第1作は「空モモ」、第2作は「海モモ」と呼ばれてファンから区別されており、pixivのタグもこれに準じている。
概要
後に『ポケットモンスター(無印)』(以下、アニポケ)の脚本・構成を担当する脚本家、故・首藤剛志が原案を務め、また同じくアニポケ総監督の湯山邦彦が同様に総監督を務めた、両名にとってアニポケに並び称される代表作。
シリーズを通して、夢の国からやってきた12歳の王女ミンキーモモが地上に夢と希望を取り戻すため、職業プロフェッショナルの技能を身につけた18歳の大人に変身する魔法を駆使し活躍する。
王道的な筋立てでありながら、従来の魔法少女のイメージを鮮やかに覆したスラップスティックな作風とキャラクターの魅力、そして魔女っ子ものらしかぬ重いテーマ性を持ったストーリーが大きな反響を呼んだ。
第1作では、空中に浮かぶ夢と魔法の国フェナリナーサから地球にやってきた王女ミンキーモモの物語(通称『空モモ』)が描かれ、1991年に放映された第2作では、フェナリナーサのモモの名前を継いだ海の底の夢の国マリンナーサのミンキーモモの物語(通称『海モモ』)が描かれた。
第1作の10年後が第2作目であるため世界観は双方でつながっており、フェナリナーサのモモとマリンナーサのモモが顔を合わせるというエピソードも描かれた。
第1作では打ち切り決定のおかげで衝撃の結末を迎え物議を醸した前期最終回(46話。但し、その46話の製作中に放送延長が決定された)、悲痛な雰囲気のまま物悲しく幕を閉じる第2作の最終回など、見た目のファンタジー性とは裏腹に、内包されたテーマはとことん現実的で果てしなく重い。夢を得ること、持ち続けることの難しさ、夢と希望の大切さを描いた不朽の名作である。
制作関係や放送局
共同企画(広告代理店)は読売広告社が担当。そのため「よみうり(読売広告社)魔法少女シリーズ」としては、第1作(空モモ)と第7作(海モモ)にあたる(「よみうり魔法少女シリーズ」の2作目から5作目は「ぴえろ魔法少女シリーズ」の1作目から4作目、第6作はスイートミントにあたる)。
1作目キー局はテレビ東京、いわゆるテレ東アニメにあたるが、読売広告社の手腕とコネクションにより独立局と地方局(主に日テレ系・フジ系・TBS系)を巻き込んで北海道から鹿児島までのほぼ全国域での放送を可能にした。
2作目キー局は日本テレビ。NTV系一部地域で放送された。(当時NTVとYTVはNTV夕方アニメのYTVの視聴者無視の編成をした為、日テレの怒りを買い対立していた為、一部エピソードのみしか供給されなかった。)
主人公の名前が『モモ』なのは犬、猿、雉(鳥)のお供を連れた桃太郎に由来する。
当初は『モモ』が正式名称だったが商標の関係で使えなくなったため、本作のプロデューサーである読売広告社の大野実氏の発案により、『ミルクのようなふんわりとしたイメージで』ということで、頭に『ミンキー』をつけて『ミンキーモモ』となった。因みに海外輸出版の題名は「Gigi」(ジジまたはギギ)である。
本作への評価
幼年層からオタク層まで幅広い視聴者層の人気を集めた作品。第1作の成功と話題性が、翌年以降の読売広告社にぴえろ魔法少女シリーズを作らせた。
ただし、当時オタクやマニア層の間で取り沙汰されていた「ミンキーモモはロリコン向けアニメとして作られた」という言説に対しては、首藤・湯山のみならず、当時の主演である小山ともども「好きになってくれるのは仕方ないが、オタクやマニアのための作品のように思われるのは迷惑」(ミンキーモモはあくまでも女の子のための作品)であるとして、本来の想定された視聴者層が置いてきぼりにされかねないことも含め、否定的な見解をしめしている。
特に首藤氏は後年のウェブコラムにおける本作についての言及箇所においても「どう思うかは受け取り手の自由だが、作った側としてはかなり不愉快である」と述べて明確な不快感を示している。
そういった過去があるため、興味本位で「ミンキーモモはロリコン用」などと評するのは避けるよう注意して頂きたい。
続編やコンテンツ利用の可能性と留意点
本作は首藤が葦プロの企画室の一員であった時の作品であるため、原作権は首藤に帰属せず葦プロに置かれている。(いわゆる職務著作という概念である)
その事もあり首藤氏没後も葦プロの意向(許可)さえ整っていれば動かせる作品で、ゆえにコラボの敷居も(それなりに)低いが、一方で首藤の望む扱われ方から逸脱された作品の使用例も見られる事がある。
ミンキーモモ3部作のトリを飾る3つ目の「ミンキーモモ」の企画が水面下で進行中とのことであったが、首藤剛志氏が2010年10月29日にくも膜下出血により急逝。この事により首藤の作風を正しく落とし込んだ「オリジン」としての「ミンキーモモ」は制作の見込みが断たれ、シリーズは事実上未完となった。(首藤の想いを汲み取って「ミンキーモモ」を作りえる可能性のある人と、その旗下で首藤の作風を理解して制作できる会社は、かろうじてまだ存在しているが……)
もっとも上述のように「ミンキーモモ」の原作権は葦プロにあるため、現状ペンティングこそされているものの「葦プロのミンキーモモ」としての制作企画自体は残されている。
ただし、同時に「オールドファンや大きいお友達のため「だけ」の『ミンキーモモ』の制作(コンテンツ展開)」自体は原案者・首藤氏が生前より最も口を酸っぱくして難色を示していた事のひとつである。
実際、首藤氏は生前、ミンキーモモの続編に関してオタク文化の広がりや影響を鑑みて、続編においてはそれらに触れざるを得ぬことは「避け得ない事」としつつも、万が一「ミンキーモモ」シリーズでそうした話題に触れる際には絶対にそれらを肯定的には描かない事を公言していた。
これは同じく首藤氏の手によるポケモンの没プロットでも見られるように首藤氏の作家性を語るにおいては乖離しえぬ根幹をなす概念のひとつである。ここを無視して「ミンキーモモ」をコンテンツとして動かす事は、すなわち「ミンキーモモ」という作品そのものを否定し壊してしまう事に他ならないのではないかと危惧されている。
しかし一方で『葦プロやテレビ局メディア会社などスポンサー陣、あるいは一部のファンが作りたがり見たがっているのは、首藤が難を示した「そういう」モモだろう』と指摘されており、この部分が「鏡モモ」での騒動にも繋がっている。
ゆえに、そうした「原案者の首藤が望まなかったモモを、モモと言っていいのか」という部分は現在でもファンの間で意見や評価が割れている。
何にせよミンキーモモに限らず、近年のオールドコンテンツの利用に見られるような「たまたまウケた悪ふざけの要素だけを(特にそれこそが作品の特徴と勘違いして)抜き出し作品として活かす」ようなやり方などは、本作コンテンツに対して泉下の首藤氏の望んだことではない事だけは間違いなく、ファンとしては(あるいはファンだろうと制作だろうと作品に関わる全ての者が)その部分にはきちんと留意し、きちんとわきまえて作品に臨む必要がある。
シリーズ一覧
アニメ
1982年 | 魔法のプリンセス ミンキーモモ (空モモ) | テレビアニメ(全63話) |
1985年 | 魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢の中の輪舞 | OVA |
1991年 | 魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて (海モモ) | テレビアニメ(全62話+未放映3話) |
1993年 | MINKY MOMO IN 夢にかける橋 | OVA |
1994年 | MINKY MOMO IN 旅だちの駅 | OVA |
その他
2004年 | みらくるドリーム・ミンキーモモ(陸モモ) | 製作予定だったアニメを原作とした漫画 |
2010年 | ミンキーモモ・鏡の国のプリンセス(鏡モモ) | 原案者がノータッチで、広井王子氏が脚本を書いたミュージカルで現時点での最終作。 |
関連イラスト
関連タグ
空モモラストショック:物議を醸した空モモ最終回の事。
ハマーン・カーン:いわゆる外の人ネタ。ゆえの風評被害も。失礼ね!(怒)
則巻アラレ:こちらは中の人ネタ。むしろ「こっちの方がそっくりさんどぉえーす!!」とも。
愛天使伝説ウェディングピーチ:同監督作品。原作者と制作会社は異なるが同監督のためかキャラプロンプトが些少ながら継承されており、一部のファンより嫁モモ/戦(闘)モモと呼ばれる事がある。
魔法少女プリティサミー:「真の最終話」と言われる小説版のラストピリオド『さようなら魔法少女プリティサミー』にて本作に対するオマージュ(アンサーテーゼ)と見られる表現が用いられている。主幹脚本は黒田洋介。
スーパーロボット大戦X-Ω:同社系列ではダンクーガやゴーショーグンなども登場しているスパロボだが、何とミンキーモモがスパロボに参戦することになった(第1作の31話に合身ロボット・ミンキナーサが登場したためで、たった一週間のみのイベントであるが)。関連タグにもあるハマーン・カーンとの邂逅が…あった…。
(ちなみに第2作33話にも、劇中劇で「サンダーロボ」が登場するが、こちらはスパロボ未参戦)。