ストーリー
主人公・仲村叶さんは特撮をこよなく愛するOL。
でも、ものすごく好きだからこそ周囲には言えず、隠しながら生きている。
小学生時代、厳格な母親によって特撮ヒーローのおもちゃは卒業する(させられる)事になった。
しかし大人になり一人暮らしを始めてから幼い頃の抑圧された欲求が解放され、見事に「特撮オタク」に返り咲く。
かつて彼氏がいた時も、趣味全開となった自らのワンルームマンションの部屋にあげられない始末。
20代の独身女ゆえ、彼女には数々の障害が待ち構えていた。
概要
隠れ特撮オタクの女性主人公と、彼女を取り巻くオタクたちや一般人によるコメディ。
主人公が現実世界で直面する様々なトラブルや人間関係を、特撮ドラマやキャラクター達、あるいはドラマやアニメを作るスタッフたちから学んだことをアドバイスに乗り越える、というのがお決まりのパターンである。
登場する劇中劇のジャンルも、日本のヒーロー特撮に限らず、アニメ、映画、洋ドラなど多岐にわたる。
キャラクターも多種多様で、特に主人公の母親はサブカル嫌いの毒親として、主人公が乗り越えるべき最大の壁として描かれている。
劇中劇の作りこみや、オタクキャラの感情の機微、主人公の母親を含む一般人キャラとオタクキャラのぶつかり合いなど、実際の特撮オタクたちの心をくすぐり、そして刺すマンガである。
2014年夏、ビッグコミックスピリッツにて連載開始。
2017年4月に遂に連載100回を越えた!同業の漫画家作家たちから祝いのコメントが送られた。
2020年春に完結。コミックス全20巻。
実写ドラマ
2018年9月に実写ドラマ化が発表され、2019年1~2月にNHK総合で放映された。全7話。ロケ地はだいたい名古屋。
主題歌:ゴールデンボンバー「ガガガガガガガ」
特撮協力:東映
アクション指導:おぐらとしひろ
スーツアクター:岡元次郎、森博嗣、藤田洋平、中井絢子、JAE
ナレーション:鈴村健一
特撮協力にまさかの東映。劇中劇「ジュウショウワン」を一番組にまとめてしまうほどクオリティが高く、しかも現役のスーツアクターやアクション指導を採用する本気っぷり。ドラマ部分も手を抜かず様々なネタを再現している。ガチじゃねえか!やるなNHK。
但しガチで再現しているせいか、漫画版とは違った感じで視聴者の心にグサリと刺さりやすい(特にお母ちゃんとの確執)。覚悟を決めてみるべし。
主な登場人物(ドラマ版キャスト)
本作の主人公。26歳→27歳(ドラマ版では24歳)。優秀なOLで周りからの信頼も厚く、職場では『女子力』が高いと思われているが、私生活では特撮趣味に勤しむ『女死力』滾る特撮オタク。
周囲に趣味を完全に隠しているため、隠れオタライフに四苦八苦する日々を送る。また、心の中で他人に勝手に渾名を付ける癖がある。
作中開始時点より前に恋人がいた時期はあるが、当時の彼氏にも趣味を徹底して隠しており、部屋に上がりたがる彼を追い返していた。
些細なこと(特撮絡み)にムキになることも少なくない一方で、ある種の包容力の広さや気真面目さを持ち、それが周囲の問題解決に役立つ場面も多い。
特撮オタク趣味やその仲間との付き合いを最優先する一方、会社の人間との交友関係も最低限持っており、特撮と無関係なお出かけをすることも一応はある。
仲村の母親。フルネームは「仲村志」。
仲村が3歳の時離婚し、幼い仲村と兄を引き取って育てたシングルマザー。仲村を女性らしく育てたかったため、幼少期の特撮趣味を決して認めなかった。
子供二人を無事大学まで行かせた立派な人物で、とても子供思いではあるのだが、「子供のために」することである「愛」と「自分が子供にさせたい」ことである「エゴ」を混同している。娘の大事にしていた雑誌を焚き火にした『てれびくん』焼きイモ事件は娘のトラウマとなっている(ドラマ版では『テレビきっず』となっている)。
また、仲村と言い合いになりかけると『多分自分が悪いことをしてしまったのだろう』と大げさに折れたように見せ、結果として仲村が譲歩せざるを得ない状況にすることも苦手意識を持たれる原因となっている。
ちなみに娘が今尚特撮オタクであることは知らず、仲村の家を訪れた際に特撮オタクに復帰していた事を知る。
本作における”ラスボス”的なポジション。
基本的な考え方や特撮に対する認識は現在も変わっておらず、遂に娘と真っ向から衝突することになるのだが、そのシーンは全体的にポジティブでギャグ調の本作の中では群を抜いて「辛い」シーンとなっている。
仲村の心の中ではしばしばジュウショウワンの宿敵・ゲンカ将軍に例えられている。
ちなみにドラマ版では巨大化する。
なお、元夫とは連絡を取っていないのか仲村は父親のことを全く知らず、「もし今更出てこられたら困る(怒りや憎しみを向けているとかではなく純粋に反応に困る)」という認識になっている。
仲村が電車内で知り合った女性。下の名は久美。(隠れ)特撮オタク。温厚な性格だが、こと特撮に関しては熱くなる。
同年代の友人達が次々と結婚・子育てをしているのを機に引退を考えていたが、ヒーローショーで仲村と再会したのをきっかけに思いとどまり、以後は親しい友人関係になる。
年齢は明かされていないが、恐らく仲村より6~10くらい年上で北代と同世代らしい。
仲村の会社の後輩。仲村に好意を寄せているが、彼女の趣味のことは全く気が付いていない。若干天然気味の性格で、仲村の特撮絡みの利己的な言動をいつも好意的に解釈している。
仲村がジュウショウワンのガチャを回そうとした塾のビルで出会った小学生。こっそり回したかった仲村にとってあまりに悪いタイミングで現れたため、『悪魔の子』を意味するこのあだ名がつけられた。
ジュウショウワンではトライガー推し。本名は田宮拓。吉田さんに好意を寄せている。
実家の駄菓子屋 「おかしのまつもと」で働く男性。本名まつもとまさあき。20歳。ヤクザ顔負けの怖い人相と任侠映画じみた言動をしているが、実は真面目で内向的な性格である。
ひょんなことから女児向けアニメ「ラブキュート」の隠れファンであることが仲村にバレ、それをきっかけに親しくなる。ドラマ版の第4話にてEDを務め、『アニヲタガガガ』と題して番組をジャックしかける。
仲村の会社の同僚。本名は川島だが、緊張感がなく絵に描いたようにチャラチャラした言動から(仲村の中では)このあだ名で呼ばれている。リア充で特撮オタクではないが、結果的に仲村と吉田が親しくなることに貢献する。
神経が図太く人の間合いにズカズカ入るためよく殴られるが、どこか憎めない性格。
白石(演:内山命)
仲村の同僚の一人。仲村を何かと気にかけ、皆の集まりやプライベートの遊びにも誘うなど良い友人だが、彼女自身はリア充女子を体現したような人物であるため、その趣味嗜好は仲村と全く合わない。
そのため、仲村のプライベートは全く知らない(仲村からすれば絶対に教えられない)。
ユキちゃん(演:武田玲奈)
仲村の同僚の一人。イケメン俳優・泰風良太のファン。仲村は彼のデビュー作「ストレンジャーV]のDVDを貸して特オタに引き込もうと画策するが、肝心の変身や戦闘シーンを早回しされてしまい失敗に終わる。
ただし、好きな俳優の出演作ならマイナーな作品や子役時代の作品も視聴するなど結構ガチなファンである。
仲村の働く会社に新しく中途で入ってきたOL。仕事はできるが愛想にかける。生真面目な性格。
元々男性アイドルオタクだったが、オープンオタクの友人・ミヤビさんから同僚へオタクカミングアウトされ、それをイジられた結果、職場に居辛くなったという過去がある。そのため、オープンオタクと勘違いしていた仲村を半ば八つ当たり気味に嫌っていたが、後に誤解が解けたこともあって和解。
以後はみやびとも無事和解し、特撮オタクではないながらも仲村の呼びかけに割と快く応じてくれる友人の一人となった。
その一方で仲村が吉田の協力を得て特撮沼に誘導しようとしていた同僚をアイドル沼に勧誘する強かさも持ち、ドラマ版では『ドルヲタガガガ』と題して番組をジャックしかけた事も…。
名古屋の女子大生。北代さんとは同じ男性アイドルグループのオタク仲間だったが、上述の経緯で彼女から絶縁されてしまう。
ちなみにこの行為に本人は悪気は全くなく、自分自身が周囲にオタクであることを堂々とオープンにしていて周囲からのオタクいじりも全く気にしないタイプだったため、北代さんのような「オタクであることを隠したい」というタイプの心情を理解していなかった。
仲村との和解を経て少し丸くなった北代さんによって許され、本人の反省もあって仲直りした後は、仲村や吉田さんとも友達になる。
生来のノリの良さと積極性と若さから仲村たちをある意味圧倒することも。
仲村の兄。本名は望で32歳。関西在住のバンドマンであり、普段は社会人をやりながらライブで関東に来る時は仲村の家に泊まりに来ている。仲村の趣味に理解があり、兄妹仲は良好。
どこかマイペースで抜けた部分もあるが、既婚者で娘を持つ一児の父である。学生時代からの付き合いである妻との関係は良好で、未だに夜更かしして一緒にゲームしたりする仲。
ちなみに仲村は兄一家全員からかのちんと呼ばれている。なお、組んでいるバンドは下ネタ系のメタルバンド。
じいばあ (演:海原はるか)
仲村の地元でレンタルビデオ店を営んでいた老人。見た目からは性別がわからないためこのあだ名で呼ばれる。仲村が高校卒業の年に閉店を決め、卒業祝いとしてエマージェイソンのビデオをくれ、仲村が特撮オタクに戻るきっかけとなる言葉をかけた。
劇中劇
劇中のフィクション作品はすべて本作オリジナルのものである。しかし実在の特撮番組・アニメ番組・映画を元ネタにしているようなので、どの劇中劇がどの作品を元ネタにしているのか考察するのも、楽しみの一つである。
戦隊シリーズ
仲村が毎週の楽しみにしている特撮番組で、我々の世界でいうところのスーパー戦隊シリーズの現行作。
シシレオー(赤)、トライガー(青)、チェルダ(黄)ら、獣の力を持つ変身ヒーローチームがゲンカ将軍ら悪の怪人たちと戦う物語。
「猫科動物がモチーフで三人構成」「クローや棍など中国武術系の武器を使用」という点から獣拳戦隊ゲキレンジャーがモチーフと思われる。トライガーの演者の元ネタはキリンレンジャーを演じた土屋圭輔氏である。
異星探査ストレンジャーⅤ(ファイブ)
ジュウショウワンより二年前の同シリーズ作品。初期メンバー5人は全員が異星人で、地球人は追加戦士のみという海賊戦隊ゴーカイジャーのようなチーム構成の一作。ストレンブルーを演じた「泰風良太」は若手の売れっ子へと出世し、仲村さんのような特オタでなくとも名前を知られる存在になっている。
ジュウショウワンの1つ前、ストレンジャーの後作品。
現代社会に摩訶不思議な影響を及ぼす、未知なる文明『MU』とその遺跡を探査すべく結成された勇気ある調査チーム、シラベルーパーの物語。
設定、スーツのデザイン、頼れるリーダーっぽいレッドなどから、モチーフは轟轟戦隊ボウケンジャーと見て間違いない(ジュウショウワンの元ネタであるゲキレンジャーの前番組でもある)。
ジュウショウワンの後番組。初登場は吉田さんと仲村さんが踏んだネタバレ画像として。
スーツにはドラゴン、ユニコーン、人魚、グリフォン、ケルベロスがデザインされている。
太古の神獣に導かれた5人の戦士が、地球を征服しに来た魔の一族デモニバルから地球の命ソウルジュエルを守るために戦う。
ジュウショウワンがハード路線だったこともあり、コメディ寄りのストーリーらしい。
電撃戦隊チェンジマンと天装戦隊ゴセイジャーがモチーフと思われる。なお、ジュウショウワンのモデルであるゲキレンジャーの後番組は炎神戦隊ゴーオンジャーであり、コメディ要素はここからか?
仲村さんが小学生の時の作品。マジはマジでも魔法ではなく手品の方。トランプがモチーフという点から、元ネタはジャッカー電撃隊とされる。敵幹部が寝返って、追加戦士シルバージョーカーとなる。
ディフェンダー
仲村さんが高校生の時の作品。警備員のような姿の五人組。
戦隊シリーズで初めて巨大ロボが登場し、現在のスタイルを確立した記念碑的作品。ようするにバトルフィーバーJ。(スーツの造形に関しては忍者キャプターに近い。)
ダイナソルジャー
恐竜がモチーフの五人組。
その他の特撮、アニメなど
救急機エマージェイソン(CV:鈴村健一、スーツアクター:岡元次郎)
仲村さんが幼少の頃に大好きだった特撮ヒーロー。人々の危機に現れる謎の人型ロボット「エマージェイソン」を描いた重厚(吉田さん評)な作品。デザインと、いわゆる「メタルヒーロー」という点から特捜ロボジャンパーソンや機動刑事ジバン、レスキューポリスシリーズがモチーフと思われる(VHSのパッケージデザインは実際のジャンパーソンのVHSパッケージデザインそっくりである)。
名前の由来は緊急を意味する『エマージェンシー』から。
女児向けアニメ番組。少ない作中作描写からは結構ガチで闘っている様子が見受けられ、モデルはプリキュアと見てほぼ間違いなし。作中世界でも10年に渡って継続している人気シリーズである。
『Chig-Hug ラブキュート』(初代)、『ラブキュート MAX!』(現行)、『ラブキュート カーニバル』(次回作)の三作が確認されている。
吉田さんが幼少時、大好きだった特撮ヒーロー。十字軍の騎士のように鎧とマントをまとった西洋風の出で立ちで、その兜デザインから子供には「バケツマン」呼ばわりされてしまうことも。内容はじつにキテレツなシナリオで、路線変更のせいかなぜか途中から何の前触れもなく和風要素を取り入れるなど、本放送当時の人気は振るわなかったためか、長らくDVD化もされていなかった。世界忍者戦ジライヤのフクロウ男爵がモデルか?
エマージェイソンの後番組で、刑事二人が強化スーツを身にまとい戦う、痛快娯楽アクション。
放送終了後も映画やスピンオフのVシネマが制作されるほどの超人気作だったらしいが、エマージェイソンのほうが好きな仲村さんは複雑な気持ちを抱いている。
元ネタはブルースワットか?
深夜放送の特撮。
アクション、ストーリー、共に評価は高いものの、下品な描写がきついため良い子のお友達には見せられない。
主人公は金に困った時しか妖怪退治の仕事をしないスケベ野郎である。
下ネタが多いことから、元ネタはライオン丸Gと思われる。
40年ほど前のSFドラマ作品。
突如謎の惑星「O(オー)」に迷い込んだ人々の冒険と、Oに住む異星人たちとの交流を描く。
当時としては破格の製作費を投じ、名だたるスタッフが熱意を込めて作ったハイクオリティな名作。
しかしその熱意がかえって仇となり製作が滞ってしまった未完の名作。
最近になって続編の制作が決定したが、仲村さんは喜ぶと同時に「当時とは色々変えざるを得ないだろうし…」と、
複雑な気持ちに悶々とする事に。元ネタは猿の軍団と思われる。
日本史上初の特撮怪獣映画。社会風刺要素が強く、今なおファンが多いのだが、路線変更のやりすぎのせいで20年ほどに渡って新作が無かった。怪獣のモデルはクトゥルー神話だろうが、元ネタは間違いなくゴジラ。
『わくわくTVシリーズ ダゴンくん』という空き地で展開されるテレビシリーズも存在している。
鏡面世界が舞台の怪談映画。
元ネタは言うまでもなく『学校の怪談』。
40年前の特撮作品のリメイク映画だが、オールドファンと新規層の間で賛否両論となっている。
変身忍者嵐を思わせるタイトルだが、後述のソールマンフェニックスの元ネタが放送された年代や絡繰というタイトルから考えるに、恐らく『キカイダーREBOOT』が元ネタ。
国民的人気のあった巨大ヒーロー特撮シリーズの元祖。
「ソール」はラテン語で太陽を意味する「sol」から。
しかし色々あって常にテレビシリーズが制作されているわけではなく、仲村さんはおろか吉田さんもリアルタイム世代ではない。
だが作中で7年ぶりの新シリーズである「ソールマンフェニックス」の放送が発表となる。
元ネタは言わずもがなウルトラシリーズ。なお、7年ぶりに新作が放送開始されるという設定の元ネタになったのは『ウルトラマンギンガ』という作品であると思われる(『ウルトラマンメビウス』から数えて7年後の作品である。なお、フェニックス要素があるのはギンガではなく、メビウスの方である)。
アメコミ原作の映画。元ネタはアイアンマンかもしくはロケッティアか?
ゾンビ鮫に襲われる人々を描いたB級サバイバル映画。元ネタは映画シーワールドZか?
ダミアンが大好きな、ダイナソウルで結ばれたディノライダーと竜がバトルしてチャンピオンを目指す少年漫画。
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