概要
東武50000系とは、東武鉄道の通勤形車両、またはそのグループである。東武の新標準型車両としての位置づけの1つで、派生車両に50050型,50070型,50090型が存在する。
2005年、東武東上線向けにまず50000型第1編成が投入された。
今まで東武鉄道の車両製造はアルナ工機に頼っていたが、アルナ工機の組織形態変更により本系列は全車両が日立製作所製となっている。
メカニズム
車体構造
本系列では、東武初となるアルミダブルスキン構造の車体が採用されている。全体のイメージカラーはオレンジで、扉横にポイントカラーとして貼り付けられている。最近のアルミダブルスキン車は、このようにアルミの地色を生かした車両が多い。
「摩擦攪拌接合」という方法で製造されたこの車両は、西武20000系と同じく、日立製作所のアルミ製通勤電車のモジュール基準A-Trainに沿っている。車体には下部を除き、面取りがつけられている。
モーター・制御装置
IGBT素子のVVVFインバーター制御が採用されている。モーター形式はTM03で、型式の由来はおそらく「Tobu Motor 03」。容量は165kWと最近の首都圏の新車の中ではごく標準的。インバーターは、M1M2ユニットは1C4Mの2群、M3は1C2Mの2群構成となっている。
同じVVVFインバーター制御(IGBT素子)の30000系とは音が異なり、こちらは東急5000系列に似ている。
内装
東武初の片持ち式バケットシートを設置している。
座席は普通席が紫(藤の花のような色)、優先席は緑となっている。車内の化粧板は白を基調としており、さわやかな印象を受ける。
車内案内表示器はLEDスクロール式のものを扉上に千鳥配置しシンプルな印象である。他社が車内案内表示器にLCDを導入している私鉄が増える中、最終増備である51076・51077編成のみ車案内表示器がLCD搭載とした。また2018年度の設備投資計画で、有楽町・副都心線直通用の50070型(76・77編成は除く)と半蔵門線直通の50050型を対象に、車内案内装置をLEDからLCDに交換することが発表され、既にLCDが1画面設置されている51076・51077編成は広告用のLCDが、51073・51074編成には東武70000系と同タイプの2画面のLCDがそれぞれ設置された。
形式別
50000型
2005年に運行開始。
既存車が牛耳っていた東上線に新たな風を吹き込んだ。まず1編成が導入され、東上線内で種別に関係なく運用。この51001編成はこのグループで唯一の非貫通型車両である。
その後、51002編成が増備されたが、この車両から先頭部に貫通扉が付いた。2編成が導入されたところでしばらく製造は中止、伊勢崎線用の50050型が急ピッチで投入され、それが一段落すると増備を再開した。
全9編成。2021年時点で7編成が森林公園検車区、2編成が南栗橋検車区所属。南栗橋所属の編成は30000系とのトレードで2020年・2021年に転属してきた51008・51009編成で、50050型に準じた仕様に改造された上で伊勢崎線・半蔵門線・田園都市線の直通運用に就いている。51003編成以降が50050型と車両規格が一致していたのが転属の決め手。
東上線の車両はフルカラーLEDへの方向幕換装が進んでおり、2024年9月までに東上線で活躍する50000型はフルカラーLEDに交換されたが、スカイツリーラインに転属した車両は手づかずのまま、3色LEDである。
ちなみに、本線に転属した51009fの運用番号のみ何故かフルカラーLEDになっている。
50050型
⇒詳しくは50050系を参照。
50070型
2007年登場。2008年6月に開業することになっていた東京メトロ副都心線への直通運転に対応するため導入された。副都心線内に設置されているホームドア規格の都合上、従来より先頭車の車長が少し長くなっている。
表示器がフルカラーLED化され、運転室には、副都心線で用いる、ホーム監視用のCCTVが設置されている。
副都心線直通列車にはこの車両と9000系・9050系リニューアル車が充てられる。2013年からは東急東横線への直通運転にも使用されている。
50075fのみ、地上専用運用の50000型と同じフルカラーLEDに交換された。運用番号もフルカラーLEDに交換された。
50090型
2009年登場。同年東上線に新設された有料の座席指定列車「TJライナー」専用車両として導入された。
座席は近畿日本鉄道で初めて導入されたデュアルシートを採用。TJライナー・川越特急とその前後の運用ではクロスシートモードで運用され、それ以外の運用はロングシートモードで運用されている。
車体には、他の50000系列との区別のため新たにブルーの帯が巻かれ、中間部に「TOJO LINE」と書かれている。このほか、従来の扉横の一体型手すりが消え、普通の手すりが取り付けられた。
2015年から2019年まで、51092編成が期間限定で特急「フライング東上」のカラーにラッピングされていた。
余談だが、川越特急や送り込み用快速急行ではクロス運用をされており、首都圏のL/C車両では最も無料クロスシートの運用が多い。
2023年から座席の交換が開始されており、70090型とほぼ同一仕様の座席に更新されている(コンセントやドリンクホルダー、荷物フックなどの付帯設備はついていない)。
まとめ表
50000型第1〜7編成 | 50000型第8・9編成・50050型 | 50070型 | 50090型 | |
---|---|---|---|---|
編成 | 10連 | (同左) | (同左) | (同左) |
MT構成 | 5M5T | (同左) | (同左) | (同左) |
使用路線 | 東武東上線 | 東武伊勢崎線・東武日光線・東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線 | 東上線・東京メトロ有楽町線・副都心線・東急東横線・東急新横浜線・横浜高速鉄道みなとみらい線 | 東上線 |
用途 | 地上運用 | 直通運転 | 地上運用・直通運転 | 地上運用・「TJライナー」 |
備考 | 第1編成のみ非貫通 | 一部編成は地上運用専用となった30000系からATCを譲り受けている | 副都心線のホームドアに合わせるため、他の車両よりも車体長が若干長い | ロング/クロス切り替え可 |
保安装置 | 東武型ATS | 東武型ATS,CS―ATC | 東武型ATS,CS―ATC,ATO | 東武型ATS |
管理装置 | ATI | (同左) | (同左) | (同左) |
編成表
- 伊勢崎線用の50050型を除く。
- VVVF1・VVVF2=制御装置、PT=パンタグラフ、CP=コンプレッサー、SIV=補助電源装置
←池袋 | 渋谷 | 新木場 | 小川町→ | |||||||
50000型 | ||||||||||
車番 | 51000 | 52000 | 53000 | 54000 | 55000 | 56000 | 57000 | 58000 | 59000 | 50000 |
MT構成 | Tc1 | M1 | M2 | T1 | M3 | T2 | T3 | M1' | M2' | Tc2 |
搭載機器 | VVVF2・PT | SIV・CP | VVVF1・PT | VVVF2・PT | SIV・CP | |||||
番号 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
第1編成 | 51001 | 52001 | 53001 | 54001 | 55001 | 56001 | 57001 | 58001 | 59001 | 50001 |
第2編成 | 51002 | 52002 | 53002 | 54002 | 55002 | 56002 | 57002 | 58002 | 59002 | 50002 |
第3編成 | 51003 | 52003 | 53003 | 54003 | 55003 | 56003 | 57003 | 58003 | 59003 | 50003 |
第4編成 | 51004 | 52004 | 53004 | 54004 | 55004 | 56004 | 57004 | 58004 | 59004 | 50004 |
第5編成 | 51005 | 52005 | 53005 | 54005 | 55005 | 56005 | 57005 | 58005 | 59005 | 50005 |
第6編成 | 51006 | 52006 | 53006 | 54006 | 55006 | 56006 | 57006 | 58006 | 59006 | 50006 |
第7編成 | 51007 | 52007 | 53007 | 54007 | 55007 | 56007 | 57007 | 58007 | 59007 | 50007 |
第8編成 | 51008 | 52008 | 53008 | 54008 | 55008 | 56008 | 57008 | 58008 | 59008 | 50008 |
第9編成 | 51009 | 52009 | 53009 | 54009 | 55009 | 56009 | 57009 | 58009 | 59009 | 50009 |
50070型 | ||||||||||
車番 | 51070 | 52070 | 53070 | 54070 | 55070 | 56070 | 57070 | 58070 | 59070 | 50070 |
MT構成 | Tc1 | M1 | M2 | T1 | M3 | T2 | T3 | M1' | M2' | Tc2 |
搭載機器 | VVVF2・PT | SIV・CP | VVVF1・PT | VVVF2・PT | SIV・CP | |||||
番号 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
第1編成 | 51071 | 52071 | 53071 | 54071 | 55071 | 56071 | 57071 | 58071 | 59071 | 50071 |
第2編成 | 51072 | 52072 | 53072 | 54072 | 55072 | 56072 | 57072 | 58072 | 59072 | 50072 |
第3編成 | 51073 | 52073 | 53073 | 54073 | 55073 | 56073 | 57073 | 58073 | 59073 | 50073 |
第4編成 | 51074 | 52074 | 53074 | 54074 | 55074 | 56074 | 57074 | 58074 | 59074 | 50074 |
第5編成 | 51075 | 52075 | 53075 | 54075 | 55075 | 56075 | 57075 | 58075 | 59075 | 50075 |
第6編成 | 51076 | 52076 | 53076 | 54076 | 55076 | 56076 | 57076 | 58076 | 59076 | 50076 |
第7編成 | 51077 | 52077 | 53077 | 54077 | 55077 | 56077 | 57077 | 58077 | 59077 | 50077 |
50090型 | ||||||||||
車番 | 51090 | 52090 | 53090 | 54090 | 55090 | 56090 | 57090 | 58090 | 59090 | 50090 |
MT構成 | Tc1 | M1 | M2 | T1 | M3 | T2 | T3 | M1' | M2' | Tc2 |
搭載機器 | VVVF2・PT | SIV・CP | VVVF1・PT | VVVF2・PT | SIV・CP | |||||
番号 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
第1編成 | 51091 | 52091 | 53091 | 54091 | 55091 | 56091 | 57091 | 58091 | 59091 | 50091 |
第2編成 | 51092 | 52092 | 53092 | 54092 | 55092 | 56092 | 57092 | 58092 | 59092 | 50092 |
第3編成 | 51093 | 52093 | 53093 | 54093 | 55093 | 56093 | 57093 | 58093 | 59093 | 50093 |
第4編成 | 51094 | 52094 | 53094 | 54094 | 55094 | 56094 | 57094 | 58094 | 59094 | 50094 |
第5編成 | 51095 | 52095 | 53095 | 54095 | 55095 | 56095 | 57095 | 58095 | 59095 | 50095 |
第6編成 | 51096 | 52096 | 53096 | 54096 | 55096 | 56096 | 57096 | 58096 | 59096 | 50096 |