概要
中新世中期(約1300万年前)に生息したマッコウクジラの仲間。学名は「嚙み付くマッコウクジラ」を意味するラテン語と化石の発見された長野県四賀村(現在は松本市と合併)に由来するブリグモフィゼター・シゲンシス。このため、和名ではカミツキマッコウとも呼ばれる。
体長5.5~7mと現生のマッコウクジラの半分以下の大きさだが、現生種と異なり上顎にも大きな歯を持っており、これが学名の由来となった。この顎から、主に魚や頭足類を餌とする現生種と異なり、他のクジラ類や鰭脚類等の海洋哺乳類を捕食していたのではと推測されている。
また、現生種ほどメロンが発達していなかったと考えられており、復元図ではイルカ型のものも多く見られる。
当時の地球は現在よりずっと温暖で南極の氷河がそれほど発達しておらず、現在よりも海面が高かった。日本列島となる地域も当時は隆起しきっておらず、長野県を含めた多くの地域がまだ浅い海底であったため、本種をはじめとした多くの海洋生物が繁栄していたと推測されている。