ジャッカーは強化カプセルの中で、各々の強化エネルギーを浴びて、無敵のジャッカーになるのだ!
『我ら! ジャッカー電撃隊!!』
概要
1977年4月から放送開始。
コミカルな演技と派手なアクションの両立が魅力だった、前番組『秘密戦隊ゴレンジャー』と対照的に、ハードかつシリアスなドラマが目指された。
4人のサイボーグ「ジャッカー電撃隊」が犯罪組織「クライム」の起こした事件を捜査した末、変身して「クライム」の大群(怪人と手下)と戦う姿を描く。仮面ライダーシリーズのようなサイボーグならではの悲哀のようなものも描写される。また、当時のスーパーカーブームを反映して、メカデザインに取り入れている。
企画段階のネーミングとして「電撃戦隊グロスボンガー」及び「科学特捜隊ボーグハンター」が挙げられていた。実はジャッカーの所属する「国際科学特捜隊」、本作品のネーミングである「ジャッカー電撃隊」は名称の変化はあるものの、タイトル初期案の名残である。
スタッフの流れはゴレンジャーから引き継いでおり、本作でも石ノ森章太郎を原作者としてクレジットしている。
テレビシリーズ終了後の1978年3月18日に、劇場用オリジナル作品『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』が公開された。
スーパー戦隊シリーズでは唯一純然たる4人編成で開始している(爆竜戦隊アバレンジャーは特殊な立ち位置の戦士がいるため開始当時は「3+1」編成といったところ)。
また、「全員サイボーグ」なのも唯一である。
なお、人外のみによるスーパー戦隊なら恐竜戦隊ジュウレンジャー(恐竜人間)、天装戦隊ゴセイジャー(天使)が存在する(一部だけ人外であれば多くの作品が該当。初期メンバーが全員宇宙人の海賊戦隊ゴーカイジャーと宇宙戦隊キュウレンジャー、人間2人+ジューマン4人(番外戦士を含むと5人)構成の動物戦隊ジュウオウジャー、人間1人+ロボット4体構成の機界戦隊ゼンカイジャーは特に比率が高い)。
不遇の作品
「ゴレンジャーの後釜」として番組の放送は開始されたものの、番組の内容が暗すぎたのか視聴率が低迷。当時は視聴率を東西で別に出しており、西日本ではわりと強かったが東日本では駄目だった。
第13話から機械怪物の外見を「ゴレンジャー」の仮面怪人に近くし、子供の出番を増やし、第23話からは「ゴレンジャー」に出演していた宮内洋を新たにレギュラーとして起用し、彼が演じた番場壮吉をメンバーに加える、いわば「ゴレンジャーの擬似路線」に転換。作劇面以外でも、オープニング・エンディング映像の再構成やアイキャッチの変更がされた。
だが、これらの措置も視聴率の上昇には繋がらず、結局第35話で打ち切り放送終了となった。そのため「スーパー戦隊シリーズで最も話数が短い作品」として、また「スーパー戦隊シリーズで唯一、年を越すことなく放送を終了した作品」となっている。これ以降、80年代半ばの特撮復興期までしばらく重たい内容の戦隊はお預けとなった。
ちなみにテコ入れ案の中にはクライムを陰から操る未来人「エムペリアン」を追ってやってきた別の未来人「ペイジワン」がジャッカーと協力し、タイムマシンに乗って時間移動をするというものがあったが、世界観が違い過ぎるという理由で没となった。
あらすじ
世界的犯罪組織クライムのデビルロボットに対抗すべく、国際科学特捜隊の鯨井大助(通称ジョーカー)はスカウトした三人の若者と殉職した一人の青年にサイボーグ手術を施し、ジャッカー(JAKQ)電撃隊を結成する。
機械の身体に悲しみを秘め、四人のサイボーグ戦士たちはクライムの大規模犯罪に立ち向かう。
やがて激化する戦いの中、鯨井に代わり番場壮吉が行動隊長に着任。彼が変身する白い鳥人・ビッグワンを仲間に加え、ジャッカーはクライム壊滅に向けて戦い続けるのであった。
登場人物
ジャッカー電撃隊
通称「ジャッカー」。国際科学特捜隊に所属するサイボーグの特殊部隊。ジョーカーこと鯨井大助直轄の部下であり、彼自らによるスカウトでメンバーが選定されている。
クライムによるものと思しき犯罪を捜査し、クライムボスを炙り出して悪事を阻止、機械怪物にはチェンジして立ち向かう……という流れが基本。そのため警察組織の捜査現場にも普通に参加する。
鯨井の転任後は5人目のサイボーグ・番場壮吉がビッグワンとして戦線に参加。
余談だが第1話の中で劇中時間がかなり過ぎており、敵味方問わず知名度が非常に高い。
呼称表
が\に | 桜井 | 東 | カレン | 大地 | 番場 |
---|---|---|---|---|---|
桜井五郎 | 俺※ | ジャック | カレン | キング | 隊長 |
東竜 | エース | 俺 | クイン | キング | 隊長 |
カレン水木 | エース | ジャック | 私 | キング | 隊長 |
大地文太 | エース | ジャック | カレン(さん) | 僕 | 隊長 |
番場壮吉 | 桜井 | 東 | カレン | 大地 | 俺 |
※スペードエースの初期の一人称は「僕」
斜字は決め台詞で、前期は22話まで、後期は23話以降となる。
(前期)「ジャンプ一閃赤い風!唸って踊る核の鞭!」
(後期)「真っ赤に燃える正義の血潮!悪を切り裂けアトム打ち!」
元オリンピックの選手。原子力で動くサイボーグ。
ビッグワン加入までのリーダー格。洋弓に変形する鞭「スペードアーツ」が武器。
(前期)「スピード一番青い星!ギラリギラギラ電気剣!」
(後期)「怒りのエレキで鍔鳴りさせて、守ってみせるぜ青い地球!」
元ボクサー。電力で稼働するサイボーグ。伸縮自在の剣「ダイヤソード」が武器。
戦隊シリーズ初の個人武器に剣を持った戦士でもある。
(前期)「ヒラリ一点桃の花!咲かせて散らす磁力盾!」
(後期)「娘18涙を捨てて、戦場(いくさば)に咲く桃の花!」
メンバーの紅一点。クライムが起こした事故で父親と両腕を失い(彼女は桜井によって救助)、メンバーで唯一進んで改造手術を受けた。
磁力を動力源とする。盾「ハートキュート」が武器。「もう一ついかが?」が決め台詞。
(前期)「パンチ一撃緑の火!目から火の出る重力パンチ!」
(後期)「重いパンチが唸りを上げりゃ、緑の風が渦を巻く!」
元科学者だったが、事故死した所をサイボーグ化によって蘇生した。
重力が動力源で馬力はメンバーで1番強い。右手が変形した鎖分銅「クラブメガトン」が武器。
「ジャッカー電撃隊行動隊長、番場壮吉…よろしく。」
上記4人の全ての動力で動く2代目総司令官サイボーグ。キザな性格だが(初登場で東の反感を買った)、その実力は本物。演じる宮内の存在感で、登場して早々「強烈な個性」を見せた。
犯罪組織クライム
鋭い爪が武器である、クライムの幹部。
クライムボスたち
各話ごとに作戦を担当する人間の幹部。作戦失敗すると鉄の爪によって処刑されるか、ジャッカーとの戦いで戦死する。初期には2回続けて失敗すると落とし穴に落とされ処刑されていた。
デビルロボット
いわゆる今週の怪人。時期によって設定の変遷があり、現行の設定では前半の怪人である機械怪物(デビル◯◯)と後半の怪人である侵略ロボットの総称という事になっている。
前半に登場する怪人。名前は「デビル○○」で統一されている。裏切ったボスの処刑も担当する。
後半から登場した機械怪物よりも強い上級怪人。動物モチーフが多い。
クライムの戦闘員。
クライム四天王〈UFO船長、鉄面男爵、サハラ将軍、地獄拳士〉
劇場版『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』に登場したクライムの幹部達。
各々の軍団を率いており、合体することで四天王ロボになる。
ジャッカー電撃隊の支援者
ジャッカー総司令官。通称ジョーカー。4人にサイボーグ化を施すなど科学者としても一流。
女性隊員7号/林恵子
女性隊員8号/山本純子
女性隊員9号/飯島佳子
女性隊員10号
番場加入後に来た新米隊員(No.105297)で常に浴衣姿で赤ふんどしを愛用するコメディリリーフ。番場とは仲が良いが、他の4人には仲間意識を持たれつつも、煙たがられ気味。
松山支部出身である為、愛媛弁で話す。炊事(見習い)を担当しており、彼の作るカレーやラーメン(ただし即席麺)は番場の好物。
林家源平氏が演じたためか、落語好きで小噺を披露する事もあり、ここだけ見ると単なる憎めないコメディリリーフにしか思えないが、そこは元・松山支部隊員。番場と共にナチスに変装したり、ターザン風に変装したり、戦士鉄の爪とビッグワンの対峙を見ては引き分けを予想したりと意外な所で活躍を見せるのでどこからどこまでが彼の素なのかは不明。
甥にジャッカーに憧れる達也がおり、こちらは東京に住んでいる。
ハムスター
鯨井が日本支部長官時代から飼っているペット。15話から喋り出したことで、実は彼によってサイボーグ化されていたことが判明した。おしっこもできるなど巧妙にハムスターに偽装されている。
ただし、なんらかの事情で鯨井に同行できず、基地にそのまま居残る事に。
「ぶたぶた文太」が口癖の毒舌家で、ゴン(前作の九官鳥)から続く動物系マスコット第2弾。
メカニック
変身カプセルと専用マシンを搭載した大型戦闘機。
ジャッカーの生命線であるとともに最大の武器であり、主翼後部の「スカイロケット」でクライムの基地をぶっ壊したり、地上の機械怪物を牽制したりとかなり多芸。
スペードマシーン
スペードエース専用マシン。
マッハダイヤ
ダイヤジャック専用マシン。
ハートバギー
ハートクイン専用マシン。
オートクローバー
クローバーキング専用バイク。
あらゆる場所を走行できる万能戦車。
技
ジャッカーコバック
敵の周囲を取り囲むようにスクラムを組み、頭部を密着させて四大エネルギーを送り込んだのちに蹴り上げ、右腕を突き出してエネルギーをスパークさせる事で対象を爆殺する(後半では蹴り上げからそのまま爆散させている)。ビッグボンバーが登場するまでこの技がメインの必殺技であった。派生技に敵を四方からバットで殴りつけると同時にエネルギーを送り込むジャッカーコバックホームランがある。
スペアエネルギー
体内のスペアエネルギーで解毒を行う。
ジャッカーハリケーン
4人が腕を組んで回転しながら周囲の敵をなぎ倒す戦法。
電撃キック
4人同時で放つ飛び蹴り。
ジャッカークロス/ジャッカーアタック時間差攻撃
前者はスペードがジャンピングパンチした後にジャックとキングが飛び蹴りを放つ技、後者は4人が時間差で攻撃を放つ戦法となっているが、いずれもアイアンクローに対して使用するもあまり効いていなかった。
各話リスト
サブタイトルの規則としては、前期は「数+トランプ関連等の英語+〇〇」、中期は「色+△△‼+〇〇」、後期は特に規則は無くなる。
音楽
主題歌
- ジャッカー電撃隊(OPテーマ)
作詞:石森章太郎/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:ささきいさお、こおろぎ'73
- いつか、花は咲くだろう(EDテーマ)
作詞:八手三郎/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:ささきいさお
挿入歌
- J.A.K.Q. 進めジャッカー
作詞:八手三郎/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:ささきいさお、こおろぎ'73、ザ・チャープス
- スペードエース若き獅子
作詞:八手三郎/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:ささきいさお、ザ・チャープス
ビッグボンバーのテーマとして後半は使用された。
- それが始まりだった
作詞:石森章太郎/作曲:渡辺宙明/編曲:武市昌久/歌:前川陽子
カレン水木のテーマソング。
- ジャッカーコバック
作詞:石森章太郎/作曲・編曲:渡辺宙明 / 歌:ささきいさお、こおろぎ'73、ザ・チャープス
- ジャッカーマシンロック
作詞:八手三郎/作曲:渡辺宙明/編曲:武市昌久/歌:ささきいさお
東竜メインの回でメロディーが使用されたため、実質的な彼のテーマ曲になった。
- 行け!スカイエース
作詞:八手三郎 / 作曲・編曲:渡辺宙明 / 歌:ささきいさお、こおろぎ'73
- クライムのテーマ
作曲・編曲:渡辺宙明/台詞:アイアンクロー/コーラス:ザ・チャープス
- ジャッカー愛のテーマ
作詞:八手三郎/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:ささきいさお
関連作品
1978年公開の劇場版。本作と前作『秘密戦隊ゴレンジャー』のクロスオーバー作品。
2001年8月10日発売のVシネマ。『百獣戦隊ガオレンジャー』と歴代スーパー戦隊シリーズのクロスオーバー作品。
本作から番場壮吉/ビッグワンが登場。
2011年6月11日公開の劇場版。『海賊戦隊ゴーカイジャー』と『天装戦隊ゴセイジャー』を中心としたスーパー戦隊35作記念作品。
本作から番場壮吉/ビッグワンが登場。
余談
- 昔はゴレンジャー同様スーパー戦隊シリーズにカウントされなかった時期がある。詳しくはスーパー戦隊シリーズの項にて。
- 長いスーパー戦隊の歴史で「変身道具が常時携帯出来ない唯一の戦隊」である。
- これは桜井五郎/スペードエース役の丹波義隆氏が変身ポーズを取るのを頑なに嫌がった事による止むを得ない措置と言われることがあるが、実際には丹波氏が変身ポーズに照れを感じていたことは事実であるものの、カプセルで変身することは最初から決まっており、当初は照れを感じていたポーズも実際にやり始めると気持ちよさを感じ、自分がヒーローであることを実感して夢中で取り組んだとのこと。
- 変身シーンに挿入されるナレーションはほぼ全て新録。聞き比べるとイントネーションや内容が微妙に違う。
- 登場時に投げつけるのは任天堂製のトランプ。スペードのものははっきり「NINTENDO」と書かれている。
- 同時期に放映された『5年3組魔法組』第22話に初期メンバー4人がカメオ出演している。
- 名乗りの際の並びは左からダイヤジャック・スペードエース・クローバーキング・ハートクインの順で固定。頭文字が「JAKQ(ジャッカー)」になる。また名乗りの順番はエース→ジャック→クイン→キングだが、25話のみクインとキングが逆。
- アトミック魔女と戦った第23話のみ、魔女の乗った車の前にこの並びで立ちはだかる→ジャンプで高台に飛び移って振り向くという流れだったため左右が逆になっている(直後のカットインは流用であるため通常の並び)。
- 掛け声ではないが、作中ではジャッカーの姿になることを「チェンジ」と呼んでおり、半ば時代を先取ったものとなっている。仮面ライダーの「変身」との区別化の他、ポーカーの「チェンジ」から来ていると考えられる。
- 企画時や初期タイトルで使用されたタイトルはその後の電撃戦隊チェンジマンや科学戦隊ダイナマン 特捜戦隊デカレンジャーに再用された。
- 前作『秘密戦隊ゴレンジャー』がニコニコ動画にて2024年6月1日に最終回が配信されたことで本作も予定通りならそれに続く形で公式配信がスタートするはずだったのだが、2024年6月8日にあった同サイトがサイバー攻撃の被害を受けたことにより、第一話の公式配信すら実現しないどころかアナウンスすらもないというエターナる以前の状態が半年近くも続いていたが、2024年12月7日をもってようやく公式配信がスタートした(ちなみに『魔法戦隊マジレンジャー』も同様の被害を被っており、ジャッカーから約一週間遅れて同年12月13日に公式配信が再開した)。
関連イラスト
関連動画
関連タグ
氷河戦士ガイスラッガー:ジャッカー同様の石ノ森原作のサイボーグ戦隊。
電撃戦隊チェンジマン:同じく"電撃"の名を冠するスーパー戦隊。そのため、2022年から放映されたスーパー戦隊に登場する敵に関して、ある議論を起こすことになった。
超力戦隊オーレンジャー:三浦参謀長が番場壮吉と同一人物との噂アリ。
未来戦隊タイムレンジャー:最終回で紹介され、この時代には既にサイボーグ化手術が確立されていた事でアヤセを驚愕させた。また、ジャッカー同様敵組織に警察的捜査権限を持つスーパー戦隊でもある。
百獣戦隊ガオレンジャー:VSスーパー戦隊で番場壮吉(ビッグワン)とスペードエースが登場。
特捜戦隊デカレンジャー、警察戦隊パトレンジャー:いずれもジャッカー同様敵組織に対して警察的捜査権限を持つスーパー戦隊。
海賊戦隊ゴーカイジャー:劇場版で番場壮吉が登場。また、本編でもゴーカイチェンジによる出番が多い。
トランプ公爵:ジャッカーとは逆にトランプをモチーフとした戦隊怪人。
邪鬼:ジャッカーを歪めた戦隊怪人。ちなみに登場作品自体がジャッカーのリブートと言える作品だったりする。
仮面ライダー剣:トランプをモチーフとした特撮作品として共通している。映画「スーパーヒーロー大戦」では、仮面ライダーディケイドが変身した仮面ライダーブレイドに対抗して、ゴーカイレッドがスペードエースに変身した。
ドキドキ!プリキュア:トランプモチーフの初期メンバー4人という作品という点で共通している。→ジャッカー!プリキュア
秘密戦隊ゴレンジャー → 本作 → バトルフィーバーJ