概要
鉄道車両のモジュール生産システムの名称。"A"は、"Advance"(先進)、Amenity(快適)、Ability(性能)、それから車両構体の材質である"Aluminum"(アルミニウム)の頭文字をとっている。
特徴
アルミニウム押し出し材採用によるダブルスキン構造
アルミ車を鋼製車と同じシングルスキン構造で製造すると溶接箇所が多く、アルミニウムはその熱伝導のよさと融点の低さにより溶接が困難で車両価格の上昇につながるため、押し出し材(※1)を接合して溶接箇所を減らしたダブルスキン構造を採用。この構造により遮音や軽量化(※2)、車体強度の向上がなされ、また押し出し材が車体サイズであるため部品点数が減り製造価格が低減できる。
※1・・・目的の形状の孔の開いた型から押し出して製造する型材。身近なところではマカロニやアルミサッシが押し出し材と同じ原理の方法で製造されている。
※2・・・同じ板厚の場合、実はシングルスキン構造のほうが若干軽い。が、ダブルスキン構造はそれを上回る利点を多く持っているため近年はアルミ車に多く採用されている。
摩擦攪拌溶接(※3)による接合
熱による歪みの軽減や強度改善、見栄えが良くなるといった効果が得られる。
※3・・・工具を押し付けて回転し摩擦熱と工具による混合によって接合する方法
内装部品の差込型モジュール化
構体の端から差込み、目的の場所で固定する方法を採用したことにより内装工程が車両構体の工程と平行して行えるようになり、納期短縮と組み立てコストの削減を実現。この方法のために構体内には取り付けのためのガイドレールが形成されている。運転台やトイレなども別工程で製造したモジュールを取り付けるようになっている。
制御・伝送のディジタル化
今まで、機能ごとに回路を設けていた構造をディジタル化しシリアル通信とすることにより、100V信号線を用いた方法に比べ、軽量化、省資材化した。また、乗務員室に列車の各車両の状態(力行・制動の状況や故障の有無、空調の状態の表示など)を表示したり、VVVF車の全電気ブレーキ(※4)を可能にし、また車内の自動放送など乗務員の負担軽減にもつながっている。
※4・・・制動開始から停止寸前まで動作するように工夫した電制で、制輪子の摩耗を従来の電制よりも更に減らすことができる。ちなみに既存のVVVF車でもブレーキ制御プログラム更新(基板交換、制御プログラム書き換えなど)で実現可能。
採用例
815系・817系・883系1000番台・885系(JR九州)
9000系・9300系・1000系(2代)・1300系(2代)(阪急電鉄)
TX-1000系・TX-2000系・TX-3000系(首都圏新都市鉄道)
10000系・15000系・16000系・17000系・18000系(東京メトロ)
2000系(東葉高速鉄道、東京メトロ05系の13次車と共通設計)
など。