概要
全体に大型な種が目立つ。陸上最大の動物であるゾウと、最大の海洋動物であるシロナガスクジラはともに哺乳類である。
視覚よりも聴覚や嗅覚に優れており、夜行性の種が多いが、これは恒温性に優れる(体内で生み出される熱を利用して体温を一定に保つ)ため爬虫類のように日光浴をして体温を上げる必要がないからである。しかし、多くの動物が人間との接触を避けるために夜行性となった面もある。脳が大きく発達しており、鳥類と同様に運動能力や知能の高い種も多い。
げっ歯類を中心に小型種も多くいるが、体温を保つため摂食量を多く必要とするという欠点も併せ持つ。
種数は5000種〜6000種ほどで、9000種を超える鳥類、8000種を超える爬虫類よりは少ないものの、陸上・海洋生態系の中で主要な地位を占める。
特徴
(かつて恒温性は哺乳類と鳥類に特有とされたが、現在は多くの動物に見出されている。ナマケモノとハダカデバネズミは哺乳類としては例外的に変温動物である)
(爬虫類や鳥類などは赤、緑、青と紫外線を感知できる4色型色覚である。ただし哺乳類でも人間を含むサル類は3色型色覚を獲得している)
- 下あごが1つの骨だけで構成されている。
- 頭蓋骨に空いた鼻の穴は1つ。
- 口の中と鼻の中がきっちりしきられている。
- 鼓膜の内側に鐙(あぶみ)骨・砧(きぬた)骨・鎚(つち)骨という3つの小さな骨がある。
- 前歯・糸切り歯・奥歯がそれぞれ別の形をしている。(異歯性)
(ただし、爬虫類にも異歯性の種はいる。イルカやクジラは二次的な同歯性生物となっている。)
- 歯の根の部分が顎の骨の中にしっかり埋まっており、一生に一回しか生え変わらない(二生歯性)
(ただし、 ウサギ類や齧歯類は歯が生え変わらず、そのかわり一生伸び続ける。ゾウは歯が一生で六回生え変わる。)
(有袋類は胎盤をもたない。カモノハシやハリモグラは産卵する。一部の魚類や爬虫類は胎性を獲得している。)
- 生殖のためにオスとメスの両方がかならず必要となる。メス一体だけで子をなすこと(単為生殖)ができない。
分類
現生の哺乳類は以下の三グループに分類される。
- 南楔歯類 Australosphenida……三畳紀に出現。卵生。単孔類のみ現存する。
- 後獣類 Metatheria……白亜紀後期に出現。有袋類のみ現存する。
- 真獣類 Eutheria……獣や動物と言われて真っ先に思いつく哺乳類。白亜紀後期に出現。有胎盤類のみ現存する。
単孔類 Monotremata
有袋類 Marsupial
オポッサム目 Didelphimorphia
ケノレステス目 Paucituberculata
オーストラリア有袋類 Australidelphia
ミクロビオテリウム目 Microbiotheria … チロエオポッサム
フクロネコ目 Dasyuromorphia … タスマニアデビル、フクロオオカミ
フクロモグラ目 Notoryctemorphia
バンディクート目 Peramelemorphia
双前歯目 Diprotodontia … カンガルー、ワラビー、コアラ、ウォンバット
有胎盤類 Placentalia
アフリカ獣類 Afrotheria
アフリカ食虫類 Afroinsectiphilia
長脚目 Macroscelidea … ハネジネズミ
アフリカトガリネズミ目 Afrosoricida … テンレック
近蹄類 Paenungulata
イワダヌキ目 Hyracoidea
異節類 Xenarthra (元貧歯目Edentata)
被甲目 Cingulata … アルマジロ
北方真獣類 Boreoeutheria
ローラシア獣類 Laurasiatheria
真無盲腸目 Eulipotyphla … ハリネズミ、トガリネズミ、モグラ、ヒミズ
鯨偶蹄類 Cetartiodactyla
偶蹄目 Artiodactyla … ウシ(牛)、シカ、ブタ、キリン、カバ
野獣類 Ferae
真主齧類(真主獣山鼠類) Euarchontoglires
グリレス類 Glires
ウサギ目 Lagomorpha
真主獣類 Euarchonta
登攀目 Scandentia … ツパイ
皮翼目 Dermoptera … ヒヨケザル
種数は4000種程度と脊椎動物の中では最も少ないが、「様々な環境に適応して個性豊かな、時には魚類や鳥類に似た姿に進化し、進化する必要が無くなったから」と言う説が有力。 生態系の中位(ネズミやシカなど)から上位(クマなど)にいることも大きい。次に少ないグループはホヤや鉤頭虫。前者が2200~3200種、後者が1100種とされている。
絶滅哺乳類の分類はこちらを参照