発見と命名
1921年にカナダ・アルバータ州のオールドマン層から最初の化石が発見されたが、当初はゴルゴサウルスの一種とされた。1970年になって新種と判明し、恐竜人間を提唱した古生物学者デール・ラッセルによって「ダスプレトサウルス・トロスス」と命名された。ダスプレトサウルスとは「恐るべき爬虫類」を意味し、種小名トロススは「たくましい」を意味する。
2017年には、アメリカ・モンタナ州トゥーメディスン層で発見されていた化石が、D.トロススより進化した特徴が見られたことから、新種D.ホーネリとして記載された。こちらは「ティラノサウルス腐肉食説」などで有名な古生物学者ジャック・ホーナーにちなんでいる。
更に2022年には、モンタナ州のジュディスリバー層より発見されていた化石が第3の種として、D.ウィルソニとして記載された。
この3種の他にも、未命名の種がいくつか知られており、一部は新属新種の可能性が高い。かつてニューメキシコ産ダスプレトサウルスとされた化石は、最近ビスタヒエヴェルソルとして再記載された。また、タナトテリステスをダスプレトサウルス属のシノニムと見做す研究者もいる。
特徴
ティラノサウルス科の獣脚類で、全長は9メートルほどとされているが、推定全長が10メートルを超えるのではないかと言われる個体(断片的な化石のみ)も知られている。なお、ティラノサウルス科の中ではかなり前肢が発達している(あくまでティラノサウルス科の中での話だが)。
かつてはティラノサウルス属の一種と考えられた時期もあったが、生息年代が数百万年も離れている事や、骨格の構造がティラノサウルス・レックスに比べて華奢な事などから、現在では否定されている。とはいえ、ティラノサウルスに極めて近縁であることは系統解析からも支持されており、ティラノサウルスの直系の祖先であった可能性はままある。
生態
棲息していた時期はカンパニア期(約7700~7400万年前)で、アルバートサウルスやゴルゴサウルスと共存していたが、華奢なこの2種はパラサウロロフスなどの身軽なカモノハシ竜を餌とし、がっしりした体型で頑丈な歯を持つダスプレトサウルスはセントロサウルス等の角竜やエウオプロケファルス等の鎧竜を捕食することで、うまく共存できていたと言われることが多い。
モンタナ州では年齢の違うD.ホーネリの3個体の化石が一ヶ所からまとまって発見されたことから、群れを形成していた可能性が指摘されている。ただ、アルバータ州で見つかった頭骨には共食いらしき痕跡も確認されており、現生哺乳類に見られる「統率のとれた」群れであったかは不明である。
メディアでの活躍
群れで狩りをしたとされることから、ドキュメンタリー作品でも主役として取り上げられることが多い。
- 黒川みつひろ作「トリケラトプス」シリーズ
シリーズ第1作から「ダス」という名のキャラクターが登場。近年ではその息子・プレトも登場している。
主人公リトルホーン達の敵として立ちはだかったり、時に強大な敵を前に共闘したりしている。
2007第2紀から登場。炎属性。
ティラノサウルス科にとっては待望の高位の恐竜(つよさ1800とやや高め)で、発動すれば相手を一撃で倒してしまう超わざ「デスファイア」が同時に登場した事からか人気を博した。
- 本作ではティラノサウルス以外の同科の扱いが悪く、強さ1800以上が本種とティラノサウルスしかいないのに強さ1200以下はシャモティラヌス(当時はティラノサウルス科に分類されていた)ティラノサウルス科となっている。わざカードの肉食恐竜を除いた中でもそこまで小さくない恐竜も登場しているのだが…
- 強さ1400で登場したティラノサウルス科はいない。強さ1600も固有名詞付き恐竜の「ティラノ(ディノテクター恐竜除く)」だけ。
登場時期のせいか、「炎のたまご」には入っているカードと入っていないカードが混在している。
バトルタイプは2007第2紀から2007第4紀+とDS「7つのちから」ではそっこうタイプ、激闘!ザンジャークではまもりタイプ。必殺わざはチョキ、キャッチコピーは「帝王の系譜」。
目覚めよ!新たなる力!!ではスーパー恐竜も登場した。
カードの説明文には「ティラノサウルスによく似た肉食恐竜。がっしりした体と強いアゴが特徴」と書かれている。
ちなみに「7つのちから」では発掘では見つからないレア恐竜。クリア後に「ストーンヘンジ」で草水雷雷土土水草風と入力してみよう。
テレビアニメでは第18話で登場。トーチの火花がカードに当たった事によってバリ島に現れた。わざカードは「ビッグファイアボム」が入っていた他、バリ島の祭りの音楽に合わせて踊っていた。
第1期の最終話ではブラックティラノサウルスと戦った。
主人公ユタ・パイ・ロンの故郷ナーガの森の頂点捕食者として「ダスのオヤジサマ」と呼ばれる個体が登場。
ナーガでは頂点捕食者とされてはいるものの、実際のところは掃除屋(スカベンジャー)であるらしく、劇中ではナノチビの母の亡骸を食べに来ていた。
「絶滅した狩人 ダスプレトサウルス」において、命名前のD.ホーネリのリトル・ダスが主人公として登場している。
第3話「最強のハンター」にて登場。
当時の頂点捕食者として描かれており、カスモサウルスと互角のタイマンを演じて引き分ける描写がある。
その一方で狩りの為に群れを作るが、群れに統率はなかったという復元がされている。