の通勤型高速鉄道車両。
愛称は「Javelin(ジャベリン)」。
ロンドン(セント・パンクラス)~イギリス南東のケント州フォークストン間の高速新線CTRL(High Speed 1)の速達化を目的として導入された。
HSBCホールディングス傘下のエバーショルト・レール・グループが保有し、同社からサウスイースタン鉄道にリースされている。
2009年9月デビュー、在籍数は6連(4M2T)29本。
電源は高速線(CTRL)区間の交流25kV(架線)と在来線の直流750V(第三軌条)の双方に対応。
制御装置は日立製IGBT素子を用いたVVVFインバータ制御。
A-trainの技術を用いたアルミニウム合金製ダブルスキン構造の車体を持つ。
先端部分が黄色いのは衝突事故防止のためで、他のイギリス車両にも義務付けられている。
内装は、高速鉄道用の車両としては簡素なものになっている。これは、この車両がイングランド南東部の輸送改善のために導入されたものであり、それほど長距離を走ることがないからである。
(勝手に日本で例えるなら、特急草津が高崎以南を新幹線経由で走っているようなもの)
2010年4月14日、「英国High Speed 1路線向け高速鉄道車両(Class395車両)の開発」に対し、製造元の日立製作所が第39回日本産業技術大賞「内閣総理大臣賞」を受賞した。
当形式が好評だったことから非電化区間も走行できるようディーゼルエンジンも搭載したバイモード(電気・ディーゼル両用)車両「クラス800」が日立製作所に受注されることになり、2017年より順次製造されている。
ちなみにクラス800の部品は車両の内外とも極力イギリス製を中心とした欧州メーカーのものを採用している。
愛称
2012年のロンドン五輪の本会場であるストラットフォードを経由するため、五輪開催期間中はロンドン・セント・パンクラスとストラットフォード・インターナショナル間の会場アクセス用シャトル列車として運用された。
この高速シャトル列車はジャベリン(投げ槍の意)と名付けられ、現在でも当形式の愛称として使われている。
全ての編成にイギリスのメダリストの愛称名が付けられる予定になっており、第1編成には女子陸上選手のケリー・ホームズ選手にちなんで「ティム・ケリー」と名づけられた。
列車救出
2009年12月18日、イギリスを襲った大寒波により英仏海峡トンネルを走っていたユーロスターの車両がトンネル内で故障し、約500人の乗客および乗員がトンネル内に閉じ込められる事故が発生した。
寒いフランス国内を走ってきたユーロスターが暖かい海峡トンネル内に入って結露した水分で電気系統をやられたのが原因で、救出に向かった後続の列車も立て続けに故障。最大六本の列車がトンネル内でストップするという大惨事になってしまった。
当局はトンネル内に閉じ込められた乗客を救うため、当形式を救援列車として英仏海峡トンネルへ向かわせ、取り残されていた乗員乗客全員を16時間ぶりに救出した。
救援に向かった他の列車達が軒並み故障する中、日本製の当形式だけが何食わぬ顔で走行し、トンネル内で立ち往生したユーロスターを救出したのである。
当初は運賃が普通車両の3割高だったことから利用者に不評だったのが、この件で寒波に強いという利点から一気に見直されるようになった。
迷列車海外編でのクラス395
HSTやAPTは「しろくまくん」、ローズお姉ちゃん(17)や銀助は「ナンノキちゃん」と呼ぶ。
やや気弱な感じの大人しい性格で、ゆっくり曰く「いじられキャラ」。
日向葵氏の擬人化では「おかっぱでスーツ姿の小柄(日本人女性の平均身長程度)な女の子」となっている。
関連項目
Class395…表記ゆれ