概要
1978年、日本のSF作家豊田有恒氏が「ダイノサウルス作戦」において、ドロマエオサウルス類(所謂「ラプトル」)から進化した知的恐竜を登場させたのがそもそもの発祥とされる。(…あれ?)
多くの場合小型肉食恐竜(トロオドン、ドロマエオサウルス類、オルニトミムス類等)から進化するものとして想像される。
これ以外にも、植物食恐竜ヒプシロフォドンの仲間や、恐竜以外の海生爬虫類モササウルス、さらには翼竜を祖としたものも存在する。
アニメ「恐竜惑星」に登場する草食恐竜から進化した恐竜人間に関しては、体毛と尻尾が確認できる。これは祖先となる恐竜が極圏に生息していたことに由来する。
生物学的観点
正確には鳥も恐竜に含まれるが、鳥類をベースとしたものは、住み別け上、「鳥人」を用いる事が望ましい。
1981年、カナダの生物学者デール・ラッセル氏がトロオドン(当時は「ステノニコサウルス」と呼ばれていた)から進化した知的恐竜を復元・公表し、これに「ディノサウロイド」と名付けた。
ディノサウロイドの発表後、こうした「知的恐竜」の存在がSF小説の片隅を賑わすこととなる。
図鑑などに載っている一般的なディノサウロイドは次のような特徴を備えている。
・人間のような直立姿勢
・大きな目や頭
・頬がほとんどない口角
・退化した尻尾
その姿は、人間と爬虫類とグレイタイプの宇宙人を合わせたような姿である。
ディノサウロイド公表当時、羽毛恐竜がまだ一般的ではなかったためか、皮膚は全身鱗におおわれて、一切体毛を持っていない。
だがこれには、トロオドンにないはずの鎖骨があったりヘソがあったりと、その姿がやや人間的過ぎるという批判も存在する。
学者が考えた想像図や模型があるものの、それらは想像の産物にすぎない。
さらに、近年における恐竜人類は直立歩行もせず、もっと恐竜の姿を保ったまま知的生物に進化したとする意見もある。
また、ディノサウロイド発表当時に比べ恐竜の復元図自体が大きく変化している。
そのため、恐竜人間がこうあるべきという答えは存在しない。
ティラノサウルスのような獣脚類の他、竜脚類等から進化した恐竜人類とて、可能性はゼロではないのだ。
フィクションで描く際は創造力豊かに、でも無理の出ないように描いてあげよう。
フィクション化する際の注意事項
知的生命である為に必要とされる条件は、
- (a):周りを探るための知覚器官の発達(両目視できる目など)
- (b):コミュニケーションの発達(言葉で会話する、腕の羽毛を用いてコミュニケーションを取る等)
- (c):工作のできる器官がある(モノを掴める構造の手があるか)
以上3つが挙げられる。
ただし「健全ロボダイミダラー」のペンギン帝国のペンギンコマンドは(c)が見当たらず、
野尻抱介の「ふわふわの泉」には「タンポポに似た」知的生命が登場する。
必ずしも厳密な定義ではないことに留意したい。
萌え属性
半獣人などの亜人系キャラクターと類似したデザインで描かれることが多い。
具体的に言えば顔は人間そのもので、尻尾があり手足が恐竜もしくは下半身(+手)のみが恐竜であるなど。
始祖鳥やミクロラプトルなどがモチーフだとハーピーのような外見にもなる。
これに限らず、人によってデザインや設定は様々で、
恐竜要素は尻尾だけや牙だけであったりするもの、
異色肌で全身鱗や羽毛で覆われているが輪郭自体は人間とほぼ変わらない外見であるもの、
外見上は普通の人間と全く大差ないが設定上では恐竜から進化した人類である、とされているものもある。(恐竜戦隊ジュウレンジャーのメイン人物など)
恐竜人間キャラにおける頻繁に見られる特徴として、大体は人間の顔をしながら恐竜特有の荒々しかったり、凶暴であったりするなどの性格をしているものが多い。
頭髪がある場合、その頭髪は羽毛が変化したものであるという設定がなされていることもよくある。
通常は直立歩行をする獣脚類がモチーフであることが多いが、竜脚類がモチーフである場合は所謂タウル体型で描かれていることもある。
女性キャラで描かれるものが多く、特にその場合は恐竜娘のタグが付けられていることもある。
モンスター娘ジャンルの中にも恐竜人間や恐竜娘に該当するキャラクターが時折存在する。
萌え属性としての一例
また、頭部が完全に恐竜のままである場合は「恐竜人」(きょうりゅうじん)とされ、ケモノ属性のうちの獣人や竜人などに近いニュアンスで描かれることが多く、上記のような恐竜人間とは若干異なるジャンルとして扱う場合もある。
詳しくは該当記事を参照。
恐竜人間が登場する作品
ここでは恐竜人間が登場する主な版権作品とその紹介を記す。
アニメ
作品名 | 紹介 |
---|---|
恐竜惑星 | 肉食恐竜トロオドンから進化した恐竜人類「ギラグール」と草食恐竜レエリナサウラから進化した「フォロル」が併存。ただし、彼らのファーストコンタクト時「トロオドン人はレエリナサウラ人を単なる新種の草食恐竜と思い、食料として扱った」為に彼らの間には拭いがたい対立関係がある。 |
ゲッターロボ | ゲッターロボの動力源でもあるゲッター線に適応できなかった恐竜人類が現代によみがえり、恐竜を改造した兵器メカザウルスで侵略を開始するロボットアニメ。恐竜と爬虫類(および両生類)が混同されているのはご愛嬌! |
ドラえもんのび太と竜の騎士 | バンホーさんやナンジャ族など。ちなみにナンジャ族は祖先となる恐竜が恐竜だけに、後のギラグールにちょっと似ている。 |
アーロと少年 | ピクサー制作の隕石が落ちなかったために、恐竜が見た目はそのままに高度な知性を得た世界が舞台のCGアニメ。この世界で共存する人類よりアーロを筆頭とした恐竜のほうが理性的。 |
ダイノソーサーズ | 1987年のアメリカとカナダの合作アニメ |
特撮
作品名 | 紹介 |
---|---|
ウルトラマンティガ | 宇宙人ナーガによって進化させられ使役されていた種族。前述したディノサウロイドがモデルである。 |
恐竜家族 | アメリカで制作された、姿以外は人間と変わらない生活をしている恐竜人間のホームコメディドラマ。 |
恐竜王国 | 敵の3馬鹿が恐竜人間 |
恐竜戦隊ジュウレンジャー | ゲキ曰く「恐竜から進化した」とのことだが、姿は哺乳人類と変わらない。「すごい科学で守ります!」では、同戦隊シリーズのタイムレンジャーで起きたある事件により、恐竜時代へ飛ばされた現生人類の子孫ではないかと考察している(※無論、公式設定ではない) |
ざわざわ森のがんこちゃん | 恐竜人間のがん子ちゃん一家だけではなく、擬人化された動物が出てくるNHKの人形劇教育番組。実は人類の文明崩壊後という設定。 |
スーパーマリオ 魔界帝国の女神 | スーパーマリオを実写化したアメリカ映画。舞台の「ダイノハッタン」の住人は地下に独自の文明を築いていた恐竜人という設定だが、見た目は人間と同じである。逆進化銃の力で恐竜的な姿に変貌する。 |
獣電戦隊キョウリュウジャー | 超古代文明があったことを示唆するセリフがトリンから語られている。 |
電人ザボーガー | 終盤の敵は恐竜が進化したドラゴン族による「恐竜軍団」 |
戦闘少女 血の鉄仮面伝説 | 主人公サイドが恐竜から枝分かれして進化したとされる知的生命体「ヒルコ」で、現生人類よりも優れた力を持つため迫害されるが、外見に恐竜要素は無い。 |
スタートレックヴォイジャー | 地球を脱出した恐竜の子孫であるヴォス人が登場。なお宗教やイデオロギー上の理由で地球が起源であることを認めていない |
漫画
作品名 | 紹介 |
---|---|
クロノアイズ | 上記の「すごい科学で守ります!」の作者でもある長谷川裕一作のタイムパトロールを描いた漫画だと思いきや…想像図とはかけ離れた色彩の恐竜時代に、間脳を進化させた恐竜人が登場。 |
国立博物館物語 | 岡崎二郎作のSF漫画。博物館のAIが作り出した仮想現実のIF世界に恐竜人が文明を持つ世界が登場。その未来とは… |
ジャバウォッキー | 各恐竜が進化した「氏族」が、人類の歴史に関わる19世紀が舞台の漫画。作者は恐竜界のレジェンド、ヒサクニヒコ氏のご子息である久正人氏。 |
D-ZOIC | 恐竜の研究でも有名な所十三作の何故か恐竜と共存する人類の歴史物語漫画。当初は人類同士の争いだったものが、第2部より擬竜「リュウモドキ」を操る竜人「擬人」との争いになっていく。 |
未確認少年ゲドー | 岡野剛作のUMAをテーマにした作品。作中登場する矢番影人(やばんかげと)はトカゲ人間といわれるが恐竜が進化した存在で、髪は拡大すると羽毛のように枝分けれしている。人間に擬態するため鱗をはがす必要があり難儀する。 |
T-REXな彼女 | pixivユーザーである三三(さんぞう)氏による恐竜人間である彼女との生活を描いた作品。 |
シャヤヤの星 | 笠原倫作の20世紀の地球そっくりの文化を持つ惑星に住む、恐竜人間の少年シャヤヤの日常を描いた短編。最近目の上に毛を持つバカバカしい姿の宇宙人の目撃事件があり… |
ゲーム
作品名 | 紹介 |
---|---|
カセキホリダー | 「ディノリアン」という半人半竜の宇宙人が登場する。普段は人間と同サイズだが、戦闘時に恐竜の姿になったりもする。 |
クロノ・トリガー | 様々な時代にタイムスリップし、滅亡の未来を回避しようとするRPG。原始時代では人類の先祖と恐竜人の生き残りが争っていた。 |
神聖紀オデッセリア | かつては高度な文明を誇っていたが、氷河期に数を減らし細々と暮らす竜人が登場。最近知恵をつけてきた猿どもに困っている。 |
トーグ(TORG) | アメリカ産のTRPG。北米に侵攻した異世界「リビングランド」は、恐竜時代の世界で恐竜人「エディーノス」が住んでいる。この世界の法則では加工して造られた道具は「死せるもの」として機能しない。 |
摩訶摩訶 | バグの多さから伝説のクソゲーといわれるRPG。主人公とヒロインの前世は恐竜人類である「シャバシャバ族」と「ニャバニャバ族」であり物語に関わってくる。 |
魔天伝説 | オカルトがテーマのRPG。黒幕による時空異常で九州に恐竜人が住むIFの世界が出現。魔物と化した邪恐竜と戦うため、人間である主人公たちは呪いで奇妙な姿にされたと嘘をついて村に侵入した。 |
46億年物語 | 進化をテーマにしたパソコン用RPG。最初は古代魚類からスタートし恐竜人間にも進化できるが、主人公よりも先行して進化していたが、結果滅びてしまった恐竜人「ルナリアン」も登場する。 |
ワンダープロジェクトJ2 | 作中の伝説で恐竜人「マジテカ」について語られる描写が確認出来る。 |
Fate/GrandOrder | 第二部第七章「黄金樹海紀行ナウイ・ミクトラン」の住民は「ディノス(恐竜人)」であり、異端の賢人星詠みのテペウがカルデア一行の協力者となる。 |
小説
作品名 | 紹介 |
---|---|
恐竜探偵ヴィンセント・ルビオ | エリック・ガルシア作の、人間社会にまぎれた恐竜人間の探偵が活躍する探偵小説シリーズ。 |
ダイノサウルス作戦 | 豊田有恒作の1978年に書かれた小説。世界で、最も早く恐竜人類についての生物学的設定考証をしたと言われている。 |
自航惑星ガデュリン | 人工惑星であるガデュリンを舞台にしたSFシリーズ。内部はファンタジー風の世界だが、「黒ドラゴン」は創造主ガヴァナーが地球で高度な精神文明を築いていた恐竜を不死化して保護したものだった。 |
ゴブリンスレイヤー | ファンタジー小説ではあるが、作中登場するリザードマン「蜥蜴僧侶」は使用する奇跡から恐竜人間であると考察されている。 |
ダイノコンチネント | 恐竜時代にタイムスリップしてしまい、ギフトと呼ばれる超能力に目覚め生き延びた一団の子孫が活躍する山本弘主導のシェアードワードノベルズ。化石未発見の知的恐竜が登場。 |
その他
作品名 | 紹介 |
---|---|
ウェスト・オブ・エデン | なんと水棲動物であるモササウルスから進化したという設定。モササウルスは厳密には「恐竜」ではないが、関連が深いものとしてここに掲載する。 |
サイボーグ009 | 魚竜(「恐竜」ではない)の生き残りが進化した海底人が登場 |
ペルシダー | 翼竜(「恐竜」ではない)の生き残りが進化した地底人が登場 |
マーシャル博士の恐竜ランド | 恐竜だらけの世界に住む爬虫類種族が登場(祖先が恐竜だとは明言されてない) |
ドクター・フー | 地球の先住民である爬虫類種族サイルリアンが登場。なお初出が1970年で恐竜人類という概念もなく、また長いシリーズなので設定についても劇中でシルル紀が起源と言われることもあれば新生代古第三紀始新世(白亜紀の直後)にいたと指摘されることもありシリーズによって設定が安定しない。初登場時は半魚人のような見た目だったがシリーズが続くにつれて恐竜人類のような見た目と設定描写になった。なお海外では有名なのか真面目な古生物学の論文で思考実験に使われ、サイルリアン仮説と名前まで付けられた |
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