概要
アジアを代表するティラノサウルス科の獣脚類。全長9~10メートル弱・体重5トン程度とティラノサウルス(13メートル)よりは小柄だが、それでもモンゴルでは最大の獣脚類であり、アジア全体でもこれより大きいのは現時点でズケンティラヌスしか見つかっていない。
化石はモンゴル南東部、ネメグト盆地のネメグト層から発見されている。
多数の良好な標本が知られており、復元骨格は日本でも見ることができる。
近年2~3歳ほどの幼体の化石が発掘され、ティラノサウルス類の成長過程の解明につながるとして注目されている。幼体の歯は薄く、成体とは異なる獲物を食料にしていたようだ。
ケネス・カーペンターという学者は1997年と1999年に喉袋の存在を報告している。これはネメグト層の皮膚印象のある化石に基づくものだが、化石は収集されずに野晒しの状態で放置されてしまったため今後の調査は絶望的。カーペンター曰く、喉袋は大きな餌を飲み込むのに便利だったほか、カラフルな色をしていて求愛に使われたのではないかとのこと。
ティラノサウルスとの違い
かつてはティラノサウルスと同じ種類(同属)だとする説もあったが、タルボサウルスの方が華奢でやや細身、かつ前肢が60cm程と短く(ティラノサウルスは90cm程)、上から見た頭骨の幅もティラノサウルスの3分の2ほどと、骨格に多数の違いが見られる事から、現在では否定的な意見が優勢。
また原始的な特徴も見られる事から北米の近縁種の祖先ともされていたが、近年の研究では本種を含めたアジア産のティラノサウルス科は北米から再移動してきた可能性が示唆されている。
生態
ネメグト層における頂点捕食者だった可能性が高く、同時期に生息していたサウロロフスやデイノケイルス、オピストコエリカウディアといった大型恐竜の化石にはタルボサウルスのものとされる歯型が残されている。またオピストコエリカウディアは保存状態が良好なのにも拘わらず首から上がキレイに失われているため、恐らくは(洪水等で土砂に埋没しかけた)この個体の死骸を見つけたタルボサウルスが食いちぎって持って行ってしまったのではないかと考えられている(胴体から後ろは深く埋没していたため、食害を免れたとも推測される)。
なぜか多い個体数
本来、生態系の上位者は個体数が少ないが、ネメグト層で最も多く見つかっているのは頂点捕食者だった筈のタルボサウルスである。何故個体数が多かったのかは未だに不明で、現在のクマ科のように雑食性だったからなどの奇説も存在する。
発掘されたエリアがたまたまタルボサウルスの化石が多い場所だっただけという可能性もあるが、「食う側よりも食われる側の方がはるかに多い」という生態系の常識を考えればなんとも不思議な話である。
発見と命名の歴史
1920年代にアメリカ自然史博物館の調査隊によって、モンゴル・ゴビ砂漠に恐竜が棲息していたことが判明した(ヴェロキラプトル、オヴィラプトル、プロトケラトプスなどがこの調査で発見された)。
第二次世界大戦後、ソ連科学アカデミーの調査隊によって複数のティラノサウルス類の化石が発見された。この時発見された化石はティラノサウルス科の新種と考えられ、1955年の論文で「ティラノサウルス・バタール」、「タルボサウルス・エフレモヴィ」、「ゴルゴサウルス・ランキナトル」、「ゴルゴサウルス・ノヴォジロヴィ」の4種に分けて命名された。
ところが、1965年になり、「これらは全て同じ種ではないか?」という可能性が浮上。先取権規約の関係で「タルボサウルス・バタール」として統合されることになった(学名は「警告する爬虫類の英雄」といった意味)。
時は流れて1990年代。「ゴルゴサウルス・ノヴォジロヴィはタルボサウルスともゴルゴサウルスとも違う恐竜ではないか?」と考えられるようになり、ここに「マレエヴォサウルス・ノヴォジロヴィ」が誕生した。
また「タルボサウルスはティラノサウルスと同属でもいいんじゃないかな(→ティラノサウルス・バタール)」といった説や、「バタールはエフレモヴィと違う種。でもティラノサウルス属でもない」という事で「ジェンギズカン・バタール」とすることが提唱されたり混乱が巻き起こったが、現在では「やっぱりタルボサウルス・バタール1種にしよう」ということで落ち着いている。
なお、中国の新疆ウイグル自治区から発見されたシャンシャノサウルスの他、ラプトレックスもタルボサウルスの幼体とされる事が多い。
古代王者恐竜キング
ティラノサウルス共々第1紀から登場。炎属性、必殺わざはチョキ。ショルダーネームは「アジアの暴れん坊」。
ティラノサウルスを相似縮小して色を変えたようなグラフィックで描かれている。
ティラノサウルスは堂々のつよさ2000(最上位)に君臨しているが、対するこっちはつよさ1200と下から2番目に甘んじている。
アジア最大級の肉食恐竜、しかもティラノサウルスの近縁種となれば普通は高ランクになりそうなものだが、ティラノサウルス科でその座で登場したのはダスプレトサウルスであった。カードに記載されている体長はタルボサウルスの方が大きい(タルボサウルスは約10メートル、ダスプレトサウルスは約9メートル)のだが…
- ちなみに最初に炎属性・つよさ1800で登場したのはカルカロドントサウルスで、「炎属性・強さ1800・必殺わざがパー」の恐竜は登場しなかった。
なお他のティラノサウルス科も(わざカードの恐竜を除いたとしても)決して小さい方でないにもかかわらず冷遇気味で、ゴルゴサウルスはさらに格下のつよさ1000にされ、アルバートサウルスもつよさ1200。つよさ1400・1600の中堅層のティラノサウルス科は固有名詞付き恐竜の「ティラノ(ディノテクター恐竜除く)」だけ。そもそもつよさ1200以下の炎属性はティラノサウルス科だけ。
- ティラノサウルス科の他にもヘレラサウルスといった炎属性・つよさ1200以下に向いている肉食恐竜もいるが、登場しなかった。
ちなみに本作の炎属性は8メートル以上の肉食恐竜が選出される傾向が強く、それ以下の肉食恐竜は大抵風属性に回されている。
- 体長面だけで条件を満たすアロサウルスは風属性。これは顎の力があまり強くない(ライオンにすら負ける可能性も指摘されており、牙を鉈のように振り下ろして狩りをしていたとも推測されている)・肉食恐竜の中では足が細くて俊足だったと推測されている故だと思われる。もっとも、こちらも風属性では最大級にもかかわらず強さ1400(アトロクスに限り2000)とかなり低い。
- 体型的にそれっぽいメガロサウルスは秘属性。近縁種はトルヴォサウルスとメトリアカントサウルスが炎属性、エウストレプトスポンディルスとアフロヴェナトルは風属性とまばら。
そのためエオティラヌス(4~5m)のように小柄なティラノサウルス科は起用自体されなかったと思われる……が、6mのアリオラムス、6.5mのシャモティラヌス(こちらはアーケード版ではカード化されておらず、後にティラノサウルス科に分類されなくなった)はしっかり炎属性として出ている。ちなみにこちらはつよさ1000/1200だが、まあタルボサウルスよりは順当だろう。
- 一部では甲虫王者ムシキングのグラントシロカブトやネプチューンオオカブトやパラワンオオヒラタクワガタなどと同様、知名度が高い為に初期の内に登場させざるを得ず、強さが控えめに設定されたのかもしれないという考察もされている。
初期のバージョンでは超必殺わざとして使える「ヘルサンド」の他、第1紀では超必殺わざとして使える恐竜がいない「テイルスマッシュ」のわざカードにも描かれていた(テクニック200のグーわざなので、つよさ1800~2000のグーが必殺わざの恐竜なら条件を満たすが当時はいなかった。ちなみにこちらはテクニック900で、相性は◎ではなく⚪︎になる)。
- そもそもわざカードの絵柄はイメージイラストのテイストが強く、第4紀からは属性なしのわざカードは使っている恐竜がランダム気味になっていて、相性が悪くてイマイチパワーアップしない恐竜が使っている様子が描かれている事もあった。その他属性なしのわざカードに関してはテレビアニメでも相性が悪くてイマイチパワーアップしないわざを使う事もあった。
第3紀でトルヴォサウルスとビッグファイアキャノンが登場するまでは唯一超必殺超わざを使える恐竜だった。
バトルタイプは第6紀まではまもりタイプ、2007第1紀から2007第2紀まではそっこうタイプ、激闘!ザンジャークではハンタータイプ。
2007第3紀では化石カードの為ふっかつタイプ。初めて化石カードになった恐竜の一種。
目覚めよ!新たなる力!!ではスーパー恐竜が登場した。
テレビアニメには登場しなかったが、アクト団の家事用ロボット「タルボーンヌ」の名称の元になった。
その他メディアでは
- 『のび太の新恐竜』ではティラノサウルスとして登場。(ただパンフレットではタルボサウルス表記である)ともチョコを食べさせたジャイアンにより手なずけられ「ゴル」と名付けられ、終盤においても重要な役割を果たす。
関連タグ
ウェポナイザー:『ウルトラマンティガ』に登場した怪獣。タルボサウルスをサイボーグ化したものという設定。