CV:伊藤美紀(テレビ版『機動戦士Zガンダム』・『機動戦士ガンダムΖΖ』) / 平本亜夢(劇場版『機動戦士Zガンダム』) / 藤村歩(『機動戦士ガンダムUC』・『機動戦士ガンダムNT』) / 宮下早紀(『機動戦士MOONガンダム』)
人物像
ザビ家の生き残りであり、一年戦争終結後では唯一の正統な後継者である。通称は「ミネバ・ザビ」。
整った顔立ちと立ち振る舞いからも気品を感じさせる少女。
その外観とは対照的に父は歴代ガンダムシリーズ屈指の武闘派巨漢として名高いドズル・ザビ中将である。
その容姿に父親の面影は一切なく母親であるゼナ・ザビに似るが、生粋の武人であった父親譲りの気質は時に訓練された兵すらも圧倒するカリスマ性を放った。
またザビ家唯一のニュータイプでもある。
髪型に関しては、叔父のガルマに似ている(特に『Ζ』・『ΖΖ』)。また、ガルマがザビ家5きょうだいの中で母・ナルス(未登場)の面影を強く残していると言われていることから、祖母の遺伝も出ていると言える。
幼い頃はザビ家最後の血統という重責のため、その立ち位置を利用され続けた。その一方で、歳相応の少女としての一面も持ち合わせる。
身の安全のため一時的に行方不明となるも、ラプラス事変を切っ掛けに、再び表舞台へと、凛々しく成長したその姿を晒す事となる。
来歴
一年戦争(機動戦士ガンダム)
一年戦争当時はまだ生まれたばかりの赤ん坊であり、父の手で母ゼナと共に陥落するソロモンから脱出させられ、ソロモンに救援として赴いていたマ・クベ艦隊に収容される。ドズルとの脱出直前の会話ではグラナダに向かったものとみられた。
一年戦争終盤にジオンの敗北が決定的となった際にアクシズ方面へ脱出し、シャア・アズナブルによって保護された。そこでザビ家最後の血統として兵士達の求心のシンボルとされるも、摂政のハマーン・カーンによってスペースノイドの頂点に立つ傀儡的君主として育てられた。
グリプス戦役~第一次ネオジオン抗争・第二次ネオジオン抗争(機動戦士Ζガンダム~機動戦士ガンダムΖΖ)
ザビ家の正統な後継者としてアクシズの傀儡君主として登場。ラミアという侍女が側に付いている。君主らしく堂々とした佇まいをしているが、8歳の幼子としてはかなり無理をしている。
グリプス戦役に於いてアクシズが地球圏へ帰還した際に、交渉に来たエウーゴのメンバーと対面。クワトロ・バジーナ大尉をシャアと見破り、当初は純粋に再会を喜ぶミネバだったが、ハマーンの顔色を伺うと突然アクシズ繁栄を高々と語り始め、シャアに対しては「偵察ご苦労であった」と無感情になってしまう。この様子を見たシャアは「偏見の塊」に成長させられたと激昂。この為にアクシズ・エゥーゴ間の交渉は物別れに終わっている。
しかしこの際、ミネバ自身はシャアを「自分を一番わかってくれるような気がする」と慕っていた。ハマーンに対しても世話をしてくれたことに感謝しており、ロザミアがハマーンに「この子はアンタの所には戻りたくない」と言った時には否定している。また、ハマーンの目の届かない所では歳相応の感情を表している。この時服装もあってかシンタとクムに男だと勘違いされていた。
第一次ネオ・ジオン抗争時に於いても、アクシズから改称したネオ・ジオンの君主として奉られたものの、同期間において表舞台に姿を見せていたのは影武者であり、本人はシャアの手によって連れだされ、スウィート・ウォーターに匿われていた。
その後、シャアと分かれた彼女はスベロア・ジンネマンと行動を共にし、ガランシェールで逃亡生活を送っていたとされている。
なお、ハマーンと分かれた後に非戦主義として育った為、結果として武力でジオンの再興を目指したハマーンの思想とは袂を分かつ形となった。
第一次と第二次のネオジオン抗争の間を描いた漫画「MSV-R ジョニー・ライデンの帰還」ではミネバは直接登場しないが
ハマーンがミネバの影武者を使っていたことは連邦上層部によって秘匿され、一般的には本物のミネバが第一次抗争終結後に連邦によって保護されていたことになっていた。
なお、ZZでミネバの影武者を演じた少女(本名などは不明)の第一次抗争終了後については公式では明らかになっておらず、影武者が本物のミネバとして連邦に保護されていたのかは不明。
ラプラス事変(機動戦士ガンダムUC)
ネオ・ジオン残党軍『袖付き』ザビ派の筆頭として、既に多数の派閥で形成されている同軍の、最大派閥の一角を纏めあげるためのシンボルとして活動していた。軍組織内では「姫」、一般世間からは「殿下」の敬称が用いられている事から、その立場(ジオン軍残党という組織)の不安定さが垣間見られる。
しかし自らに残った影響力を鑑みて、ビスト財団が秘匿して来た『ラプラスの箱』によって引き起こされるであろう戦争を食い止めるべく、たった一人で『箱』の取引が行われるサイド4のスペースコロニー・インダストリアル7へと訪れる。
その場所においてバナージ・リンクスと運命的な出会いを果たし、様々な人の協力を得て『箱』の謎に迫った。
バナージとの出会いでは身分を偽り、オードリー・バーンの偽名を使って正体を隠すが、程なくして正体がダグザ・マックールにより露見させられた事で、連邦軍により人質として扱われる。その後彼女を慕うリディ・マーセナスの手によって地球へ逃げ延び、リディの父である連邦上院議員ローナン・マーセナスへ協力を乞うべく彼の下へ訪れる。
しかし、ローナンからは期待していた助力を得られないばかりか、政治的な駒としてマーセナス邸に軟禁される。その間、連邦の貴族社会においてアースノイドが抱くスペースノイドへの偏見を目の当たりにし、次第に自身の在り方を見失ってゆく。
失望の念を抱いたミネバは屋敷を飛び出し逃亡。その際に訪れたダイナーの老主人との会話を切っ掛けに弱腰になっていた自分の行いを悔い改め、課せられた運命と対峙する覚悟を決める。その直後にローナンの手の者によって身柄を拘束され、マーサ・ビスト・カーバインの下へと引き渡されるが、彼女を救出すべく行動したジンネマンやバナージ達によって救出され、再び宇宙へと上がる。
そして、バナージの乗るユニコーンガンダムが示したラプラスプログラムの最終座標点であるコロニービルダー「メガラニカ」へと向かうべくネェル・アーガマ隊、ガランシェール隊と共に待ち受ける袖付き艦隊を突破し、ついにメガラニカへと辿り着く。そこに待ち受けていたサイアム・ビストの口から「箱」の正体を伝え聞き、そこに込められた“祈り”を全世界の放送をジャックした電波に乗せ、『箱』の真実を公表するに至った。
この「ラプラス宣言」そのものの影響は非常に小さいものであり、結果的にスペースノイドの大多数が既にジオニズムとそれによって引き起こされた戦争から興味を失っていることが世に示され、宇宙世紀0100年のジオン共和国の自治権放棄を滞りなく行わせたと推察される。
つまり最終的には、祖父の政治的野心(あるいはジオン・ダイクンへの嫉妬)から始まったザビ家の罪に対して、禊を成したと言えるのかもしれない。
ラプラス事変以降(機動戦士ガンダムNT)
『袖付き』が事実上壊滅した事に加え、政治的に“黒に近いグレー”の立場にあるため、表向きには木星圏に亡命したと報道されている。
袖付きから離脱したことで立ち位置はあやふやなものだったが、本人たちの認識はともかく、世間的には「ネオ・ジオン残党の一派」ということで相違ないと思われる。
しかしながら、実際にはサイド3…ジオン共和国の協力の下、同サイドのヘリウム3備蓄基地に協力者共々身を隠している。
ザビ家の末裔ということでジオン共和国内部にも協力する者がいるのか、袖付きに偽装した共和国軍が秘密裏に不死鳥狩り作戦に介入する情報も手に入れ、直属のガランシェール隊を派遣している。
とある筋からはその存在を感づかれる事もあったようだが、(アナハイム・エレクトロニクスのアルベルト・ビストが所在を把握しているなど、民間企業の上流層ではある程度出回った情報である節がある)ミネバ本人の無為な争いを好まない穏やかな気質や、ラプラス事変で最終的に連邦軍のネェル・アーガマへ協力した姿勢もあり、半ばその存在を黙認された状態のようである。(MSなどの戦力を保有していることが把握されているかは不明)
地球連邦とサイコフレーム封印の協定を結ぶなど、スペースノイドの代表組織たるジオンの後継ながら、アースノイドに歩み寄って歩調を合わせる姿勢も見せる。過激な軍事行動を繰り返してきたジオン系組織の首魁としては、連邦にとって「とてつもなく話の分かる」部類であり、今後敵対する可能性も低いと思われる。
とはいえ、解体したはずのユニコーンガンダムを再び組み上げた万全の状態で保管しているなど、未来に起こるであろう不安に対して、周囲を出し抜くように独自の思惑も張り巡らせている。
乗艦は、航宙戦艦としての機能を稼働させた「メガラニカ」。宇宙世紀0097年時点では、ネオ・ジオングの(メガラニカ内部からの)砲撃によって受けた多大な被害も、一定の修復が完了しているようである。
余談
上記の通り、スペースノイドの民権運動において極めて重要な位置に立つキャラクターであるが、『機動戦士ガンダムΖΖ』放映終了時(1987年)には「影武者を残して行方不明」という、(わざと)ぼかされた結末となり、非常に“使いやすい”状態で置かれていた。
このため、その後の1990年~2000年代におけるガンダムコンテンツの拡大において、様々な作家がifストーリーにミネバを用いて、オリジナルストーリーを展開させていった(『逆襲のギガンティス』、『機動戦士ガンダムムーンクライシス』などがファンの間では有名)。
これらif作品については、ガンダムUC映像化によりサンライズ公式年表にミネバのメガラニカ演説が追加されたことで、現在では作品そのものが非公式となっている。
ただ、上記2作品とも最後にミネバは「ザビ家の宿命から解放され、普通の女性として生きる」道を選んでいるのに対し、皮肉なことに公式のミネバはNT終了時点ではザビ家の人間としてふるまい続けている。
また、初期設定では娘ではなく「ドスル・ザビの息子」となっていた。(誤字ではなくドスルと書かれている)
機動戦士ムーンガンダム
連載中の本作にもミネバ・ラオ・ザビは登場する。
但し連載中&作中の描写から当人であるとは断定できないため、来歴の外に出す。
後年のオードリーとは異なり、気弱な年相応の少女である。
ただ、暗礁宙域からユッタ・カーシムの嘆きを感じるなどNTの素養を見せている。
内通者により連邦軍の襲撃を受け、そこで宇宙漂流中のユッタと出会い、成り行きでムーン・ムーンに入港する。
スーパーロボット大戦X-Ω
ハマーンと行動を共にしている道中で、ミンキーモモ一行と出くわす。その際、モモの変身が解けるのを目の当たりにしたことや、モモたちが別世界の住人であること、魔法の存在などを驚きつつも受け入れている。その上でモモが「自分たちの素性をハマーンにも言ったほうがいいか」と問われた際には「言っても信じない上に、最悪の場合ややこしくなる」と口止めしている(後者に関しては、おそらくハマーンがモモを「ニュータイプか強化人間の類」と認識し、悪用されることを恐れたためだと思われる)。また、モモから「自身の夢」を問われた際には「ザビ家の復興」と答えており、その夢について詳しく聞かれそうになったところを、ハマーンに(「これ以上は詮索するな」の意味を込めて)遮られる。モモとの別れ際に夢のことを話したことで笑顔を取り戻した。
※邪悪なミンキーモモの項目も参照。
関連イラスト
関連タグ
ドズル・ザビ:父
ゼナ・ザビ:母
デギン・ソド・ザビ:父方の祖父
ナルス・ザビ:父方の祖母(誕生前に没)
ギレン・ザビ:父方の伯父
サスロ・ザビ:父方の伯父(誕生前に没)
キシリア・ザビ:父方の叔母(伯母)
ガルマ・ザビ:父方の叔父
逆襲のギガンティス 機動戦士ガンダムムーンクライシス (※UC設定が公式になる前の作品)