概要
旧ジオン軍で開発された試作型モビルスーツイフリートの改修機。「シュナイド」とはドイツ語で「気骨」や「勇気」を 意味するが、当機のそれは旧ジオン公国軍の特別競合部隊「マルコシアス」の総隊長ダグ・シュナイドの名から取られており、当機は彼の愛機であったイフリート5番機を改修した機体である。
ベース機となったイフリートの生産数はわずか8機と少なかったが、本機は10年以上の間様々なパイロットの手によって様々な改修が加えられながら現存し続けた希少な機体であり、「イフリート・シュナイド」と呼ばれる仕様になったのは宇宙世紀0096年時になってからである。
度重なる改良の結果各種性能が向上しており、特に出力は原型機の1072Kwから2倍近く向上し、連邦軍の最新鋭機であるリゼルに匹敵する(ただし、これは単純なカタログスペック上の出力であり、パワーウェイトレシオでは現行機に対して劣る)。
武装面に関しては、イフリートの標準装備であるショットガンの他、機体各部(ベースとなったイフリートではスパイクを装着していた部位)に投擲武器としても使用可能な短剣「ヒート・ダート」をマウントしており、特に至近距離での戦闘に特化している。
また、ジャイアント・バズを装備して砲撃戦を行う事も可能。
『「袖付き」の機付長は詩詠う』では原型機では開発時期から使用不可だったと思われるビームサーベルも使用している。
0096年時のパイロットは一年戦争時に連邦軍特務部隊「スレイヴ・レイス」に所属していたモビルスーツパイロット、フレッド・リーバー。
ヒート・ダートの装備についても彼の得意とした近接戦闘を考慮してのものと思われる(フレッドは一年戦争当時ガンダム・ピクシーに搭乗していた経緯を持つ)。
漫画版『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』では一年戦争直後に彼を知るメカニックに調整してもらった際にイフリートに追加された武装に本機に似たヒート・ダートが確認できるためこれを引き継いできた可能性が高い。
劇中での活躍
一年戦争当時、宇宙へと上がるHLVを護衛する為に地上へ残ったシュナイドと共に連邦の部隊を足止めする為の殿を務め、その際にフレッドにこの機体は託された。
その後、フレッドは一度機体を手放す事になるが、紆余曲折を経て再び彼の手元へ戻って来る。
その再会に運命的なものを感じたフレッドは当機にかつての乗り手の名である「シュナイド」の名を与えた。
フレッドの手元へ戻ってからは東南アジアを拠点に連邦やアナハイムの商船を相手にした海賊行為に用いられていたが、袖付きと与するカークス隊の要請に応じてトリントン基地襲撃に参加。
一年戦争時のモビルスーツの改修機でありながら、グリプス戦役以降に開発されたジムⅡ・セミストライカーを圧倒するスピードを発揮しこれを撃墜するなど、高い戦闘能力を発揮した。
その後、カークスの援護を受けてトリントン基地から脱出。
モビルスーツを保有する海賊組織に合流しかつて共闘したカークス隊の基地を攻撃するが、実際にはカークス隊側の間者として海賊側に潜り込んでカークス隊側に海賊襲撃の情報を流し、更に海賊側の母艦であるガウ攻撃空母の主砲による砲撃を制止して妨害したり、ガウがバイアラン・カスタムによって撃墜された際には海賊側の指揮官機であるザクⅢと側近であるグフフライトタイプを撃墜するに至っている。
その後の動向は、パイロットのフレッド共々不明である。
機体データ
形式番号 | MS-08TX/S |
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全高 | 17.2m |
本体重量 | 52.8t |
全備重量 | 84.4t |
出力 | 2202Kw |
装甲 | 超硬スチール合金+一部ガンダリウム合金 |
武装 | ヒート・ダート ショットガン ジャイアント・バズ |
ガンプラ
1/100スケールでRE/100ブランドとしてプレミアムバンダイ限定で販売。後にHGUCとして一般販売となっている。
余談
ゲーム初出の機体であるイフリートは何度かアニメ作品への登場が検討された事があるが、このイフリート・シュナイドが初めてその悲願を果たす事となった。
また、トリントン基地襲撃時のジムⅡ・セミストライカーとの戦闘では、ガンダムシリーズでも数少ない「実体近接武器の破損」(セミストライカーの左腕シールドに刺さったヒートダガーがぽっきり折れている)が描かれている。
ちなみにこの時に見せたジムⅡSSのツイン・ビームスピアを躱す際の動きがリーチの長い槍の横振りを伏せるでも跳ぶでもなく、ただの横移動ですり抜けるという、もはや“瞬間移動”にしか見えないものだったことがUC視聴者の間では語り草の一つになっている。