概要
「辺獄のシュヴェスタ」とは、竹良実による漫画作品。
16世紀の神聖ローマ帝国、現在のドイツ南西部を舞台に、神の名において行われた惨劇と復讐の物語である。
連載誌は小学館「月刊!スピリッツ」(2015年2月~2017年12月)、全32話。単行本は「ビッグコミックス」レーベルで全6巻。
pixivコミックで3話まで無料公開中(⇒リンク先はこちら)。残酷な描写が多いので注意。
あらすじ
家族に忌み嫌われた少女・エラは人買いに売られそうになり、逃亡。彼女を救った薬師アンゲーリカはエラを娘として大切に育て、エラは人としての愛と様々な知識を与えられて育つ。
ある日、村に「クラウストルム修道会」の総長エーデルガルトと異端審問官ヴィルゲが現れ、アンゲーリカを魔女として告発、拷問にかける。エラは母を救おうと試みるが失敗。アンゲーリカは愛娘を護るために信仰を捨てて魔女であると認め、虚偽の告発を強要されたあげく絞首刑の上に火刑に処されしまう。母の死を前に、エラはエーデルガルトへの復讐を誓うのだった。
“魔女の子”として囚われたエラはカトリックの更生施設「クラウストルム修道院」に収容される。そこは更生施設とは名ばかり、高い石壁で少女達を外界と遮断し狂った信仰を植え付けようという洗脳施設だった。エラは修道院で行われる凄惨な“教育”の数々に耐えながら、施設からの脱出と告発を目的とする仲間たちと協力。ひっそりと情報を集め、力を蓄え、数々の仕打ちや苦境に耐え、時に犠牲を払いながら、この狂った修道院に抗っていく。
キーワード
“血の伯爵夫人”バートリ・エルジェーベトが乙女の血を搾り取るために作ったという伝説が残る、聖母マリア像の形をした中世ヨーロッパの拷問具。現存するものはレプリカのみで、実際に使われたか、或いはそもそも実在していたのか、議論は尽きない。
「鋼鉄の処女は存在するのか」という問いかけで始まる第1話は、現代のドイツ・ライン川の水底から、隻眼の「鋼鉄の処女」が発見されるところから始まる。その体にはバチカンの紋章と共に、「1562年 分水嶺の血の記憶に」と刻まれていた。そして、物語の舞台は16世紀のドイツ(神聖ローマ帝国)へと飛ぶ。
- 新教派
- クラウストルム修道院
先輩の修練女のことは「お姉様(シュヴェスタ)」、後輩は「妹(シュヴェスタ)」、指導に当たる修道女のことは「お母様(ムター)」と呼ぶように指導される。
- 分水嶺
登場人物
分水嶺の仲間たち
- エラ・コルヴィッツ
エーデルガルトに近づくため、表向き従順な娘として振る舞い、自ら切断刑の処刑人となるなどして信用を得ていく。目的遂行のために苛烈で冷徹な行動が目立つものの、その心の奥にはアンゲーリカに教わった愛や優しさ、誠実さが常にある。
コルヴィッツ姓はアンゲーリカのもので、本来の姓は不明。
- カーヤ・ジンメル
- ヒルデ・バルヒェット
- テア・グライナー
- コルドゥラ・フォン・シュタイン
クラウストルム修道会
- エーデルガルト
クラウストルム修道会の総長。無痛症のため身体的苦痛を感じることがなく、聖痕を与えられたものとして崇められている。修道会が独占している知識や技術を奇跡の如く使って見せることで大衆の信仰心を強固にし、神への信仰と秩序の下に皆が自律して生きる世の中を目指す。目的の為に病を撒いたり前院長を殺害するなど、その信念は狂信の域に達している。
- ヴィルケ
- ロスヴィータ
- ナターリエ
- ハイデマリー
- ヘルガ・フォイルゲン
その他の修練女達
- ジビレ
コルドゥラと同じくエラの上位生。ムター・ナターリエを慕い、修練女達を密告したり積極的に罰や拷問を与える役を買って出ることで信頼を得ていた。エラ達を救おうとしたコルドゥラに目をつけて密告。しかしコルドゥラを救おうとしたエラにハメられ、無実の罪で右腕を切断される。
- クリームヒルト・レンツ
その他の人物
- アンゲーリカ・コルヴィッツ
エラの育ての親となった女性。聡明で知識に富み、誠実で篤い信仰心と溢れんばかりの慈愛の持ち主。右腕には盗人の烙印を押されているが、これは盗みをして捕まったエラの罪を肩代わりしたもの。ヴィルケによって魔女裁判の末に縛り首、火炙りに処され、命を落とす。彼女が殺された本当の理由は、彼女がクラウストルム修道会の重要な秘密を知ってしまったからだった。
- ランベルト
実はアンゲーリカに命を救われたことがあり、その時に幼いエラとも出会っている。
- フリッツ・ベルクマン
- ラースロー
関連タグ
アイアンメイデン キリスト教
マリア様がみてる
→女だけの学園内で互いを姉妹と呼び合い、女同士の人間関係を描く点が似ている。内容は真逆。