※この恐竜について
この恐竜の学名は現在、訳あって疑問名となっているのは事実であるが、他メディアでは寧ろ現在もこの学名が使われることが多いため、このPixiv百科事典では、敢えてこの恐竜の学名をメインとする。なお表記に関しては2024年現在、トロオドン類のうち種が断定できないいわゆる Troodon sp. のもののみをトロオドン表記とした方がいいだろう。
概要
およそ7500万年前の北アメリカに生息していた小型の獣脚類恐竜の一属。トロオドン科に属し、ドロマエオサウルス科(いわゆるラプトルの仲間)と近縁である。鳥類とも近縁。体長は2m弱だが、アラスカの個体は倍以上になったとする説もある。
目下、トロオドン・フォルモススと(異論も無くはないが)T.イネクアリスという2種が存在する。
体つきはヴェロキラプトルなどと似ているが、前肢は短く、尾は骨化腱で補強されていない。また、後肢の第2指(人差し指)の爪はさほど大きくはない。
従来は肉食(アラスカで発掘されたエドモントサウルスの亜成体の化石からトロオドンの歯型が多数残っていた等)とされてきたが、最近になって雑食傾向が強かったのではないかという説が浮上している。「傷付ける歯」を意味する名前の由来となった歯の鋸歯の大きさが並外れて大きくプラテオサウルスなどの古竜脚類のものに酷似していることや、植物食とされるパキケファロサウルスなどの堅頭竜類も同様の歯の形をしていることが理由である。
脳は恐竜の中では極めてよく発達しており(ただしこれは小型獣脚類全般に言える)、「最も賢い恐竜」としてしばしば紹介される。1960年代、『デール・ラッセル』(ダスプレトサウルスなどを命名した学者)の研究において、「もしトロオドン(当時はステノニコサウルスと呼ばれていた…後述)が絶滅せずに進化を続けていたら、どのような生物になったのか?」という思考実験が行われた。結果誕生したのが「恐竜人間」・ディノサウロイドである。
中国産の近縁種の研究から、全身を羽毛に覆われていたとされている。また、巣や卵・幼体の化石も発見されている。抱卵した個体の大腿骨に卵のリンやカルシウムの供給源、骨髄骨がなかったことから雄の可能性があり(直接証拠ではない)、雄が子育てをするなど社会性があったとも考えられる。
命名と発見の歴史
トロオドンが命名されたのは1856年とかなり昔のことである。当初はトカゲの仲間とされていた。
命名からしばらくの間、歯の化石しか見つからなかったトロオドンだが、1924年に最初の転機が訪れる。以前発見されていたステゴケラスの化石が、トロオドンのものである可能性が浮上。こうして、その後しばらく堅頭竜類の化石は全てトロオドン属とされた。その中には後にパキケファロサウルスと呼ばれる化石も含まれていた。
が、1945年になり、「トロオドンって獣脚類じゃね?」という説が急浮上。こうして再びトロオドンの姿は闇の中に…。そうこうしている間にひっそりと、「ステノニコサウルス・イネクアリス」や「ポリオドントサウルス」という小型獣脚類が命名された。
その後、1960年代の終わりから続々と「ステノニコサウルス」の化石が発見された。やがて、1987年に、「ステノニコサウルスとポリオドントサウルスの歯ってトロオドンと区別できないから同属でいんじゃね? あとペクティノドンも」という説が提唱された。これといって反対意見も出ず、こうしてこれらは全てトロオドン・フォルモススとなったのであった。さらにこの頃、トロオドンのおおむね完全な骨格や、巣、卵や幼体の化石も発見された。
こうして、北米産のトロオドン科の恐竜を全てT.フォルモススとすることで決着がついたかに見えたが、2000年代に入り、「やっぱりステノニコサウルスとトロオドンて一緒にしない方が良いのでは?」といった意見や、「トロオドンとペクティノドンって生息年代が1000万年違うんですけど…」といった意見が噴出。現在では「ステノニコサウルスはトロオドン属に含めるけど違う種(→結果、T.イネクアリスとなる)」、「ペクティノドンは復活」ということで落ち着いている。ポリオドントサウルスは犠牲になったのだ…。
古代王者恐竜キング
2007第1紀からわざカードの恐竜として「わざふうじ」に登場。わざの効果を考えると甲虫王者ムシキングのカマキリにおける立場といえる。
ショルダーネームは「狡猾な知能犯」。
「7つのかけら」ではわざ封じ系がヴェロキラプトルの担当になったため、MPに関わるわざに登場する。
- MPチャージ
2ターンの間MP回復量が倍になる
- MPふうじ
2ターンの間、相手はMPが回復しない
- エンドレスMP
2ターンの間、MPを消費しない
その他の創作
知能が高いとされ、恐竜人間(ディノサウロイド)に進化したかもしれないという説のため、創作などにも登場する事が多い。ドラえもんの「のび太と竜の騎士」や、恐竜惑星には、トロオドンから進化した知的種族が登場する。
ジュラシックパーク
映画には現時点では登場を果たしていないが、一作目の後日談を描いたJurassicPark:TheGameにて登場。
あのラプトルでさえ飼育を容認したジョン・ハモンドも殺処分を命じたというとんでもない肩書を引っ提げて登場し、その肩書に見合う危険性で主人公一行に襲いかかる。
夜行性で社会性のある習性が描かれたが、真の恐ろしさはそこではなく致死性の猛毒を持つ点である。これは獲物に幻覚を見せ最終的に脳死に追い込む驚異的な威力を持ち、解毒剤を手に入れるため主人公等はパーク内を捜索する羽目になる。