概要
樽のようにふくよかすぎる体型が特徴的な生き物。体長2~4メートル、体重350~1500キログラム。主に淡水性だが海にも対応可能。
乳房が脇についているので、授乳の行動が「人間のそれとだいたいあってる」(抱っことかもまあするし)のが人魚伝説の由来とされる。
だがコロンブスが航海日誌でマナティーを見たと思しき
「リアル人魚見た 人魚に全然似てなくてがっかりだよ」
という旨の記録を残している。
勝手に期待されて勝手に幻滅される。マナティからしたら迷惑な話だ。
特徴
ジュゴンと異なり尾は団扇状で丸いのが最大の違いだが、口がやや前向きなのと肌が固くざらざらしている。
またアマモという海草を専門にするジュゴンに対し、マナティは大半の野菜に対応(葉物野菜はだいたい食べられる)。元々はマナティの祖先も海草専門だったと思われるが、南大西洋沿岸地域を中心に水草などの多様な水生植物を食べることに適応することで進化したようだ。
水中に適応したので体には殆ど毛が無く、前足はひれ状を呈し、後ろ足は全く退化している。非常に分厚い唇を持っており、餌の水生植物を砂の中から探り当てたりするのに用いる。
哺乳類では珍しく、頸椎の数が6個しかないのも特筆に値する(殆どの哺乳類では7個。6つしかないのはマナティとホフマンナマケモノだけ)。
開発による生息地の破壊、水質汚染、乱獲、漁業による混獲、更に小型船のスクリューに巻き込まれての事故死などにより生息数が減少しており、生息地では法的保護の対象とされている事が多い。だが実効のある対策が取られていないのが現状(生息地が広く、貧困地域も多いため、保護管理がおいつかない)。あったかい水が好きなので、冬場は廃熱水が放出される火力発電所の周囲に集まる模様。
またアマゾンなどではダムに生えた水草対策にマナティを飼う場合もあった。
ちなみに、めちゃくちゃ人懐っこい。
人やパドルボードに抱き着いたり、人に身体を掻いてもらうととても喜ぶ。
アメリカでは川にも海水浴場にもいる。また、自宅の庭が川に面している家庭も多いので、野生のマナティが遊びに来ることも多い。シャワーの水をかけると喜んで飲むのでやってみよう(他にはマッコウクジラなどでも実験例がある)。
ただし繁殖シーズンにはたいへんお忙しいので邪魔をしないように。
ネット上ではしばしば「自分の糞を食べて気絶するマナティ」と題された動画が話題となるが、マナティはうさぎのように食糞する性質があるので、これは至って正常な行動である(理由は諸説あり。マナティを飼育している沖縄美ら海水族館にある解説では「栄養分を再度体内に取り入れる為」とされている)。
主な種類(現生3種)
- アメリカマナティ(メイン画像):最大のマナティであり代表種的存在。
- アフリカマナティ:数百万年前にアメリカ大陸から海流に乗って分布を広げたと思われるマナティ。
- アマゾンマナティ:最小のマナティ。沿岸海域にも棲む他のマナティと異なり(南米内陸地の)淡水域にしかいない。