概要
宇宙世紀0096年時点で現存するネオ・ジオン軍残党のうち最も過激な武装集団。
第二次ネオ・ジオン抗争の後、廃墟同然の〝資源小惑星パラオ〟で朽ち果てようとしていた新生ネオ・ジオン軍の残党をフル・フロンタル大佐がまとめ上げ、そこへ旧ネオ・ジオン(ハマーン・カーン体制時代の戦力)の残党がミネバ・ラオ・ザビ姫殿下を指導者とする事を条件に合流し、更に既存のジオン軍残党を取り込む形で成り立っている。
ラプラス事変において、ダカールの連邦政府中央議事堂破壊を主導するなど、それなりに大きな騒動を巻き起こしたが、最終的には実戦力のほぼ全てを損壊させ、指導者層(フル・フロンタル及びミネバ・ラオ・ザビ)も断裂状態となったため、ほぼ完全壊滅している。
背後には現ジオン共和国の防衛大臣モナハン・バハロがパトロンとして付いており、ジオンはジオンでも実質的にはザビともダイクンとも微妙に異なる彼自身の理想を実現するための組織という側面も強い。
組織形態
軍事組織と呼べる程度の規模を有するとされるが、人員はフロンタルに心酔した若者に、新生ネオ・ジオンの残党軍を母体に、ジオン残党や旧ネオ・ジオン残党、更にパラオ内の志願兵やジオン共和国や各地のシンパが中心等、所詮「寄せ集め」で、その懐事情は厳しく、戦力は最新型のモビルスーツと一年戦争末期から第二次ネオ・ジオン戦争期までの旧式機が混在し、大半は改修やリペイントを施された上で同時に運用されているのが実情である(このため、宇宙世紀0083年にデラーズ・フリートにおいて少数生産された簡易モビルスーツであるドラッツェや、公国時代の骨董品といえるゲルググやギガンさえも運用されている。また、アクシズで開発されたドライセンやガザC、ティターンズから接収したアイザックなどといったハマーン率いる旧ネオ・ジオン時代から運用しているMSも多数確認されている。他にもバンデシネ版の前日端では同じくティターンズ製MSのマラサイも運用していた)。
加えて、最新鋭機ギラ・ズールであってもOSやコクピットは旧来の物が使いまわされており、シャアの反乱時にアナハイム・エレクトロニクス社に発注して以来追加生産の予定がないパーツを用いている機体も多く、主戦力としている機体の修理さえ満足に行えないほど困窮している。
その度合いは、宇宙世紀0096年5月の“最終局面”であるメガラニカ周辺宙域戦ですら、(拠点であるパラオの軍港を奇襲された際、ほとんどの艦艇が出港もままならずに岩盤に押し潰される等で撃沈又は大破、残った艦も閉じ込められたとはいえ)エンドラ級2隻とムサカ級2隻を投入するのが限度※という体たらくであった(同作戦において旗艦レウルーラは、撤退してきた前線部隊のためムサカ級のうち1隻と後方に控えていた)。
規模としても軍隊とは言い難く、防衛の義務を負う領土や人民を持たないため、当然ながら正規軍ではなくテロリストにカテゴライズされる。
しかしながら、『袖付き』所属としてはあくまでも「反体制軍」を自認する(それこそまさに、テロリストの常套文句なのだが)。
とは言え、事実上の首魁であるフロンタル大佐からして、ネェル・アーガマ隊との交渉において、自分たちが投降したとしても南極条約に準じる「捕虜」ではなく「犯罪者」として扱われる事に言及している。
しかし一方で、ジオン共和国から増援部隊(演習部隊)を送られる等の支援を受けていたり、さらにビスト財団やAE社との繋がりから彼らが開発したシナンジュ、クシャトリヤ、そしてネオ・ジオングといった最新鋭の極めて高性能かつ高次元の機体を提供してもらっている他、地球に残留した旧ジオン公国系残党への支援活動も行っており、彼らを含めた総合的な戦力はテロリストの範疇を越えたものとなっている(ただし、地球残留戦力には事実上の特攻を命じる事になるため、“総合的な戦力”は一度限りのものでしかない)。
※バンデシネ版ではムサイ改級も戦力として追加されている。(焼け石に水とはいえ)
小説版ではパラオ付近の暗礁宙域に戦力の9割を秘匿していたおかげで、最終決戦ではムサカ級9隻、偽装貨物船6隻を動員しており、モビルスーツもギラ・ズールも60機(うち親衛隊仕様11機)を含む72機を投入している。
エングレービング
『袖付き』の通称は、当該組織が保有するモビルスーツの前腕部に施されたエングレービング(装飾)を袖に見立てての、連邦軍慣例のニック・ネーム……と言うよりも蔑称である。
『袖付き』側としては、この所属機のエングレービングは、組織の結束力・求心力を高める意図で施している。その他にも、(貴重な)新鋭量産機であるギラ・ズールのスタイリングなど、組織の求心力を維持する為の工夫を至る所で確認できる。このため構成員の多くは『袖付き』の呼称を、連邦軍から付けられた蔑称と理解・嫌っており、自分達がその名で呼ばれる事を良しとしていない。
とは言え、シャアの反乱以降における反連邦政府最大勢力であるのは事実のため、地球残留部隊や、影のスポンサーであるジオン共和国シンパの若年層からは、憧れを伴って『袖付き』の名を用いる者も多い。
主要な拠点
パラオ
サイド6に所属する民間の鉱物資源衛星。全長は三十数km、最大直径15km。
三角錐状の岩塊「カリクス」と3つの小惑星「カローラ」から成り、それぞれが連結シャフトで繋がれ固定されている。カリクスには円筒状の居住ブロックが二つ埋め込まれており、コロニー同様、回転による遠心重力を発生させる。
鉱山業で住民の生計を立てて来ていたが、宇宙世紀0096年時点ではフル・フロンタル達の重要拠点として機能している(連邦軍もその事実を掴んでいるが、同年4月にユニコーンガンダムが強奪されるまでは半ば黙認していた)。
居住ブロックには、ギルボア・サントの妻子をはじめとした多くのジオン系住民が暮らしており、また袖付きの拠点として多くのジオン、ネオ・ジオン系MSが配備されている。
保有戦力
モビルスーツ
- シナンジュ
- シナンジュ・スタイン(内の1機はシナンジュに改装)
- クシャトリヤ
- ギラ・ズール
- クラーケ・ズール
- ローゼン・ズール
- ゼー・ズール
- ドライセン
- ドーベン・ウルフ
- ガザC
- ガザD
- ガ・ゾウム
- ザクⅢ
- アイザック
- ギガン
- ギラ・ドーガ
- ドラッツェ
- バウ
- リバウ
- ヤクト・ドーガ
- ガルスJ
- ガルスK
- シュツルム・ガルス
- ズサ
- ゲルググ
- リゲルグ
- 作業用ザク
- マラサイ
- アッシマー※
モビルアーマー
艦艇
※但しプロパガンダ番組の映像で登場したため、実際に保有しているかは不明。
関連項目
ネオ・ジオン 新生ネオ・ジオン ジオン残党軍 ジオン共和国 風の会
フロンタル死後の地球圏のジオン残党は以後10年をかけてライン・ドラグンによって束ね上げられ、この組織になった。