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概要

18661月13日-194910月29日アルメニア出身。


いわゆる神秘思想家にカテゴライズされる人物。


活動内容は多岐にわたるものの、その出自には謎が多く生年月日も定かではない。

また胡散臭い人物としてやり玉にあがることも多いが、当の本人が「私を信じる必要はない。むしろ自らを証明しえないものは何も信じるな」と突き放す態度をとっている。


その思想や教義は難解とされるが、主に「人間は機械である」という考えを持っており、「人類は惑星や宇宙の維持のために、戦争から日常の痴話喧嘩まで起こされている」という考えを一貫して主張し、彼の活動の多くが、それを自覚する、もしくは抗うための指南であることが多い。


またエニアグラムの図形は、彼が初めて世間に公開したものであるとされる。しかしながら現在のような性格のタイプ診断的なものとしてではなく、あくまで事物のプロセスを説明する上で象徴となる図形であるとしていた。


主な著作に『ベルゼバブの孫への話 - 人間の生に対する客観的かつ公平無私なる批判』『注目すべき人々との出会い』『生は<私が存在し>て初めて真実となる』等がある。


また、講話録も多く存在しているが、弟子のひとりであったP・D.ウスペンスキーの『奇蹟を求めて』が本人の著作を差し置いて分かりやすい内容とされ評価も高い。一方で、グルジェフ氏本人は、その出版に長らく反対しており、自著である『ベルゼバブの孫への話』を読んだ後に読むべきだとしていたが、ほぼ同時期に出版され前者が広く読まれることになってしまった。



活動内容

グルジェフ氏の活動内容は多岐にわたり、今日でも確認できるものでも、執筆活動、スタディハウス等の団体の設立、講話、舞踏、作曲など様々である、しかしながら、どれも基本的に彼の「人間の機械性からの解放」という目標を掲げているものが主である。

その克服のために提唱されているのが「他人から不快な思いをさせられる場所に意図的に身を置くこと」「努力を意識的にすること」であるとしている。


スタディハウスについても、自身の弟子にわざと不愉快な思いをさせて突き放したり、もしくは和を乱す人間を追い出さず意図的に置いたりするエピソードなど、それらの片鱗がうかがえるものも多い。

その一方で同時にトラブルも多く、離反する弟子も多くおり、またエピソードも証言者によって細かな点が二転三転しているものもあり、今日では実像が掴みづらくなっている。


さらに、後年自動車事故を起こしており生死の境をさまよう経験もしているが、その事故が決定打となり、これまで神秘的な期待を抱いていた弟子も多く離反し、先のP.Dウスペンスキーもその一人であったとされる。


著作

グルジェフ氏は先の事故後、様々なトラブルに見舞われながらも復活し本格的な執筆活動を開始、森羅万象三部作というものを発表した。

それらは読む順番が定められており、三回繰り返し読んだ後で次の著作に移るよう指示されているが、第一の著作である『ベルゼバブの孫への話 - 人間の生に対する客観的かつ公平無私なる批判』はいきなりの内容の難解さと長さから挫折する人も多く(グルジェフも意図的に読みにくくしたと語っている)、その順番を守られずに読まれることも多い。ちなみに二部作目の『注目すべき人々との出会い』はグルジェフ氏の半自伝的内容で、文章は一般的で人気も高く、映像化もされている。

また、これらの三部作は翻訳される機会も多く、日本語でも出版されている。


  • 『ベルゼバブの孫への話 - 人間の生に対する客観的かつ公平無私なる批判』

いわゆるSF小説的内容

ベルゼバブと呼ばれる高度に知性や理性などが発達した宇宙人が、世界創造に対する反逆の罪で太陽系へ流刑となった。そして、火星などでの観測所の設立等、そこでの功績が認められ母星への帰還が許されることになる。その帰りの宇宙船で孫と再会し、太陽系時代の話をしていたところ、孫は地球の人間に興味を持ち、ベルゼバブは地球の話を始める。

独特の用語が多く文章も難解だが、「人類はなぜ争いをやめないのか」ということを主題にしており、その最大の原因を「地球が生成される際に起こった宇宙的な事故」及び「その際、宇宙の管理者である天使が応急措置として人類の肉体に取り付けた器官」のせいであるとしている。

その上で、イエスや釈迦やマホメット等といった聖人たちが受肉し、そこで伝えられた優れた習慣や教えも、どう曲解され、忘却され、人々の争い事へと発展していくのかという話題を繰り返し語っている。ある意味で「世界は変わらない」「戦争を止めることはできない」という絶望的な内容が軽快かつシニカルな語り口と難解な語句によって記述されている。

その中でベルゼバブは最終的に一般的な天使をも超える理性存在として進化し、地球人類が自身の機械性に抗うためのある一つの提言を導き出す。


  • 『注目すべき人々との出会い』

私のとって注目すべき人とは、機知に富む点で周囲の人々をしのぐ人間。本性の発露を自制することを心得ている人間、そして、他人の弱さに対し、公正に辛抱強く対処する人間の事である

森羅万象二作目にしてグルジェフ氏の半自伝

グルジェフ氏が青春時代に神秘的なことに興味を持ち、アジア各地を転々とし、その中で秘境団体と巡り合う自伝的内容。しかしながら、秘境団体そのものよりも、学生時代の恩師や父、友達、秘境団体を探す旅を一緒にした仲間たちを「注目すべき人々」として章立てし各エピソードが記されている。

一作目に比べ内容も読みやすく人気もあり、ピーター・ブルック監督で映像化もされている。


  • 『生は〈私が存在し〉て初めて真実となる』

森羅万象最終作にして未完

内容についての示唆は前作にあったが、そこで予告されていた内容はなく、思い付きで描かれたようなエッセイ的内容に講話録などが挿入されたりなど非常に不安定な内容。

その中でオレイジ氏という弟子をめぐってのトラブル、離反、和解、死別、それぞれの出来事が語られており、そこでの恨み節や後悔等グルジェフ氏の人間味が感じられる内容である。終盤に「自分に敵意を持った人間にはどのような超自然的作用が起こるか」といった内容を解説するも、その最中結構気になるところで終わっており未完。




  • 『奇蹟を求めて』

弟子のひとりであったP.D.ウスペンスキーによってグルジェフ氏の講話と彼の感想などがまとめられた著作。

ウスペンスキーはグルジェフを見かねて離反した弟子の一人だが、離反してなおもその思想体系は興味深いものとして持ち出している。

内容は非常に分かりやすくグルジェフ関連の著作の中でもっとも広く読まれているとされる。

しかしながら、グルジェフ氏本人は、その出版に長らく反対しており、自著である『ベルゼバブの孫への話』を読んだ後に読むべきだとしていたが、ほぼ同時期に出版され前者が読まれることになってしまった。入門書的内容だが読んでしまったら入門できないという矛盾した著作である。



格言

集団生活を行うスタディハウスの壁に特殊な文字で掲示されていたとされる格言。

氏の著作に従うならこれらは先の聖人が真に残した内容であるとされる。


-「それ」が好まないものを好みなさい。

  • 他人に教えることにより、自分も学ぶ。
  • 怠け者でない者だけを助けなさい。
  • 人が達成できる最高のことは、為すという能力である。
  • いつも、どこにおいても、自己を思い起こしなさい。
  • あなたがここへ来たのは、自己と闘うこと、自己と闘う必要を理解したからである、ということを思い起こし、機会を与えてくれるすべての人に感謝しなさい。
  • ここでは、指導し、環境をつくることはできるが、助けることはできない。
  • この家は、自己の存在が無であることを認め、(自己)改革の可能性を信じている人たちだけに役立つということを理解しなさい。
  • 悪いと知って行えば、償うのが困難な罪を犯す。
  • 人生で幸福を得る主な力は、常に外的に考慮し、決して内的に考慮しないという能力である。
  • 芸術を感情で愛してはいけない。
  • 父母を愛せば、善人の本当のしるしである。
  • 自分自身をあてはめて他人を判断すれば、めったに誤らない。
  • すべての宗教を尊敬しなさい。
  • われはワークを愛する人を愛す。
  • われわれは、キリスト教徒でありえるように奮闘できるだけである。
  • 他人のうわさで人を判断してはいけない。
  • 人々があなたに言うことではなく、あなたをどう思っているかを考慮しなさい。
  • 東洋の理解と西洋の知識を取り、そして求めなさい。
  • 他人のもののめんどうをみることができる人だけが、自分自身のものをもつ。
  • 意識した苦悩のみが意味をもつ。
  • 一時的に利己主義者である方が、一度も公正でないよりはよい。
  • 初めに、動物に愛を実行しなさい。動物は人間よりも敏感である。
  • ここでは、仕事(ワーク)が仕事のためにあるのではなく、それが単なる手段であることを思い起こしなさい。
  • 人生の条件が悪いほど、ワークは生み出す力を持ち、いつもあなたにワークを思い起こさせる。
  • 他人の立場に自分自身を置ける人だけが、公正である。
  • 生来の批判的精神を持っていなければ、ここに滞在するのは無駄である。
  • 「明日」という病いから自由になった人だけが、ここに来た目的を達成する機会を持つ。
  • 魂を持つ人も持たない人も祝福される。未発達の魂を持つ人に、不幸と悲嘆がある。
  • 休息は睡眠の量ではなく、質からくる。
  • 思い残さず、短時間眠れ。
  • 能動的な内面のワークに費やすエネルギーは、そのときその場で新しい補給に転換するが、受動的に費やすエネルギーは永久に失われる。
  • 自己についてのワークをする願いを呼び起こす最善の方法の一つは、自分がいつ死ぬかもしれないということを実感することである。だが初めに、いかにしてそれを心にとどめておくかを学ばなくてはならない。
  • 意識した愛は、同じ愛を呼び起こす。感情の愛は、反対の愛を呼び起こす。肉体の愛は、類型と両極性で決まる。
  • 意識した信仰は自由である。感情的な信仰は隷属である。機械的な信仰は愚かさである。
  • 大胆な希望は強さである。疑いをもつ希望は臆病さである。恐れを持つ希望は弱さである。
  • 人間は一定数の経験を与えられる。経験を節約すれば、命を延ばす。
  • ここにはロシア人も英国人も、ユダヤ教徒もキリスト教徒もいない。ただ1つの目的──「存在することができる」という目的を追求する人たちだけがいる。

めるくまーる社 グルジェフ・弟子たちに語る 前田樹子訳 より引用


関連項目

オカルトグルジェフベルゼバブ


  • マーク・トウェイン:「人間とは何か」という著作を弟子たちの課題図書にしていたとされる。
  • ベルゼバブ:「ベルゼバブの孫への話」において主人公に据えられた悪魔とされる存在。本編では悪魔という形容はされず、あくまで過去に反逆の罪を犯し太陽系に流刑になった高度に理性を発達させた存在とされており、実際に人間の感情活動や習慣、そしてそれらがもたらす目に見えない作用に対する洞察力などが非常に高い。一方で容姿は、髭の生えた老人の姿をしているが、尻尾や、また、かつてついていた角の存在などもあり悪魔的な容姿ではある。また、何万年にも渡って地球に住んでいて寿命も非常に長い。太陽系から帰還し、反逆の罪で取り上げられていた角を返してもらった際、角が進化し「聖ポドコーラッド」と呼ばれる「生物が獲得可能な最高理性」(「聖アンクラッド」と呼ばれ、生物に獲得できる最高理性とされる。)から一段下の理性存在となり、多くの天使たちがひれ伏すほど極めてまれな存在となった。一方でグルジェフ氏自身は前書きに「ベルゼバブ氏に賄賂を贈るうえで主人公にした」ということと、三部作目では「人の欠点をあげつらいたがる」といった意味合いでよくないものの例えとしてベルゼバブの名前を挙げており、ベルゼバブの提示する理性像とは若干異なっており謎が多い。

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