データ
白亜紀後期アメリカ(アラスカ州)プリンスクリーク層から産出しているティラノサウルス科の獣脚類。
属名は「ホッキョクグマのトカゲ」を意味する。発見当初はゴルゴサウルスと考えられており、よく映画やドキュメンタリーで取り上げられる「アラスカ産ゴルゴサウルス」は本種のことである。
この恐竜の最大の特徴はそのサイズである。白亜紀後期のアラスカは現在ほどではないものの、中生代としては非常に寒冷な地域であった。こうした寒冷な地域に棲息する動物には、体温維持のために温暖な地域の近縁種より大型化する「ベルクマンの法則」が見られ、同時期のアラスカに棲息したトロオドンは温暖な地域に棲息するものより2倍も大型化していた。しかしナヌークサウルスは最大でも全長7メートルほどにしか成長せず、同時期の温暖な地域に棲息したアルバートサウルス(最大全長11メートル近くになる)と比べて明らかに小型であった。なぜナヌークサウルスにはベルクマンの法則が成り立たなかったのかは未だに不明だが、当時のアラスカでは冬の間は太陽が昇らない時期もあり、主に嗅覚を頼りとするティラノサウルス類にはあまり行動しにくい環境であったため、あえて食料が少なくてすむ小型化の道を選んだのではないか、などと考えられている。
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恐竜超世界:2019年にNHKにて放映されたドキュメンタリー番組にて本種が登場。全身を真っ白な羽毛に覆われた姿で描かれている。