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近畿日本鉄道

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きんきにっぽんてつどう

近畿・中部地方2府3県に路線網を広げている日本の大手私鉄。近鉄グループホールディングス株式会社の子会社。

概要

日本大手私鉄の1つであり、大阪府愛知県他2府3県に路線網を広げている鉄道会社である。営業キロ総延長は501.1kmで、JRグループを除く日本の鉄道事業者としては最長である。2つの離れた都市圏を往来する私鉄は現時点では近鉄のみである。

この会社は現在の近鉄奈良線を建設・運営した大軌(大阪電気軌道)を母体として合併を繰返しながら現在の路線網を築いて来たが、その過程で路線の中に複数の軌間(国鉄同様1.067mm及び標準軌と呼ばれる1,435mm。なお。ナローゲージと呼ばれる762mmも所有していたが、平成27年時点で全て手放している)を持つこととなった。合併を繰り返したため、中には王寺・新王寺田原本・西田原本の様に、同じ鉄道の隣合う駅であっても、乗り換えのために改札を出る必要がある駅が存在する。

 

WW2中である1944年、戦時統合により南海鉄道南海電鉄の前身)と一時合併し(初代)近畿日本鉄道株式会社が設立、その後、1947年に南海を分離した。関東進出も目論んでいたという話もある。

また、2004年まではプロ野球大阪近鉄バファローズの親会社であったが、オリックス・ブルーウェーブと合併・消滅した。これは球団の赤字垂れ流し体制に加え、本社赤字体質改善の事業再編が原因といわれ、実際この時期に長年運営して来たあやめ池遊園地や上本町の近鉄劇場が一斉閉鎖となり、OSK日本歌劇団もリストラされたことも大きな裏付けとして見て取れる。

この一件は近鉄の代替で新興IT企業の参入表明があった(最終的に東北楽天ゴールデンイーグルスが参入)ことや、もう2球団合併して10球団1リーグの構想が浮上するなど含めプロ野球再編問題として社会的注目を集めた。

なお、近鉄電車の色とバファローズのイメージカラーは同じ赤であるが、由来は異なるとされる。

2015年4月1日、この会社は子会社・近畿日本鉄道分割準備株式会社(2014年4月30日設立)に鉄道事業等を会社分割・持株会社化、(旧)近畿日本鉄道株式会社が近鉄グループホールディングス株式会社、近畿日本鉄道分割準備が(現)近畿日本鉄道株式会社に社名変更した。その後、名古屋支社(名古屋市中村区名駅四丁目5-28 桜通豊田ビル8階)を2021年6月18日付で廃止。事務所拠点を3ヶ所とする。

英文社名は、当初は日本語社名をそのまま英訳した「Kinki Nippon Railway Co., Ltd.」であったが、2003年6月28日に「Kintetsu Corporation」に変更した。これは「Kinki」という語が英語の「Kinky」(変態)に語感が似ており、訪日外国人に「Kinky Nippon Railway」(変態日本鉄道)と誤解されないようにするためである。さらに2015年4月1日の持株会社体制移行に際して「Kintetsu Railway Co., Ltd.」に再変更された。

事務所所在地

  • 近鉄グループホールディングス株式会社
    • 本社:大阪市天王寺区上本町6-1-55
    • 東京支社:東京都千代田区丸の内2-5-2 三菱ビルヂング7F773区
    • 台北支社:台北市中山区松江路126号8F
  • 近畿日本鉄道株式会社
    • 本社・鉄道本部 大阪統括部:大阪市天王寺区上本町6-1-55
    • 鉄道本部 名古屋統括部:四日市市鵜の森1-16-11

路線

アルファベットは駅ナンバリングに使用。

ロープウェイ

葛城ロープウェイ

近鉄から移管

  • 1947年移管

南海電気鉄道本線高師浜線多奈川線加太線高野線高野下以北・平野線(平野線は移管後に廃止)

阪堺電気軌道阪堺線上町線

  • 2003年移管

三岐鉄道北勢線→762mm軌間

  • 2007年移管

伊賀鉄道伊賀線(施設は2017年4月から伊賀市が保有)

養老鉄道養老線(施設は2018年1月から養老線沿線の7市町で構成される養老線管理機構が保有)

  • 2015年移管

四日市あすなろう鉄道内部線八王子線(施設は四日市市が保有)→762mm軌間

廃止路線

近畿日本鉄道成立以降に全線廃止となった路線は以下の通り。

山上線

法隆寺線

小房線

伊勢線

東信貴鋼索線

その他、伊賀線・志摩線・八王子線のそれぞれ末端部に廃止区間が存在する。

ラインカラーと駅ナンバリング

2006年3月27日、けいはんな線の生駒 - 学研奈良登美ヶ丘間延伸開業とともに、大阪市営地下鉄(現:Osaka Metro)に合わせる形でけいはんな線に駅番号が導入された。けいはんな線にはOsaka Metro中央線の路線記号からCが与えられ、ラインカラーはライムグリーン(薄い緑)と定められた。

2015年8月20日より、葛城山ロープウェイを除く他の路線にラインカラーと駅ナンバリングが導入された。

ラインカラーは以下の通り。

  • 難波・奈良・生駒線:赤
  • 京都・橿原・天理線・田原本線:黄
  • 大阪・信貴線:薄青
  • 名古屋・湯の山・鈴鹿線:濃青
  • 南大阪・吉野・道明寺・長野・御所線:緑
  • 山田・鳥羽・志摩線:青緑
  • ケーブルカー(生駒鋼索線・西信貴鋼索線):薄オレンジ

駅ナンバリングは駅名標、LCD発車案内行先表示、英語による次駅もしくは到着駅の車内案内放送に使用される。駅ナンバリングのルールが以下の通りであるため欠番が生じている。

  1. 本線系統の起点となる駅をアルファベット(A・B・D・E・F)+01とする。難波・奈良線大阪難波がA01、京都・橿原線京都がB01、名古屋線近鉄名古屋がE01、南大阪線大阪阿部野がF01。例外は大阪線の大阪上本町駅で、難波線大阪難波からの通し番号としてD03。
  2. 支線及び山田・鳥羽・志摩線の駅では、本線の駅ナンバリングの続きとして番号を与え、別のアルファベット(G - P)を使う。田原本線西田原本駅は接続する橿原線田原本と同じ番号である36を使用する。ケーブルカーの駅でも鉄道駅の続きとして番号を与え、Y若しくはZを使う。生駒鋼索線鳥居前は接続する生駒同様17を使用する。
  3. 接続駅(大和西大寺・大和八木・橿原神宮前・伊勢中川の各駅)では番号が大きい方を与える。大和西大寺は26、大和八木は39、橿原神宮前は42(以上は京都・橿原線の番号)、伊勢中川は61(大阪線番号)とする。

この結果、欠番がないのは京都・橿原線のみとなっている。

欠番となっているナンバリング

  • 難波・奈良線
    • A22 - 25:大和西大寺の番号部分を京都線・橿原線に合わせるため。
  • 大阪線
  • -D01 - 02:大阪上本町の番号部分を難波線・奈良線に合わせるため。大阪上本町駅は難波線大阪難波駅からの通し番号となっている。
    • D28 - 38:大和八木駅の番号部分を橿原線に合わせるため。
  • 名古屋線
    • E44 - 60:伊勢中川の番号部分を大阪・山田線に合わせるため。
  • 南大阪線
    • F28 - 41:橿原神宮前の番号部分を橿原線に合わせるため。

在籍車両

日本最大の私鉄であり、路線網が大きいだけあって鉄道車両数が多いものの、JRで番台区分にあたる概念がない。そのため僅かな違いでも形式を分ける。結果として、現役車種だけで100種類近く存在するという凄まじい結果となっている。

  • 一の位までフルに活用して系列を表す(しかも一の位が0でない車種が標準形態であったりする上、ワンマン化改造で形式を変えることも)。その上外見上の差異は、特急形車両はともかく、通勤形車両については車番でしか見分けがつかない。
  • 通勤形車両については4桁の番号としていた。しかし、4桁の空いている番号を場当たり的に割り振ったため、遂に番号が枯渇してしまい、2024年以降の新製車両には(本来の)千の位と百の位の間にアルファベットを挿入、アルファベット含めた5桁番号の付番ルールが採用されている。
  • 特急形車両については原則、各車両とも5桁の番号。こちらも場当り的に割り振っている節があるが、番号枯渇には困らなさそう。
  • 近鉄では車両形式の他に電算記号なるものを導入している。これはJRにおける編成番号のようなもので、旅客車両は他社の乗入車両を含めて原則付番されている。

車体は特急車が普通鋼、通勤車は1986年に導入した3200系以降アルミ合金製となっており、ステンレス車は1979年に導入した3000系4連×1本のみに留まった。同形式が2012年には廃車されて以降、ステンレス車は在籍していない(関西大手私鉄では阪急京阪も同様)。

鉄道史に残る名車を多数輩出しているが、自社保存車両は五位堂検修車庫デボ1形や高安検修センター内の3000・18400系カットモデルとごく少数に限られている。これは、(阪急を除く)関西私鉄が車両の保存に消極的なスタンスを見せていることや車両新造の際、廃車となった車両から機器流用を行うことが多かったことが理由。

「特急形車両は車齢50年まで使用」「通勤形車両は車齢60年まで使用」と近鉄社内で定めている。車両長期使用のため、廃車までに2度のリニューアル工事を実施するのが慣例化している(経年20年目安に1回目、経年35 - 40年目安に2回目)。

出典:『鉄道ピクトリアル』2018年12月臨時増刊号、特集「近畿日本鉄道」より

通勤形等一般車

細かい部分を除けば製造時期による仕様や、車体が拡幅か標準か、投入線区の違い(奈良・京都線、大阪・名古屋線、1067mm軌間の南大阪線系統など)、編成両数などで大分けし、後は台車(ボルスタ付か、ボルスタレスか)・各種機器(補助電源装置は電動発電機か、静止形インバーターか)等の細かい違いで細かく分けて行くこととした。

例えば2連で奈良・京都線に入れるために作った9000系を大阪・名古屋線に入れるために標準幅としたのが1200系、南大阪線に入れるために1,067mmにしたのが6600系といった具合だ。

先述の通り、4桁の余った番号・記号を場当たり的に割り振ったため(例えば、末尾20はシリーズ21車両に良く付けられるが、1020系はシリーズ21ではないし、6020系に至っては南大阪線最古参の車両である)、大別する元の形式がゴチャゴチャなのも混乱を招く遠因である。さらに、これらの違いが世代ごと路線ごとに揃っておらず、不規則な要素が挿入されているのも曲者である。

特に平成は20世紀の間に作られた車両は群を抜いて混沌としており、少しの変更であっても形式変更しているが故、難解。基本形式から系統立てて進化を辿れば容易いが、それでも意味不明の沼と化しているのはいうまでもない。

「千の位」(2024年以降の新製車両は「万の位」)については次の数字が割り当てられている。

  • 1・2:大阪線・名古屋線系統用
  • 3京都市営地下鉄烏丸線直通対応車両
  • 4:忌み番。使用しない
  • 5:特殊な車両。クロスシート車・L/Cカーは元々こちらのカテゴリーであった
  • 6:南大阪線系統用の狭軌車両
  • 7:けいはんな線用で集電方式が第3軌条の車両
  • 8・9:奈良線・京都線系統用

ただし、路線転属の際改番は行わないため、上記の通りとなっていない車両も複数在籍している。

簡単な見分け方

おおざっぱな見分け方として、ごく少数の例外を除くとまずは大きく4種類に分けられる。

  1. タヌキ顔の丸屋根(紅白塗装で屋根が低く、いかにも古そうな車両)
  2. キツネ顔の角屋根(紅白塗装であるが、屋根が高く、前面がスマートで、そこそこ新しそうな車両)
  3. シリーズ21(前面がブラックフェイス、灰色塗装の車両)
  4. 八角形顔・5桁形式(前面がブラックフェイス、紅白塗装の車両)

もう少し踏み込んで見れば次の6種類に分けられる。

  1. タヌキ顔で屋根が低いもの(冷房改造車)
  2. タヌキ顔で屋根が高いもの(新造冷房車)
  3. キツネ顔で扉配置が左右非対称のもの(省エネ車であるが、車体材質が普通鋼で非VVVF制御)
  4. キツネ顔で扉配置が左右対称のもの(車体材質がアルミ合金でVVVF制御)
  5. シリーズ21
  6. 八角形顔・5桁形式

大体はこんな感じ。この区分けを元にして現役通勤形車両形式一覧を全て載せたため、詳細について知りたい方はそのページに飛んで欲しい(もっとも、編集者が少ないので量が少ないのはご勘弁)。

分類通勤形車両一覧
11000系1010系1810系2410系・2430系・2444系・6020系8000系8400系8600系サ8177号車
22000系2610系2800系6200系・8600系・8800系・1810系サ1970形・8000系モ8250形
31200系・1201系・1400系・2050系・6600系8810系・9000系・9200系
41021系(←1020系)・1026系・1031系・1220系・1230系・1233系・1240系・1249系・1252系・1253系・1254系・1259系・1422系・1430系・1435系・1436系・1437系・1440系・1620系・5800系6400系・6407系・6413系・6419系・6422系・6432系・6620系・9200系サ9310形
53220系5820系6820系9020系9820系
68A系
例外1420系3200系5200系・5209系・5211系・7000系・7020系

特急形

  • ここでは引退した車両をはじめ代表的なものを記載。
  • 第3軌条集電のOsakaMetro中央線と直通出来る特急形車両、標準軌・狭軌路線とを直通出来るフリーゲージトレイン特急形車両開発構想もある。

固有名称がある車両

標準軌線

狭軌線

汎用特急車

標準軌線

狭軌線

引退済

10000系(初代「ビスタカー」)

10100系(2代「ビスタカー」)

10400系エースカー

11400系(エースカー)

12000系スナックカー

12200系(スナックカー)

18400系(スナックカー)

団体形

現役

引退済

その他

特徴

分割併合

この会社を語る上で外せないのが分割併合である。近鉄は他の大手私鉄と異なり、輸送量に合わせ、きめ細かく増解結を行う。大阪線では準急高安快急名張青山町奈良線では大和西大寺南大阪線では古市(特急・急行の一部で橿原神宮前)で行う。また、大晦日 - 元旦にかけては、大和八木で大阪・京都発着特急を増解結する。京都を発着する一部特急も大和西大寺で橿原神宮前・奈良発着を増解結していたが、2018年3月17日ダイヤ改正で併結特急が廃止され、橿原神宮前・奈良発着それぞれの単独運行となった。

単独運用する編成を除き、貫通幌を装備しているため編成間での行き来が出来るうえに、電気指令式ブレーキの車両は電磁直通式ブレーキの車両との連結にも対応しているため、編成に関する制約が少ないのも特徴。近鉄の場合は2両固定編成が多く、それを3 - 5本連ねたブツ6ブツ8ブツ10がしばしば発生する。輸送力増強が大分削がれていたり、編成美が乱れているのは気にしてはいけない。

志摩線のような一般車の需要が少ない線でも2両固定編成(大阪線や名古屋線と同じ車両のワンマン対応車)が運用されており、単行車両はない。

種別・通過標識灯

近鉄では各停となる普通電車(Local)以外に速達種別を設定している。

特急は近鉄では最上位種別であり、英語で"Limited express"と表記する。近鉄看板列車となっており、「近鉄特急」と呼ばれる。JRのように運行区間や停車駅の違いによる列車愛称名は設定されていないが、前述の通り車両に対して「アーバンライナー」「ビスタカー」「伊勢志摩ライナー」「さくらライナー」「しまかぜ」「青の交響曲(シンフォニー)」等の愛称を有する。

運賃のみで利用出来る速達電車には以下のものがあり、以下の線区で設定されている。

  • 快急(Rapid express)
    • 難波線・奈良線
    • 大阪線・山田線・鳥羽線
    • 南大阪線・吉野線(春の臨時として)
  • 急行(Express)
    • 難波線・奈良線・京都線・橿原線・天理線
    • 大阪線・名古屋線・鈴鹿線・山田線・鳥羽線
    • 南大阪線・吉野線・長野線・御所線(臨時として)
  • 区間急行(Suburban express)
    • 南大阪線
  • 準急(Semi-express)
    • 難波線・奈良線
    • 大阪線
    • 名古屋線
    • 南大阪線・吉野線・長野線・御所線
  • 区間準急(Suburban semi-express)
    • 難波線・奈良線
    • 大阪線

かつては大阪・山田線のみ快急より停車駅や運行本数が多い区間快急(Suburban rapid express)が設定されていたが、2012年3月20日白紙ダイヤ変更に伴い、廃止された。

正面にある種別・行先表示器と通過標識灯で列車種別を識別できる。かつては前面行先標や側面種別表示灯で種別を示していたが、これらは1990年代までに種別・行先表示器に置換えられた。

通過標識灯は以下のパターンで点灯する。なお、阪神なんば線直通電車は阪神桜川で切替える。

  • 正面から見て両側点灯:特急・快急・回送電車・試運転・団体列車・鮮魚列車(廃止)・配給列車・阪神なんば線内区間準急
  • 正面から見て右側点灯:急行・区間急行・阪神なんば線内準急
  • 正面から見て左側点灯:準急・区間準急(いずれも近鉄線内)
  • 点灯なし:普通電車

縦書きの時刻表

近鉄の駅にある時刻表・ポケット時刻表(2021年改正限りで廃止)には、かつて関西私鉄で沢山見られた縦書きのものが使われていた。

大まかな行先・種別に分かれ、上から順番に時刻を示す。異なる行先については文字・連絡か後の電車に追い抜かれる場合は記号で示す。種別欄については普通電車・区間準急・準急が同じ欄に纏められるのがほとんどであるが、急行の各駅停車区間や南大阪線などでは、急行も普通電車などと同じ欄に纏められる。また区間急行と区間準急については(区)が付け加えられる。

駅によっては特急専用の時刻表もあり、行き先ごとに異なる停車駅を備考欄に示しているほか、分の数字の右にある片仮名で追加の停車駅を示す。

近鉄では様々な系統が同じ路線で運転されることが多いため、行き先の欄を見るだけで目的の電車の発車時刻を探せる反面、分岐駅の手前まで乗る場合はどの電車が早く着くかわからなくなるというデメリットがあった。

2022年4月から南大阪線で試験的に標準型の時刻表掲示を実施。その後同年12月のダイヤ変更から全線で標準型に移行した。

特徴的な呼び方

近鉄では電車の運休のことを「取り消し」と言う。ただし運行情報では「運転取り止め」「運休」と表示している。電報略号において、他社で「ウヤ」は運休のことを示すが、近鉄では宇治山田駅を示すため、運休のことを「取消し」から「トケ」と略す。

大阪統括部管内では途中駅から運行する電車を「当駅仕立」と示す。時刻表では網掛けで表示される他、補足として「○番線から発車」と追加されることもある。名古屋統括部では「当駅仕立」の案内は使われず、時刻表には網掛けで「○番線から発車」と表記される。

2018年3月16日まで異なる行先電車を繋げる多層建て列車が運行され、近鉄では「親子列車」と呼んだ。前述にある大みそかから元旦終夜運行特急の場合、大阪難波 - 賢島間運行電車が 1 -4号車、京都 - 賢島間運行電車がA - D号車となる。似た例が現在も南大阪線にあり、この場合は古市で分離した車両を同駅始電として運行する。

「ダイヤ変更」という言葉を用いる。JR以外の私鉄でダイヤ変更(ダイヤ改正)を頻繁に行うためであり、概ね3月に大小関係なくダイヤ変更を行う。2007 - 2009年までの3月は「ダイヤ改正」という言葉を使い、特に2009年は阪神なんば線開通に合わせた。2012年3月には1994年以来の白紙ダイヤ変更を行い、50億円程度のコストダウンを図った。2014年9月21日にダイヤ変更が行われ、以後1年半 - 2年間隔でダイヤ変更を行う。

案内放送

「奈良行快急」「大阪難波行各停」「富吉行普通電車」の様に行先・種別順に電車を案内する。これは阪神急行や特急等にも使われており、神戸高速線でも使われている。かつては南海や京阪もこの順番でされたが、南海は1994年、京阪は2003年からJRや阪急同様、種別・行先順による案内に移行した。普通は大阪地区では「各停」、名古屋・伊勢志摩地区では「普通電車」とアナウンスする。南大阪線大阪阿部野橋などでは、「4番乗り場に、12:20分発、吉野行急行、吉野行急行が、4両編成で参ります」の様に行先・種別の順に復唱する。

駅放送ではホーム番号を示すため。「○番線」若しくは「○番乗り場」が使われる。2000年代以降に放送が更新された駅では、JR西日本と同じく「○番乗り場」と案内する様になっていることが多い。櫛形ホーム等。線路両側にホームがある駅では降車側ホームに乗り場番組を付けないのが基本であるが、一部の駅ではどちらも乗り場として使えるよう2つの乗り場番号がついている。その場合、扉が開かないか降車側ののりばでは、以下の特殊な放送が流れる。

「○番乗り場から、電車が発車します。危険ですから黄色い線までお下がり下さい」

また、名古屋地区の詳細型導入駅を中心に、通過電車に限り「○番線を電車が通過します」と放送する駅もある。

一部駅では電車到着前、日本語放送後、英語で乗り場・種別・行先・特急券案内を行う。種別ごとに以下の言葉が使われる。

  • 普通電車・各停:a local train
  • 区間準急:a suburban semi-express
  • 準急:a semi-express
  • 区間急行:a suburban express
  • 急行:an express
  • 快急:a rapid express
  • 特急:the limited express

急行にAn、それ以外の一般種別にAが使われるのは、Expressが母音で始まる単語のため。特急だけTheが使われるのは、鉄特急に乗る場合は乗車券の他に特急券が必要であるため、また他にも「アーバンライナー」「伊勢志摩ライナー」「しまかぜ」「さくらライナー」「青の交響曲」が運用に使われる場合があるためとなっている。

2015年12月から全線特急電車、翌2016年3月から奈良線・京都線・橿原線・天理線で運行する一般電車で日本語・英語・中国語・韓国語による自動案内放送が行われている。これはPanasonicの7型タブレット「TOUGHPAD FZ-B2」を直接放送装置に繋げ、車掌操作により行うもので、種別・行先・次停車駅・乗換案内・観光情報等のスポット放送を日本語・英語で行い、必要な場合は中国語、韓国語でも行う。2017年3月には他線区一般型車両にも導入され、後に京都市交通局10系・阪神1000・9000系電車でも改造工事が施され、タブレットによる自動案内放送が流れる様になった。この取組みにより、近鉄は第15回日本鉄道賞において、日本鉄道賞表彰選考会による特別賞「安心インバウンド対応」特別賞を受賞した。2017年からは奈良線快急電車内で大和西大寺で前の車両若しくは阪神なんば線尼崎で後ろの車両を分離する旨の放送が日本語・英語で流れる様になった。

かつては河内長野や伊賀神戸を除き、旧国名を冠する駅を案内する際に旧国名を省略して案内していた。2004年以降、旧国名を冠する様になり、繰返す場合は省略して案内する。河内長野や伊賀神戸を案内する際は正式な駅名をそのまま繰返す。また、大阪阿部野橋についても2004年からは「大阪阿部野橋、阿部野橋」と案内する。2009年3月20日からは同日駅名が改称された大阪難波や大阪上本町駅についても、繰返す場合は「大阪」を省略する。「近鉄」を冠する駅を案内する際は全ての場合において「近鉄」を省略する(大阪難波が近鉄難波であった時代も単に「間もなく難波、難波です」と案内された)。英語・中国語・韓国語による放送では1回だけ駅名を放送するが、この場合でも"Yamato-Saidaiji"の様に旧国名を冠し、"Kintetsu"を省略する。行先案内に関してもこちらに従い、「奈良行快急」"A rapid express bound for Nara"等と示す。

終着駅に到着する際は、車掌は「終点」「終着」を使わず、「この電車はこの駅までです」と案内する。自動放送も同様。近年では大阪阿部野橋や京都等の終端駅に着く直前には「大阪阿部野橋、阿部野橋、終点です」若しくは「まもなく、京都、京都、終点です」と案内する(車掌による放送及び日本語の車内自動放送)。英語の車内自動放送でも"The next stop is the final stop for this train."若しくは"This is the final stop for this train."と案内する他、終端駅の場合は"This is the final stop, Osaka Abenobashi: station number F1."若しくは"We will soon arrive at the final stop, Kyoto: station number B1."と案内する。

方面表記

基本的に旧国名と「大阪」を冠する駅はそのまま表記し、「近鉄」を冠する駅はそれを省略して表記するが、地域により地域名や都市名で表記される場合がある。

大阪地区の駅では「伊勢志摩方面」の表記が見られる。これは伊勢市・宇治山田・五十鈴川・鳥羽、志摩磯部・鵜方・賢島等、伊勢志摩地区にある駅を1つに纏めることで観光客を呼込むため。

名古屋地区や伊勢志摩地区の駅では「大阪・神戸方面」の表記が見られる。これは大阪難波・大阪上本町がそれぞれ、近鉄難波・上本町であった時代、単に「難波」「上本町」と表記するとどこの都市にあるのか分からなくなるため、纏めて「大阪」と表記、現在に至る。2009年3月20日に阪神なんば線が開通し、奈良線快急が阪神本線三宮(現・神戸三宮)に直通する様になったため、三宮がある都市を示す意味で「神戸」表記が追加された。実際に乗り通す者はどれだけいるのやら…。

戦時統合

現社名である「近畿日本鉄道」の名はこの会社の前身である関西急行鉄道と南海の合併によって誕生したものである。この状態は昭和22年旧南海側が和歌山県では戦時統合が不完全な形となり、独立して残存していた高野山電鉄を受け皿として南海電鉄に名称を改、、分離した際、分離されなかった旧関急側が会社及び名称を継承している。

 

この戦時統合による合併により和歌山県香川県にはこの2つの会社の資本関係がぐちゃぐちゃな交通事業者がいくつか存在する。

まぁ要するに

近鉄とはつまり、鉄道会社という名のカオスである。名古屋市民はこれとあの某迷鉄を抱えてもう訳が分からないこととなっている。近鉄名古屋・名鉄名古屋の乗換口は日本の板門店と呼ばれる。

放送の声優

車内放送

駅構内放送のコンビ

  1. 『ひのとり』就役以来、もとむらみちこ氏は続投のまま男声のみ樹リューリ氏に更新される例が相次いでいる。
  2. 大阪阿部野橋駅藤井寺駅だけは旧上本町営業局管内担当の津田英治であった。

日本語アナウンスを担当する有田洋之は、声優プロダクション・株式会社タカラの代表取締役を務める。

英語アナウンスを担当するダビーナ・ロビンソン(Davina Robinson)は、大阪を中心に活動するアメリカ・フィラデルフィア州出身のブルース・ロック・ソウル歌手であり、KINCHOのCMやテレビ番組にも出演している。

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