アルバートサウルス
あるばーとさうるす
1884年、カナダのアルバータ州で最初の化石が発見され、1905年にアメリカ自然史博物館の古生物学者ヘンリー・F・オズボーンによって「アルバートサウルス・サルコファグス(肉を喰らうアルバータ州の爬虫類)」と命名された。
一時はゴルゴサウルス・リブラトゥスがアルバートサウルスの一種とされたことがあったが、現在では独立した属とされることがほとんどである。こういった事情もあり、北米の華奢型のティラノサウルス科が全てアルバートサウルス属にぶち込まれていた時期もあった。
現在では、アルバータ州・ホースシューキャニオン層から産出するA.サルコファグスのみが有効な種とされている。
同じくアルバータ産のA.アルクトゥングイスはA.サルコファグスのシノニムとなり、ティラノサウルスと同じ地層から発見されたA.メガグラキリスは「ディノティラヌス」として独立したのち紆余曲折あってティラノサウルスの亜成体となった。また、かつて「アラバマ産アルバートサウルス」と言われていた標本はアパラチオサウルスとなった。
化石はアルバータ州から発見されている。アラスカやモンタナ、ワイオミング、ニューメキシコ、メキシコのバハ・カリフォルニアからの報告例もあるが、これは暫定的な分類に過ぎず、本当にアルバートサウルス属かは疑わしいものが多い。
ティラノサウルス科の獣脚類であるアルバートサウルスは、直前の時代に生息したゴルゴサウルスと極めてよく似ている。また、ダスプレトサウルスにも似ている。だが、こちらのようにラプトル型のような仮説もある。
一般に全長9メートル・体重3トン程度とされているが、アルバータ州では11メートルに達すると思われる化石が発掘されている。
ティラノサウルスに比べてスマートな体型をしており、時速30~50キロで走れたと考えられている。
推定全長3~4メートルの亜成体から11メートルに達する成体を含む26体の化石がまとまって発掘されており、群れで狩りをしていたとする説がある(哺乳類のような統率のある群れだったかは不明)。当時の北米大陸では、最も恐れられた恐竜だったかもしれない。
しかし、アルバートサウルスも無敵だった訳ではない。近年発掘された化石には、当時生息した全長11メートルに達する巨大ワニのデイノスクスに噛まれ、治癒した跡が残っていた。大型肉食恐竜と言えども、捕食される危険はあったようだ。