概要
「子供向け」とされるようなコンテンツを好む大人(成人)を指す言葉。
「子供向け」には、例として「ホビアニ」のような玩具の販促として制作された作品や、「ニチアサ」に代表される特撮作品が挙げられる。
これらのメインターゲットとなるのは基本的には幼児や児童(本項では6〜13歳程度と定義する)と呼ばれる年齢の子供たちであり、それ以上の年齢の世代は(製作陣がある程度意識していても)メインではない。
子供向け作品の界隈ではたびたび視聴者(および玩具の使用者やゲームのプレイヤーなど)である子供たちを、「小さいお友達」という表現で示すことがある。例えば遊園地で催される子供向けのヒーローイベントなどでは、司会のお姉さんが観客の子供達に向かって「小さいお友達のみんな〜、いっしょに応援してね〜」などと声をかけることが定型化している。「大きいお友達」とは、この小さいお友達の反語表現であると共に、小さいお友達=子供たちよりも「(年齢的に)大きい」人物であると揶揄するような表現でもある。
作品の分野・ジャンルによって多少意味合いが変わるが、基本的には「小さな子供が楽しむようなものを同じように楽しんでいる大人」のことを指すといえる。
なお、「小さなお友達」であった時期のコンテンツを大人になっても継続して好んでいるような場合はまた意味するところが変わってくる。
アニメ・特撮の『大きいお友達』
児童・少年・少女向け(子供向け)のアニメ・漫画・特撮ヒーロー番組などに夢中になっている大人のマニアやオタクのこと。
「大友」とも略されるが、もちろん名字の大友とはなんの関係もない。
「大きいお友達」は、深夜アニメなどの青年向けの作品を嗜好する「一般的なオタク」とは少し違うタイプの生態を持つと言われている。そして「一般的なオタク」よりもいろいろと業が深いとみなされているようだ。
当事者自らがこの言葉を使う場合は、自嘲・自虐的なニュアンスを含むことが多い。
どのくらい大きければ「大きい」お友達と呼ばれるか、明確な定義があるわけではないが、おおむねアダルトゲームの買える18歳以上、または飲酒や喫煙が可能となる20歳以上を指すことが多い。
一口に児童向け作品といっても『ONEPIECE』※に代表される漫画や『ポケットモンスター』シリーズ、ディズニー作品やサンリオキャラクター、そしてジブリ作品のように、大人のファンがついているのが当たり前に認知されているものにはこの言葉はあまり使われない。
このあたりの空気感は難しいが、大人のオタクがその作品を好きな場合、同じオタクから見ても明らかな場違い感がついてまわるような作品のファン層に対して、大きいお友達という言葉が使われる。
逆に、特撮オタクは大人のファンがついているのが当たり前になった後も「大友」であることの自覚が強く、この用語を多用する傾向にあり、少しひねくれている。
上記に挙げた作品の多くも、大人が見ても恥ずかしくないような空気感になったのは、運営・出版・企業側が著名人などを使って大人にも積極的にアピールし始めたことの影響が大きい。ここではやはり資本力の差がものを言い、知名度のある会社、CMを沢山流せる会社、テレビ局と関わりが深い会社などの作品は「大人のファンがいて何が悪い」というようなイメージを作ることができるのである。
また、これらは長期で幅広く展開されているコンテンツ群というのも共通している。「初期から追っていたら大人になっていた」、「子供の頃からずっと好き」などの理由づけができ、自然に受け入れられやすい環境となったともいえる。
- ※ただし『ONE PIECE』は『週刊少年ジャンプ』の連載作であり、本来想定されている読者層は10代〜20代前半程度の少年・青年である。そのため実際には児童向けコンテンツというよりは、それより少し上の世代向けのコンテンツといえる。このような少年誌作品の成人ファンを大きいお友達のカテゴリに含めるかは諸説あるが、作品によって基準が異なるという節もある模様である。(例えば鬼滅の刃はアニメが子供に大ヒットとなった結果として一般的には子供向け作品とみなされることがあるが、ほぼ同時期にアニメ含めてヒットした呪術廻戦は主にウケたのが中高生以上の層だったためか子供向けと認識されることは一般的にも少ない。)
嗜好
上述のように、子供時代からずっと見ていたというものから、大人になってから見る場合まで様々。
児童向けを好む「大きいお友達」に対してロリコン・ショタコンとレッテルを貼る人も少なくはないようだが、決してそのような人ばかりではない。児童向け作品が好きなだけで、(実在の)児童そのものには興味がない、仮にあったとしても、社会的な倫理に基づいて自分の欲求をコントロールできる、という大友がほとんどだといえる。
むしろ、「大人向け」とされるような作品の「エログロ」描写や、重厚すぎるストーリー、ネットウケ狙いの展開、社会風刺などのトレンディな内容に疲れた大人のオタクが、癒しやノスタルジーを求めて児童向けコンテンツに流れてくることも多く、これは子供達が「背伸びをしたい」「落ち着きのある人間ドラマが見たい」「読者の子どもが成長したら卒業するようなコンテンツではなく、メルヘン作品(スパイス程度に毒気を含んでいる)のようないつ見ても面白い子どもが中心のドラマが見たい」などの理由で、大人向けとされるコンテンツを嗜むこともあるのと同じとも言えるだろう。
「大友」と比べて話題になりづらいが、ネット上では、思春期の10代の少年・少女よりも更に幼い乳幼児キャラ(家族ものの末っ子、青二才・見習いキャラなど)やSDマスコットキャラを嫌う層がおり、ファン(年齢は様々)がそのキャラクターを庇う様子や、ナイスバディやチートキャラではない、素のままの容姿を庇う様子が、ロリコン・ショタコンやいなかっぺ好きと勘違いされてしまうケースもある。
児童向けコンテンツを作りあげている大人のスタッフ、役者を大人のファンが応援することも当たり前にあり、例えば特撮作品では「お母さん向け」「お父さん向け」を意識して、容姿の優れた若手俳優やアイドルなどを積極的に起用し、そのビジュアルについて関連コンテンツなどで積極的に取り上げるということが頻繁に行われている。
これは、特撮作品が「変身アイテムなどの玩具を売る玩具会社がスポンサー」という性質から、ニチアサ作品に集中しているせいもある。
制作側からの認識
児童向けのコンテンツはあくまで子供のためのものというのを強調することで、安心感を子供たちや親にもたせることが戦略上重要とされている。
だが、大きいお友達を邪魔者として積極的に排除するような施策を行っているコンテンツは実のところわずかしかない。
これは、大きいお友達が全くいないよりも少しくらいはついてくれている方が、コンテンツの知名度が上がり寿命が長期化するということが昭和の頃から経験論として知られていたためで、このことはSNS時代ではより顕著になっている。
清き流れに魚住まず、とでも言えるだろうか。
また、最終的にコンテンツにお金を出すのは親(保護者)であり、子供向け作品は子供に気に入られると同時に、その親たちにも気に入られる存在でなければならないともいえる。そのため、ある程度親世代の鑑賞に耐えるような作り込みを意識している作品も多数存在する。特に、『ウルトラマン』や『仮面ライダー』のような、親や場合によっては祖父母の世代が子供の頃から存在する長期的なコンテンツの場合、「新しい顧客」である子供たちに加え、「以前からの顧客」である大人たちをも取り込める仕組みを作っていることも珍しくない。
児童向けのコンテンツの制作側にとっての「大きいお友達」の存在は「子供の邪魔をしなければ歓迎するから空気は読んでね」がほぼ全て。
そして大きいお友達の側でも「自分たちはあくまで目立たない形でいるべき」と一歩引いた形で作品を嗜むことが良しとされている。
特に女児向け作品ではそのあたりはとてもデリケートに扱われる。
女児向け作品を好む大きいお友達の界隈では、作品を本来楽しむ女児たちのことを「幼女先輩」と呼ぶと共に、「我々(大きいお友達)が『先輩方』に対して迷惑を掛けることは決して許されない」という暗黙の鉄の掟が存在している。
また、大きいお友達は財力にものをいわせ、時として「大人買い」を行うことから、近年では少子化への対応を含めた市場拡大の一環として、児童向けのコンテンツの制作側が大きいお友達向けの商品を自ら考案することも珍しくなくなってきている。
ただしこのような場合は子供向けの商品とは異なる販路をとることで、子供と大人の住み分けを徹底させるのが通例。平成ライダーのプレミアムバンダイ限定高額商品などが好例である。
作品の内容に関しても、大友受けを意識した、あるいは対象年齢層には理解不能な内容というのがしばしば展開される。しかし大友の間でも過度な大友向けはNGとされる。
子供向け作品に出演した俳優・声優やその主題歌を歌った歌手などは、番組を見て育った元子供(つまり「大きいお友達」)向けに、定期的にトークショー、サイン会などのイベントを開いていることも多い(ヒーローショーとは違ってオフィシャルではなく、メイン視聴者層の子供はターゲットではない)。これも「大きいお友達」の市場を意識した活動の1つだろう。
なお、1982年の『魔法のプリンセス ミンキーモモ』には、「内容は女児向け」「キャラクターは大学生向け」との製作コンセプトがあったとする説があったが、脚本・構成を担当した首藤剛志は後に、ウェブ連載のコラム上で明確にこの説を否定しており、さらに「『魔法のプリンセス ミンキーモモ』がロリコンアニメの元祖だとか本家だとか言うのは受け取り手の自由だが、作った側としてはかなり不愉快である」と述べている。
語源
「大きいお友達」という言葉の起源は、一説には声優の久川綾の発言とされている。
「美少女戦士セーラームーン」のイベントで強引な行動を取り、付近にいた子供を泣かせたオタクに対し、久川が皮肉として使用した言葉が、10年以上たってネット経由で広まったのだとされる(元々、90年代のファンロードなどでこの言葉は見られた)。
このセーラームーンのイベントの逸話において避けては通れないのは、幼女の世界に成人男性が混ざっているという事案めいたところである。
もっとも現象的には、前述の『ミンキーモモ』のイベントでも既にそういった現象は観測されており、主人公の声をあてた声優の小山茉美の著作物ではもっと直接的に「ロリコン」※と表現している。
- ※しかし、必ずしも女児向け作品を好むオタクが「その作品を好む女児そのもの」や「作品に登場する女児」を性的に愛好しているとは限らない。
- ※女児向けが老若男女に関係なく好まれる理由に、「昼ドラ(上級者向け・暇人の主婦向けで大人にも不人気で、成人女性・既婚女性・熟女・老婆のヒロインファンにも不評)と正反対」「少女趣味のかわいいアイテムが出てくる一般向けのコンテンツが女児向けぐらいしかない」というのもある。昼ドラは実写で現代が舞台で、男性向けで言えば異能バトルよりも戦争映画や不良漫画に似たジャンルである。
- ※令和の女児向け、少女向け、乙女向けではゆめかわいいユニコーンのグッズが流行っていて、女児向けが高齢向けの恋愛、エログロ、泥沼、女性キャラの扱いに嫌気が指した人の憩いの場所になっていたのがよく分かる。
言葉の起源の影響で、「大きいお友達」という言葉には女児向け・少女向けの漫画・アニメ作品の成人男性愛好家というイメージが中核にある。
つまり、年齢の違和感だけでなく性別の違和感が多分に含まれている。
男児向け・少年向けの漫画・アニメ作品を愛好する大人の女性に対しては、自称する以外では「大きいお友達」の言葉が使われることは比較的少ない。これは「男向けの作品の世界を好む女性のオタク」の全てがBL目的の腐女子※として短絡的に捉えられること多く、揶揄するにしてもそちらのカテゴリの言葉で揶揄されることが多い為である。
そんな彼女たちを指す言葉として「大きいお姉ちゃん」があるものの、あまり普及していない。
なお、男児向け作品を好む女性の「大きいお友達」を主題とした作品に『トクサツガガガ』が存在する。
- ※「腐女子」は端的に言えば「ボーイズラブ作品や、男子キャラクター同士の恋愛を描いた二次創作を好む女性オタク」のこと。女性のオタク全員がボーイズラブを好むわけではなく、女性のオタクをまとめて「腐女子」と表現するのは誤りである。
- ※ボーイズラブ作品自体にも誤解があり、女性向け作品のヒーローはBL作品以外でも大体BLの受けに近いキャラ付けをしていて、そのヒーローと共存しているヒロインはヒーローと同様に異性だけではなく同性にも優しく、『ちびまる子ちゃん』の女児たちをそのまま成長させたようなブス以上美少女未満の女の子や低身長のキャラにも優しく、友情百合風の性格である確率が高い。過激ティーンズラブのような作品はボーイズラブや男性向けラブコメ以上にイレギュラーである。
- ※女性オタクが男子スポーツ漫画に群がりやすい理由の一つに、「レオタードや短パンなどのユニフォームで観客にセクハラされやすい女子スポーツの代わりに見られる」「男子キャラは女子キャラと比べれば同一個性を強要されづらく、広い範囲を動きやすく、ドラゴンボールやONEPIECEの男性陣のようなイケメンともブサメンとも取れない愛嬌のある容姿を余裕で描写で出来、そのまま楽しめる上に自分たちの姿も重ねられる」「女子にも向けている男子スポーツ漫画は陰湿な苛め部分(女子スポーツに通じる)がオミットされていて、安心して見られる」「男性向けファンタジーにありがちな主人公一人の活躍と話の過激さしか考えてない作品と違って男子一人一人のドラマが丁寧なのがいい」というものもあり、必ずしもBLやイケメンのみが目的ではない。中二病の女子受けがいい歴史ものなども好かれる理由が似ている。
男児向けと女児向けの違い
男児向け作品と「大きいお友達」
男児向けで「大きいお友達」がついているジャンルといえば特撮ヒーロー作品が一大勢力で、国産特撮ヒーロー作品を好む大人は子供番組に触れざるを得ない。
現状「大人向けの特撮ヒーロー作品」はごく少数しかなく、『牙狼』などごく少数なのである。
ただ、昭和一期のウルトラシリーズのころから「大人のファン」の存在は確認されているので、歴史としては女児向け作品の「大きいお友達」よりもはるかに古い。
近年の特撮ヒーロー作品は、「合計10体程度出てくるロボットを全て揃えると合体できる」ということが通例となっているが、総計10万を超えるほどの金額を子供の玩具につぎ込む一般家庭というのは考えづらい。
もっとも、これらの玩具そのものはあくまで子供たちが喜ぶものを前提にしており、大人ファンに媚びるようなことはほとんどない。さっきの例でいっても、すべてのロボットを無理にそろえる必要は無く、1体だけでも子供が楽しめるような作りになっている。
先述の通り「親世代向け」の一つとして、男児の母親を含む女性の「大きいお友達」を取り込むために若手の(イケメン)俳優を起用することも多い。これは元々狙ったものではなく、男児の憧れとなる俳優を採用し続けたところ、その容姿に惹かれた女性が食いついたことに由来するとされる。
特に平成ライダーでは、実際に仮面ライダー出演で注目された後に俳優やタレントとして(その後の別作品への出演の高評価などもあって)売れっ子となったという人物も複数名現れており、若手俳優の登竜門ともされるほどとなっている。仮面ライダーWで主人公のひとりを演じた菅田将暉、仮面ライダードライブで同じく主人公を演じた竹内涼真の両氏などはその代表格といえるだろう。
これについては時代の変遷により「好まれる人物像」…この場合は「カッコいい」とされる男性像の変化も関係していると考えられる。例えば俳優が痩せ形になり平均身長が伸びた、アクション能力よりも顔が優先され生身格闘シーンが減った、オサレな用語が増えたなどである。
小さいお友達と大きいお友達が共存ではなく、住み分けしている例としては『トランスフォーマー』が代表格である。
このシリーズは元来子供向けであるにもかかわらず、主力商品たる変形ロボット玩具が技術の進歩により複雑化の道を辿り、小さいお友達が置いてきぼりになってしまったため、小さいお友達向けと大きいお友達向けに関連市場が二極化した(トランスフォーマーカーロボット参照)。
また、競技玩具(ミニ四駆やビーダマンなど)の販促目的で制作されたホビーアニメや、小学生向けゲームが原作のアニメ(妖怪ウォッチなど)を好む人もいるが、これらは元ネタの玩具やゲームが大人でも楽しめるくらい出来が良いから、という理由がある。
女児向け作品と「大きいお友達」
女児向け作品の「大きいお友達」が可視化され始めたのは1980年代前半のころである。
当時のアニメ誌では、上述の『モモ』やぴえろ魔法少女シリーズについて「大人のファンがアイドル番組を見るようなノリで鑑賞している」と当然のように理解して記事が書かれていた。
実際、2000年頃になって深夜アニメ(特に「萌えアニメ」)の数が多くなるまでは、アニメファンに人気の女性キャラには、女児向けアニメのキャラクターはかなり多かった。
全日帯アニメの規制強化及び数自体の減少が激しくなり、よりオタクの嗜好に応えた「萌えアニメ」が増大した現在では、わざわざ幼児を対象に制作されるこのジャンルのアニメを視聴する成人のファン層はかつてに比べるとコア化している。
現在の大きなお友達と呼ばれる層の中には、子供向けの空気感、例えばストーリーのテンポやキャラクターの個性といった作品そのものの内容に加え、グッズ展開や視聴者同士のの反応などをあえて好んでいる者が多い。逆にハイティーン以上を想定するアニメを好む層はそういった子供向けのフィーチャーを嫌う傾向もあるため、ネット上のコミュニティなどでは、深夜アニメの美少女キャラに萌えるオタク層と、女児向けアニメの美少女キャラを愛でる大きいお友達が、宗教戦争のごとき派閥対立を起こすこともしばしば。
ただ、外野から見るとロリコン同士が喧嘩してるだけにしか見えないとも……
先述の通り、女児向け作品は大人の愛好家が入り込むことよりも、男性の愛好家が入り込むという事象に対して慎重な部分もある。
例えば、小学館の「ちゃお」・「ChuChu」陣営で主催するイベントでは、年齢問わず男性は参加できないようになっている。場違いな大人の客層を警戒しているということ以上に、もっと単純に男子禁制ということである。
声優に男性にも支持されやすいアイドルを起用した「きらりん☆レボリューション」や、コミックスが男性に支持された作家・やぶうち優の関連イベントにも適用されている。
また、セガの女児向けアーケードゲームの『オシャレ魔女ラブandベリー』がキャラクターデザインをリアル趣向にしたのも、男のオタクが寄り付かないようにするためとされている。
一方、男性の愛好家にある程度の距離をもって付き合う女児向け作品もある。アイカツ!、プリティーシリーズ、プリキュアシリーズ、ジュエルペットシリーズなどがそれにあたる。
これらの作品はどれも漫画原作などではなく、玩具またはゲームの製作会社主導で企画された販促アニメである。玩具やゲームに対してお金を払ってくれるのは結局は子供本人ではなくその親であることから、子供たちだけでなく一緒に番組を見る親もファンになってくれるような作品を作ろうという意識が強い。その過程で「親ではないアニメ好きの大人」が多少なりともくっついてくることは理解の範疇として受け止め、せっかくだからちょっとだけ意識したマーケティングをしているような感覚であり、明確に大人向けであろうイベントやグッズが目立たない形だが公式に存在する。
ただしその大人向けのイベントやグッズは子供より高めに値段が設定されている(例として「アイカツ!LIVEイリュージョン」のナイトタイムはファミリータイムの三倍の参加費がかかる)。そこは企業側の商売上手と言ってもよいだろう。
また、近年のプリキュアやプリティーシリーズではアイドル声優などがレギュラー陣のキャラを演じることがあり、そういう方向性でアニオタや声オタの注目を集めることもある。前者は既に一定の実績をもつ人気声優が担当する場合も多く、元々その声優のファンだったのでプリキュアもチェックするという層がそれなりに存在する。後者については若手の初舞台的な要素が強いが後に他の有名コンテンツのメインキャラCVに就任するなど出世していった声優が複数名現れている。
女児向け作品が好きな中高生以上の女オタクについては、以前はあまり可視化されていなかった。2010年代になってからSNSでの趣味ネタ投稿などでようやく認知されるようになってきた。
一般的な女性のオタクは実写作品、少年・青年漫画、BL(腐向け)などへの流出が著しいことや、「何歳になっても魔法少女やアイドルが好き」というタイプも萌えアニメ、コスプレ、二次創作(BLなどの好きな男性キャラクター関連、オールキャラギャグ、グッズ)などへ流出しやすいため、女児向けに残る「大きいお姉ちゃん」は少数派であるとオタクカルチャー界隈では考えられがちで話題に登ることも少ない。
しかし、セーラームーン、プリキュア、アイカツ、プリティーシリーズなどといった大ヒット作かつ長期的に展開されたタイトルを中心に、子供の頃に好きだったコンテンツを成長しても追い続けるパターンの女オタクの大きなお友達がそれなりに存在しているのも事実である。
特にプリキュアではコンテンツの展開の仕方がニチアサ繋がりの仮面ライダーや戦隊にかなり近いこともあり、(歴史の長さの違いもあって全体的にあちらより年齢層が若いが)特撮と同様に子供の頃から長年シリーズを追い続けているような層が形成されてきているようであり、2023年にオトナプリキュアとして明確にそういった層に向けたアニメ新作が制作されたことはその証拠と言えよう。
また更に年齢層が低くなるものの、アイカツやプリティーシリーズでも2020年代以降ではSNSや動画サイトにて中高生〜大学生程度と思われる女性層の間で話題になっている様子が散見されるようになってきている。
例えば本編完結から5年後になって展開されたアイドルランドプリパラは、もちろん当時からの大きいお友達も視野に入れてはいると思われるがストーリーの内容等から察するに当時の女児で現在の高校生・大学生といった層向けという性質も強い。アイカツは2023年に公開された無印の真の完結編といえる劇場版を見るために映画館にやってきた客層について、アイカツおじさん層以上に当時の世代と思われる女子高生や若い女性層がかなり多かったとされている。
上記の2作品とも、SNSを見てみると実際にその層のプレイヤー・視聴者からの反響もかなり多く確認できる。
制作側から言わせると、例えば『アイカツ!』においてはアイカツおねえさんは目立たないだけでアイカツおじさんよりも勢力が上であることをバンダイは明言しているし、セーラームーンやプリキュアシリーズにおいても大人向けを意識して商品化される製品はコスメやランジェリーなどの「女性向け」製品の方が主流である。特にセーラームーンについてはデザイン婚姻届やご祝儀袋、生理用品とのコラボなど、成人女性の人生に寄り添ったグッズも展開されている。
これらのことから、少なくとも制作側は「大きいお姉ちゃん」も「大きいお兄ちゃん」と同等にはみなしていることは確かである。
なお、基本的に作品が終了すればメインターゲットである女児を含めてファンは減っていくのが普通であるが、まれに大きいお友達が終了後も活発な場合がある。こうなると、実質的にメインターゲットが女児から大きいお友達に変わるため、深夜アニメのように大人向けのイベントが活発になることがある(これは女児向け作品に限らないが)。
プリティーシリーズの場合、プリパラからキラッとプリ☆チャンに移行した際に、作品の方向性の違いなどからプリパラに大きいお友達が多く残ってしまった。そのため、終了後もプリパラの新曲が継続して制作され続けることになったほか、放送当時はあまり重視されていなかったチーム(小学生だけで構成されたチームなど)の単独ライブの開催など、専ら大きいお友達をメインターゲットに大きく舵を切った上で展開が継続されるようになった。
また同じくプリティーシリーズから派生した大きなお友達を主眼としたスピンオフとして、「プリリズRL」にメインキャラ達の恋愛相手的なポジションで登場した男子ユニットをメインに据えた成人女性向けのシリーズである「キングオブプリズム」を制作し、原作を知らなかった腐女子層をも新規として巻き込んでヒットしたという例がある。このようにかつての作品の視聴者層以外を意識した新たなコンテンツの展開がなされることも。
遊戯銃の分野
18歳以上であるにもかかわらず、本来10歳以上18歳未満の児童向けである対象年齢10歳以上のエアソフトガンを好む愛好家のこと。
大きく分けて実用上の理由から10歳以上用モデルを好む者と、そうでない者との2つに分けられる。
前者は主にサバイバルゲーマーで、低威力であることやそれに伴う速射性の高さから来る、撃ち合う距離の短いインドアサバイバルゲームでの実用性の高さから10歳以上用モデルを好む。
後者は10歳以上用モデルに施された工夫などを楽しんでいるため、初めから10歳以上用として設計されたモデルを好む。
その他
鉄道オタクにおいて、非常識な行動をとる中高生以上の者に対してこの言葉が蔑称として使われることもある。言葉の起源に近い用例といえる。
「でんしゃがだいすきなおともだちへ」という皮肉たっぷりの文書で同じ鉄オタから警告されるあたりはまさにこの言葉。
食品、お菓子などで、元は子供向けだったものが「大人の」を頭文字に付けて、大人向けや全年齢向けとして展開されることがある(勿論、ノーマルなバージョンも大人に買われている)。
「おとなのふりかけ」がこの路線の走りといえ、上品で落ち着きのある味や大きな具材が特徴である。
また、子供向け商品の強い甘みが苦手な人用のノンシュガー、低糖のものや(甘党に向けて子供向けより甘くする場合も)、わさびのような大人向けのフレーバーを採用した食品も多く販売されている。
大人用の粉ミルクなどもあり、健康ブームと相成って大人の支持を得ている。
こどもびいる、シャンメリー、ハピバスのような「大人の」シリーズと逆転の発想もあるが、近年は少子高齢化の影響で不振に終わることが多く、現お子様とお子様ランチが大好きな大人は涙を禁じ得ない。
玩具(コレではないもの)においては、子供向けのものよりディティールを高め、大人が楽しめるサイズ感のものが販売されている。また、リカちゃんについては、特に「リカちゃんキャッスル」で大人の愛好家を強く意識した販売を行っており、これに関連してリカちゃん向けの衣装を販売する「ちいさなおみせ」は、はっきり「大人のためのお店」と明言されている。
リカちゃんおよび「姉貴分(実際には後発商品)」であるジェニーはカスタムドールの愛好家からの支持も強く、リカちゃんらを含めた大人のホビーとしての着せ替え人形は、フィギュア愛好家なども取り込んで一つのジャンルとして確立している。
「大人の」「夜の」の頭文字が付くものはR指定のイメージを持たれやすいようだが、そういう連想をさせるような魔力とでもいうしかないだろう。
関連タグ
大きなお友達(表記ゆれ)
小さいお友達(本来のメインターゲット)
一般向け 全年齢向け 男児向け / 男の子向け 女児向け / 女の子向け