マッコウクジラとは、クジラの一種に属する海洋生物である。
概要
クジラの一種。漢字表記は『抹香鯨』。英語名は「スパームホエール」(Sperm whale)。直訳するれば「精子クジラ」。この名前の理由は後述。
「カカロット」(Cachalot) とも。
所謂“歯クジラ”のひとつで最大級の種。というか、歯のある生き物では世界最大。基本的に下あごにしか歯は生えていないが、時々上あごにもある。遺伝子的には他のハクジラよりもヒゲクジラに近い。最大のハクジラはヒゲクジラ寄りだというのは皮肉めいてるが、やはりヒゲクジラの巨大さがよく理解できる。
性別ごとに大きさと社会構造が全然違い、雄は全長14~18m以上、体重30~50トンに達する。他の動物にも言えることだが、捕鯨によってかつての地方社会などが壊滅し、雄が小さくなったと言われている。過去の記録では、どこまで正確なのかは不明だが、21m 以上の記録もある。24m以上の記録も複数あるが、これは昔の方法で顎の骨から換算しただけであり、正確性が疑問視されることも。
全世界の深海域に棲息し、底生魚やイカなどを食べる。非常に高度な社会性を備えていることで有名であり、死にかけのイルカを群れに迎えて保護するなど、大型鯨類に見られる利他の精神も備えている。
なおダイオウイカを捕食する際に戦闘するという話は有名だが、いまだに撮影例はない。
NHKの自然番組『ダーウィンが来た!』が撮影に長年挑戦しており、2023年4月には水面でダイオウイカを与えるマッコウクジラの姿が撮影されたと放送。これ以上の成果を上げるため、現在も挑戦が続いている状況だ。
(一応この戦いが水面で行われているという話もあるが、撮影にはいまだ至っていないため真偽は不明となる。続報を待つべし。)
…が、額についた吸盤による傷を見ると、間違いなくダイオウイカのものと一目瞭然であるうえ、胃袋にはダイオウイカのカラストンビが収まっていた。なので、「そもそも戦っていないのでは?」とするのは間違いではないかと思われる。
巨大な頭部が特徴的。これは、頭部に鯨蝋(げいろう)と言う特殊な器官を備えているため。この器官に血流を送り込んで比重を変化させ、深海への潜水・浮上時のバラスト兼浮袋として使用しているという。鯨蝋に含まれる油は白濁して粘度が高く、かつては精液と誤解されていた(前述のようにマッコウクジラを英語ではSperm Whaleと呼称するが、それはこの鯨蝋に由来する)。
脳油の温度を変化させることで比重を変え、潜水時に役立てる。超音波は極限まで絞ることでダイオウイカを遠距離から麻痺させる威力の音波砲(正式名称「ソニック・ビーム」)を出せるというチート生物であり、理論上は人間を殺せる威力らしいが、あくまで理論上は可能というだけで、実際に観測された例はない。この超音波は会話にも使われ、「自分はどこの群れ出身の○○」など、自らの名前も伝えることができるとされる。しかも、方言もある。また、一緒に泳いでいる人間が妊娠しているかどうか、性別まで含めたお腹の赤ちゃんの様子もわかる。
雌と子供の群れなどは、敵に対しては、「マーガレット・フォーメーション」という円陣を組んで子供を保護しながら防衛する。このようなことは、他にはミナミセミクジラで数回目撃されたに過ぎない。
雌と子供の群れがシャチに襲われた際に超音波で広範囲に助けを求め、たまたま近くにいた青年サイズの雄がシャチの群れを一頭で追い払って群れを率いて離脱する、群れを守るために雄がたった一頭で大型帆船(捕鯨船)を沈めるなどの記録が実際に残っている。マッコウクジラの皮膚は、クジラでも最も硬い部類であり、ぶつかった船舶に穴が開き沈没するほど。鉄製の船体が凹むらしい?
実はかなり人懐っこい。
この動画でもそうだが、実はマナティなどと同様に、真水のシャワーをかけられると喜ぶ。
こちらは、奇形ゆえに仲間に置き去りにされたハンドウイルカをマッコウクジラの群れが保護して群れに引き入れた場面(この個体を置き去りにしたイルカの群れが残酷というわけではなく、自然界でも可能な限り仲間を助けようとするが、群れの命を守るためにはやはり限度があるからこのようなことが起きる場合がある)。
現在の日本では、最も生息数の多い大型の鯨類である。
日本海には少ないが、東京湾にも生息しているなど見られる場所はそこらじゅうにあり、日本のホエールウォッチング業界を支えている。富戸や五島列島など、それまではほとんどイルカしかいないと思われていた海域でマッコウが発見されてホエールウォッチングが開始された場所もある。駿河湾で遭遇すれば、雄大な富士山をバックに悠然と泳ぐクジラを写真に収めることができる(富士山が沿岸から近いため、クジラを写真の主体においてもかなり大きく見える)。
最強王図鑑では
『動物最強王図鑑』のエキシビションでシャチと戦ったのち、『水中最強王図鑑』では親戚に本戦出場を譲りながらエキシビションにて再登場。リオプレウロドンと戦い勝利。
テレ東版ではアプリ版にてメガロドンの存在が明かされており、他の海生生物と同様に登場が期待される。
特に永遠のライバルとの対決に期待する声も多い。
そのほか
マッコウクジラの体内で極稀に形成される結石を龍涎香(りゅうぜんこう)あるいはアンバーグリス(Ambergris)と呼び、捕鯨が盛んだった頃は香料の原材料として非常に価値が高かった。マッコウクジラの名も、元々はこの結石を香木の一種「抹香」になぞらえての命名である。
海外でも捕鯨が盛んだった時代も最大の標的の一つとされ、特に鯨油を燃料に、血を染料に用い、歯をアクセサリーに加工していたという。
肉は大量の蝋を含み、そのまま食べれば下痢をする。本来、マッコウクジラの肉は食用には向かず、鯨油を採ったあとの肉はほとんどが肥料に回されていたが、鯨皮から鯨油を絞った残りかすの「コロ」については食用の習慣がある。
関連項目
クジラ 고래 Sperm Whale 향유고래 リヴィアタン・メルビレイ ラブーン くじらのクータン