🐳🐋概要
鯨偶蹄目のうち、いわゆる鯨類に属する水棲哺乳類を指す。いわゆるクジラやイルカ、シャチなどの事。
大まかな共通点としてかつて繁栄した魚竜のように水中生活に特化した魚類に似たフォルムを持っている事が挙げられるが、尾びれが水平になっているのが大きな違いで、これはカイギュウ目にも共通する要素である(哺乳類は身体の構造上、身体を上下にくねらせる動作の方が得意で、左右にくねらせる動作が苦手であるため)。
また、息継ぎがしやすいように鼻腔は人間でいうところの頭の上にあり、ここから潮を吹き出す様が一般的なクジラ像にも反映されている。
多くが海棲だが、カワイルカのような淡水種も存在している。
現生動物で最も近縁なのはカバである。5000万~4000万年前の約1000万年間で四肢を持った水辺の哺乳類から現在に近い姿にまで急速に進化したことが化石から判っている。
🐳🐋その他
クジラ目は海沿いの民族にとっては身近な存在である一方で神聖視・畏怖されて来た歴史がある。
日本では恵比寿と関連付けられ、クジラの生息する海域は漁場として注目されたり、クジラの死体が浜に打ち上げられると人々の生活の糧になり得る為、海から流れ着いた存在、即ち来訪神とも解釈された。
ギリシャ神話においてはイルカはアンピトリテの聖獣とされ、楽師アリオンを助けたとされる他、海神ポセイドンが神罰としてクジラのような怪物ケートスをエチオピアに差し向けるエピソードが語られている。
なお、このケートス自体が「クジラ」を意味する単語である。
キリスト教においては「ヨナ書」において預言者ヨナが大魚に飲み込まれる話があるが、この大魚こそクジラではないかとする説がある。
また、旧約聖書の怪物レヴィアタンのフォルムもワニ以外に鯨説が挙げられる事も少なくはない。
白鯨に登場する「モビーディック」、ドラゴンクエストⅨの「ぬしさま」やポケットモンスターの「カイオーガ」など、クジラ目がモデルのキャラクターは海に住む存在の中でも頭一つ抜けた扱いをされるのは、これらの伝承が源流にあるからであろうか。
とはいえ、いついかなる時もクジラ目が神聖視されて来たという訳ではなく、九州や和歌山県ではクジラが山にいて、イノシシが海にいたという荒唐無稽な昔話があるなど奇妙な役どころで大衆にも親しまれて来た。
クジラの死骸が破裂するニュースが取り上げられるが、これは死体が徐々に腐敗する事でメタンガス等が貯まり、しかもクジラ自体が動物の中でかなり大型なのでガスの量も多くなる。
こうした要因が「爆発」と言える規模の破裂が起き、それに寄って飛び散ったクジラの破片が窓や自動車を損壊するなどの被害を齎している。