発見と命名
1971年にコロラド州で巨大な獣脚類の親指の鉤爪1本が発見され、古生物学者ジェームス・ジェンセンは同様の化石を発見するために、発見者の夫婦にジュラ紀後期の地層が広がるドライ・メサ発掘地へと案内してもらった。
翌72年からジェンセンらは発掘を開始し、スーパーサウルスなど大型竜脚類の化石に加え、新種の大型獣脚類の上腕骨・下腕・いくつかの胴椎・骨盤・手の骨化石を発見。そして79年にジェンセンはピーター・ガルトンとともに新種の獣脚類としてこの化石を「トルヴォサウルス・タンネリ」と命名した。
それから部分的な化石がコロラドやユタなどで発掘されてきたが、2000年と2006年にポルトガルのロウニンニャ層でも出土。研究の結果、こちらは新種と判明し、「トルヴォサウルス・グルネイ」と命名された。
属名は「残虐なトカゲ」を意味する。
種小名は、T.タンネリが末日聖徒イエス・キリスト教会の大管長会第一副管長であるネイサン・エルドン・タナーに、T.グルネイが古生物アーティストで『ダイノトピア』の原作者ジェイムズ・ガーニーに献名したものである。
ワイオミングで発見された大型獣脚類「エドマルカ」や「ブロントラプトル」は、現在では多くの学者がT.タンネリのシノニム(無効になった学名)と考えている。また、2013年にロウリンニャ層から発見された獣脚類の卵化石は、T.グルネイのものとされている。
特徴
トルヴォサウルスは同時期に棲息したアロサウルスやケラトサウルスより標本が少なく、部分的な化石しか見つかっていないため詳細はまだ謎が多い。
しかし腸骨などの特徴からメガロサウルスに近縁で、特にスピノサウルス科に非常に近縁だったと考えられている。
大きさは2種ともに全長8~10メートル ・体重3~5トン程度だったと推定されており、ジュラ紀の獣脚類では最大級だったとされている。だがエドマルカや”ブロントラプトル”とされた化石のサイズから、T.タンネリはティラノサウルスに匹敵する巨体を誇ったと主張する研究者もいる。
2種を識別する最大の特徴は歯の数・口の大きさと形状の違いである。T.タンネリは上顎骨の歯が11本以上あったのに対し、T.グルネイはこれより少なかったようだ。
歯は同時期の獣脚類より長く、第一指の鉤爪も巨大であった。
特に歯の長さは特徴的であり、アロサウルスの歯の3倍近い長さを持つ。
脚は短かったと推定されているため、あまり高速疾走には適している構造ではない。鈍足の竜脚類を狩るにはあまり速い速度は必要ないためこれは理にかなっている。
生態
トルヴォサウルスが発見されている地層からは大型竜脚類が数多く発見されており、その巨体と長い歯を活かしてそれらを獲物としていた可能性は高いとされている。
一部の研究者は、あまり速く走れなかったため死肉を漁るスカベンジャーだったとも主張しているが、死肉を漁るだけでは生存という観点では効率が悪すぎるため少なくとも多少の狩りはしただろう。化石がかつて水辺の周りだった場所で発見されていることからそのような環境を好んでいたとされている。古生物学者ロバート・T・バッカーは、そのような環境だった場所で化石が見つかっていることに加え、噛み砕かれたかのようなワニや亀の化石が発見されていることから、それらを獲物にしていたとも主張している。
同時期に棲息しており、ほぼ同じ体格のアロサウルスとはニッチが異なっていたとされているが、狂暴なトルヴォサウルスがアロサウルスを襲うこともあったかもしれない。事実、あるアロサウルスの恥骨にはトルヴォサウルスではないかとされる歯型が残っていた。ただし位置が恥骨なので、おそらく死骸を漁っただけだという可能性が高いが。
体格こそ近いものの両者には多くの違いが見られ、トルヴォサウルスは頭部、アロサウルスは腕が大きい。
力(殺傷力)のトルヴォサウルスに対して、技(組み討ち)のアロサウルスと言うべきだろう。
ロウリンニャ層から発見された卵の化石から、彼らをはじめとする大型獣脚類は卵生で、1層構造の殻を持つことが判明した。しかし彼らが子育てをしていたかはどうかは不明である。
メディアでの登場
DINO2
第1巻の第2話「絆」にて主人公として登場。作者である所十三氏は、巨体や大きな歯を活かしたスカベンジャーとして描いている。
この設定は『白亜紀恐竜奇譚竜の国のユタ』でも引き継がれている。
古代王者恐竜キング
第3紀から強さ1600で登場。
炎属性で超わざ「ビッグファイアキャノン」と一緒に登場。必殺わざはチョキ。ショルダーネームは「暴走ファイター」。
- 初登場したバージョンでは超必殺わざとして使える「デスグラインド」のカードにも描かれた。
バトルタイプは第6紀まではあいこタイプ、2007第4紀+まではハンタータイプ、激闘!ザンジャークではゆうきタイプ。
アニメでは「翼竜伝説」で最初の敵として登場したためか、DVD第1巻にカードが付属品になっていた。宇宙海賊ザンジャークのグーネンゴの恐竜として登場し、わざカードは「マグマブラスター」を使っていた。
最後の更新があった2010年までの学説に基づいていたため、本種もT.タンネリの学説のみしか反映されていない。そのため「7つのかけら」ではヨーロッパで発掘できず、アーケード版の「ヨーロッパのたまご」にも入っていない
- グルネイ種が新種と認定された2014年にはとっくにこの作品の展開が終了(稼働終了告知もいまだにされていない)。
なお、ヨーロッパ産の炎属性の恐竜はメトリアカントサウルスだけとなっているが、参戦時期の都合(事実上の最終バージョン)で「7つのかけら」には登場しない。
- 本作のメガロサウルスの近縁種は属性がバラバラ。メガロサウルス本種は秘属性(シークレット恐竜)、エウストレプトスポンディルスは風属性。ちなみにスピノサウルス科は一律水属性で登場した。
蘇る恐竜の時代
第2話「水辺に生きる」にてT.グルネイが登場しているが、放映当時の2011年はまだ命名前だったので、T.タンネリに基づいた復元で描かれている。
関連タグ
タルボサウルス:一字違いだが全く別の恐竜(ティラノサウルスの仲間)。